好調の澤村拓一に潜む不吉な「−2.59」。防御率2点台は“見せかけ”の数字?

好調の澤村拓一に潜む不吉な「−2.59」。防御率2点台は“見せかけ”の数字?

意外な好投を続けた澤村。しかし、セイバーメトリクス的な視点で見ると、相当に運が良かったと判断できてしまう。(C)Getty Images

今季のメジャーリーグは日本人選手の活躍が著しい。メジャー本塁打王をひた走り、シーズンMVPを期待される大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)を筆頭に、ダルビッシュ有(サンディエゴ・パドレス)と菊池雄星(シアトル・マリナーズ)もオールスター選出を果たした。

 そして、メジャー1年目の澤村拓一(ボストン・レッドソックス)も、渡米当初の期待値は決して高くなかったが、前半戦で35試合に投げて4勝0敗、防御率2.45、6ホールドを記録する“意外”な活躍。地区首位のチームを支える戦力の一人として稼働している。しかし、その好投の裏に、やや不吉な数字もまた見え隠れしているのだ。

「FIP」という指標がある。Fielding Independent Pitchingの略称で、守備から独立した防御率を評価するものだ。過去の統計から、本塁打以外の打球がヒットになるか否かは運の要素が強いということが分かり、防御率だけでは投手の実力を測ることができないというのが成り立ちの基礎にある。そこから、投手を評価するにあたっては、守備の関与しない与四球・奪三振・被本塁打の3要素をベースにするという概念だ。

 簡単に言えば、防御率もFIPも優秀なピッチャーは実力通りに素晴らしいと言える。逆に防御率が良くてもFIPが悪いと、現状の数字は「運がいい」。逆のパターンは「運が悪い」と言える。では澤村はどうかというと、「運がいい」投手に分類できる。
  先述の通り、澤村の前半戦の防御率が2.45だった。対してFIPは4.86。実際の防御率よりも2点以上も数字が悪い。FIP的な見方で言えば、前半戦の与四球率は4.42、被本塁打率は1.72と、とにかくフォアボールも一発も多いというのがマイナス評価につながった。それでも2点台に収めたのだから……と言えなくもないが、これは澤村だけの力ではない。

 例えば6月16日のアトランタ・ブレーブス戦、澤村は2死までこぎつけるも、ランナー一二塁の場面で降板。しかし、後を継いだ投手が無失点に抑えて防御率は影響しなかった。他にも6月26日のニューヨーク・ヤンキース戦で2死からマウンドに上がったが、ここから3連続四球で満塁。ここも代わった投手がゼロに抑えた。

 リリーフ投手はイニング数が多くない分、自責点が一つ付くかいなかで防御率は大きく左右されてしまう。こうしたピンチを“尻拭い”してもらっていることも、澤村の防御率に大きな恩恵をもたらしているというわけだ。

 そして後半戦2登板目、雨天での投球とはいえ、1死しか取れずに2本のホームランを浴びて初の負け投手になり、防御率は2.89へと悪化。そしてFIPは5.47。防御率とFIPの乖離は「−2.59」。これは30イニング以上を投げた投手では歴代27番目にあたり、投球内容以上に結果が“恵まれている”投手の一人と言える。

 FIPは将来を予測する指標という側面がある。果たして、澤村の今後は防御率5点台のメジャー落第レベルの投手になるのか。まずは課題克服が求められるだろう。

構成●THE DIGEST編集部

【動画】澤村が圧巻の投球! このピッチングが真の実力になるか

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