【復活を期す男たち・セ】藤浪は阪神優勝のキーマンとなれるか?キャプテン就任の山田は4度目のトリプルスリーへ

【復活を期す男たち・セ】藤浪は阪神優勝のキーマンとなれるか?キャプテン就任の山田は4度目のトリプルスリーへ

143試合制に戻る今季、山田(左)は史上初の40本塁打40盗塁に到達できるか? ここ数年くすぶり続けた藤浪(右)もエースに返り咲きを目指す。写真:田中研治(山田)、山手琢也(藤浪)

いよいよ3月26日からプロ野球ペナントレースが始まる。昨季は不振に終わった男たちも、今季は名誉挽回に燃えているはずだ。今回はセ・リーグで復活を目指す6人を取り上げよう。

■髙橋優貴(巨人)
 オープン戦最終登板で首脳陣を納得させられなかったが、二軍での最終テストを3回完全投球でパスし、開幕ローテーションに滑り込んだ。ドラフト1位で入団した2019年は5勝7敗と負け越しながら、18先発で防御率3.19と及第点。同じ左腕の内海哲也(現西武)が長く着けた背番号26を継承した昨季は8登板に終わったが、今年からは工藤公康(現ソフトバンク監督)も着けていた47番を託されるなど、相変わらず期待も大きい。オフは今村信貴からカーブを学び、春季キャンプで桑田真澄投手チーフコーチ補佐に細かく意見を求めるなど向上に努めている。現時点では他に左の先発がいない状況だからこそのローテ入りという面もあるが、結果で左のエースナンバーを輝かせたい。
 ■藤浪晋太郎(阪神)
 高卒プロ入り直後から順調に歩んだが、近年は深刻な制球難に苦しんできた。昨年は3月に新型コロナウイルス感染が判明し、開幕後も球団ワースト記録の11失点を喫するなど序盤は苦しんだが、ブルペンに移ってからは復調。10月19日のヤクルト戦では自己最速の162キロを叩き出し、シーズン最後の3試合は先発としていずれも自責点0に抑えている。巨人の対抗馬に挙げられるチームの前評判の高さは、藤浪の復調による先発陣のアップグレードが大前提。甲子園の頂を知る右腕が、プロではまだ味わったことのない歓喜を目指し、まずは自身初の開幕マウンドへ向かう。

■福留孝介(中日)
 14年ぶりの古巣復帰となった今年の春季キャンプは二軍で過ごし、3月も教育リーグに参加していたが、19日にオープン戦初出場。21日の日本ハム戦で待望の2ランが飛び出し、開幕前の最後の試合で存在感を示した。昨季はNPB最少の43試合出場に終わり、阪神から構想外に。代打としての「ここ一番での1本」と、根尾昂ら若手の指南役も期待されているが、当人は「スタメンぐらいの気持ちは常に持ちながらやっていきたい」と意気込む。新外国人の入国が遅れ、同じ外野の主力・平田良介もオープン戦で調子が上がっていない状況を考えると、あと91本に迫るNPB通算2000安打達成は、意外なスピードで達成できるかもしれない。
 ■桑原将志(DeNA)
 梶谷隆幸がFAで巨人へ去り、リードオフマンの確立が急務のチームで、プロ10年目の桑原が開幕スタメンに当確ランプを灯した。過去2年は打率1割台と極度の不振にあえいだが、今年は構えるバットの位置を低めに下げ、オープン戦で打率.296、出塁率.345と打撃好調をアピール。3月20日のロッテ戦では初回に先頭打者アーチを放ち、16年から3シーズンで計33本塁打を記録したパンチ力も見せた。助っ人勢もしばらく合流できず、序盤は得点力の減退が免れない。序盤はロースコアの展開も増えそうだが、中堅守備でも大きく貢献できる桑原が1番に座り続けられるようであれば、三浦大輔新監督の悩みは一つ解消されるだろう。

■大瀬良大地(広島)
 数多の好投手を輩出した球団史を紐解いても、3年連続で開幕投手を務めた選手は現監督の佐々岡真司を含め過去に6人しかいない。そして、今年大瀬良が7人目になる。昨年の開幕戦ではプロ初本塁打を放ち、1失点で完投勝利と幸先良し。続く2先発目の試合も1点しか失わず、9回を一人で投げ抜いた。だが、7月下旬にコンディション不良で登録を抹消されると、再昇格後は投球内容が悪化。9月半ばに戦列を離れて右ヒジのクリーニング手術を受けた。そのため昨季は11試合で5勝4敗、防御率4.41とやや消化不良に終わったが、今年のオープン戦3先発は無失点と故障の影響はまったくない。開幕前日に「まだ状態は上がっていけるかな」と語るなど、コンディションは万全だ。
 ■山田哲人(ヤクルト)
「120試合制でも打率3割、30本塁打、30盗塁達成は可能か?」。そんな話題が昨季の開幕前に囁かれるなか、シーズンが始まると2試合連続本塁打と快調な滑り出し。ところが、コンディション不良での登録抹消もあって94試合にしか出場できず、打率.254、12本塁打、8盗塁と「らしくない」数字に終わった。それでもFA権を取得し、オフは去就に注目が集まったが、7年総額35億円の大型契約で残留。直訴して新キャプテンにも就任した。チームについて語る機会が増えたが、「結果で引っ張っていきたい」の言葉を有言実行するためにも、前人未踏となる4度目の“トリプルスリー”を狙う。

文●藤原彬

著者プロフィール
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『SLUGGER』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。ツイッターIDは@Struggler_AKIRA。
 

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