【現地発】LA地元記者は大谷翔平の今シーズンをどう見ている?健康状態を保てればMVPも…

【現地発】LA地元記者は大谷翔平の今シーズンをどう見ている?健康状態を保てればMVPも…

二刀流・大谷の今シーズンを、よく知るLA記者が大展望。(C)Getty Images

大谷翔平が二刀流選手としてシーズンを完走しない限り、周囲の目は懐疑的にならざるを得ない。

 大谷が日本プロ野球でキャリア5年目を迎えていた2017年の夏、ハンター・グリーンとブレンダイ・マッケイという2人の二刀流選手がMLBドラフトで上位指名された(グリーンは全体2位でシンシナティ・レッズ、マッケイは全体4位でタンパベイ・レイズ)。だが、当時から専門家は、大谷も含めて3人とも二刀流選手としてMLBでプレーし続けるのは難しいと考えていた。

「二刀流選手が成立するには、このリーグはあまりにもレベルが高い」。当時、ドジャースのクローザー、ケンリー・ジャンセンは私に言った。「どちらか一つなら何とかなるかもしれないけど、どちらも高いレベルで準備を整えるのは無理だ。あまりにも時間が足りないよ」。

「はっきり言って、どんなに優れた選手でも関係ない。(二刀流でプレーするには)理解しておかなければならないゲームプランが多すぎるんだ」。同じくドジャースのクリス・ハッチャーは語った。「野手も投手も、相手チームの全員を知っておかなければいけない。それだけの情報を処理できる人間がいるのか疑問だね」。
  実は、ジャンセンとハッチャーには共通点があった。2人ともプロ入り当初は捕手だったが、野手としては成功できず、投手に転向したという点だ。バッティングとピッチング、それぞれの難しさをよく理解している彼らには、2つを同時にやってのけることなど想像できなかった。

 想像。それが二刀流の可否を判断する唯一の方法だった。大谷のメジャー最初の2か月を除けば。

 そして今、大谷の二刀流について、あらゆる可能性がより“リアル”に捉えられるようになった。2021年3月21日、サンディエゴ・パドレスとのオープン戦で、大谷はエンジェルスの「先発投手兼1番打者」として出場し、打者としては3打席すべて出塁、マウンドでは最速102マイルを計時した。それだけではない。彼は他の選手たちの視野を広げたのだ。

「あいつは化け物だ」。パドレスの先発投手ブレイク・スネルは言った。「100マイルの球を投げて、反対方向に打つのも上手い。投打どちらでもオールラウンドのすごい選手だけど、両立するのはめちゃくちゃ難しい。とても見事だ。怪我をしないで、フルに才能を発揮してほしいね」
  ただし、2021年の大谷に考えられるシナリオは実は少ない。怪我をせずに二刀流を貫き通せるか、そうでないかの二つに一つだ。健康な時の大谷は、投手としても打者としても見る者に畏怖の念を抱かせるほどの存在だ。投打の才能を組み合わせれば、MVP級の選手と言ってもいい。

 一方で、故障を抱えている時の大谷がどうなるか、エンジェルスは身をもって知っている。今年もまた故障で離脱するようなことがあれば、大谷自身だけでなく二刀流という壮大な実験そのものの実効性に疑問が投げかけられるだろう。

 打者として200回以上打席に立ち、投手として100イニング以上投げる――1918、19年のベーブ・ルース以来、誰もやってのけたことがないことを大谷に期待するのはフェアではない。史上偉大な選手とされているルースと同じことを、果たして大谷はできるのだろうか?
  大谷とルースを比較するのはフェアでないとしても、自身との比較なら問題ないだろう。26歳の大谷は、投手としても打者としても肉体的に全盛期を迎えようとしている。今年が二刀流選手として最高の成績を残す最後のチャンスかもしれない。

 もちろん、トミー・ジョン手術復帰後初のフルシーズンだけに、苦境を迎える時もあるだろう。それでも、シーズンは162試合ある。最終的に大谷は、「球界で最もエキサイティングなプレーヤー」としての地位を確立するとともに、「最も価値の高い選手」、すなわちMVPとして投票者に認められるまでになる可能性も十分ある。

文●JP・フーンストラ

【著者プロフィール】
JP・フーンストラ。サザンカリフォルニア・ニュースグループに所属し、『オレンジカウンティ・レジスター』紙などに寄稿。全米野球記者協会会員。著書に『50 Greatest Dodger Games of All Time』。ツイッターアカウントは@jphoornstra
 

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