大砲・佐藤輝明へ連なる大卒大物スラッガーの系譜――阪神ファンを熱狂させたゴールデンルーキー列伝

大砲・佐藤輝明へ連なる大卒大物スラッガーの系譜――阪神ファンを熱狂させたゴールデンルーキー列伝

実は佐藤以前にも、阪神の球団史には大卒野手の新人スラッガーが多い。写真:山手琢也

昨年のドラフトで4球団競合の末に阪神へ入団し、オープン戦ではドラフト制以降で新人初の本塁打王に輝いた佐藤輝明。その存在感は、まさにゴールデンルーキーと呼ぶにふさわしい。だが、これまでにも阪神では、佐藤と同じ大卒の大物野手ルーキーたちが活躍してきた。そんな新人スラッガーたちの系譜を振り返る。

▼別当薫(1947年入団)
 甲子園球場のそばにある甲陽中(現・甲陽学院高)の出身で、慶応大では、かの有名な“最後の早慶戦”に4番センターで出場したスラッガー。兵役を挟んで46年に慶大を卒業した後、一度はノンプロチーム全大阪に1年だけ所属したため、厳密には大卒ではない。

 とはいえ、元六大学野球のスター入団に、当時は珍しかった女性ファンが甲子園球場に多数集結。当時阪神の主砲だった藤村冨美男も、別当のあまりの人気ぶりに激しい嫉妬をおぼえたという。人気だけでなく実力も高く、1年目から89試合に出場して打率.328、13本塁打。3年目の50年には43本塁打&105打点で二冠に輝いただけでなく、打率.335、34盗塁でトリプルスリーも達成している。
 ▼田淵幸一(1968年ドラフト1位)
 法政大では、それまで長嶋茂雄(立教大。のち巨人)が持っていた通算8本塁打の六大学リーグ記録を大きく超える22本塁打を量産。68年ドラフトを前に、相思相愛の巨人が背番号2を確約するほどだったが、クジ引きで指名順が先になった阪神が独占交渉権を獲得した。

 強肩強打を武器にルーキーイヤーからレギュラーに定着し、最終的に22本塁打を放って新人王を受賞。盗塁阻止率も5割を超えた。その後は毎年のように故障に見舞われながらも、75年にはそれまで13年連続でタイトルを独占していた王貞治(巨人)を抑えて本塁打王を獲得。79年に西武へ放出されるまでは、“3代目ミスター・タイガース”の呼び声も高かった。
 ▼岡田彰布(1979年ドラフト1位)
 早稲田大では三塁手として活躍。通算打率.379と81打点は現在もなおリーグ記録である(ただし単位不足だったため大学は卒業しておらず、中退扱いとなっている)。79年ドラフトでは当時史上最多の6球団競合の末に阪神へ入団した。

 当時監督だった元メジャーリーガーのドン・ブレイザーは、「メジャーでは新人をレギュラーとして起用することはほとんどあり得ない」として岡田を控えにとどめていたが、ファンの激しい抗議により二塁のレギュラーへ昇格(シーズン途中にブレイザーは解任される)。オールスターにも選ばれて当時史上最年少で代打本塁打を放ち、MVPを受賞するなど活躍を続け、打率.290、18本塁打で新人王を受賞した。その後も主力として活躍を続け、85年の球団初の日本一にも主力として大きく貢献している。
 ▼鳥谷敬(2003年自由獲得枠)
 岡田と同じく早稲田大で活躍した遊撃手で、2年春のシーズンでは史上最速タイで三冠王を獲得。3年春から4年秋までのリーグ4連覇にも中核として貢献し、02年には5球団の争奪戦の末に自由獲得枠で阪神へ入団した。いきなり背番号1を与えられたことからも,
当時の大きさが分かる。

 ルーキーイヤーの04年はキャンプやオープン戦で結果を残し、巨人との開幕戦には7番ショートでスタメン出場。その後はプロの適応に苦しみながらも101試合に出場した。2年目の05年からは14年連続で全試合出場を達成。ベストナイン6度、ゴールデン・グラブを5回受賞するなど球界を代表する遊撃手として活躍を続け、17年には阪神の生え抜きでは史上2人目の通算2000安打も達成した。

▼山俊(2015年ドラフト1位)
 明治大では1年からレギュラーに定着し、15年には通算131安打の六大学リーグ最多記録を打ち立てている。15年ドラフトではヤクルトと阪神の2球団が競合。当時ヤクルトの監督だった真中満が外れクジを当たりクジと誤認してガッツポーズするという一幕もあったが、当たりを引いたのは金本知憲監督の方だった。

 在学中に右手首を骨折して手術を受けたため春季キャンプは二軍で迎えたが、オープン戦では14試合に出場して打率.327と活躍。中日との開幕戦では1番レフトでスタメンを勝ち取り(新人の開幕戦1番起用は球団44年ぶりだった)、第1打席で大野雄大からプロ初安打を放った。シーズンを通してレフトのレギュラーとして出場し続け、球団新人記録となる136安打で新人王も受賞した。だが、その後は攻守に精彩を欠いて出場機会が年々減少している。

文●筒居一孝(SLUGGER編集部)
 

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