前半戦のMVP&新人王を独自選出! セ・パ両リーグともに今季躍進の阪神&オリックス勢が居並ぶ結果に<SLUGGER>

前半戦のMVP&新人王を独自選出! セ・パ両リーグともに今季躍進の阪神&オリックス勢が居並ぶ結果に<SLUGGER>

セ・リーグでは青柳(左上)ら阪神勢、パ・リーグでは吉田(右上)らオリックス勢の活躍が目立つ。佐藤(右下)や宮城(左下)ら新人王候補も両球団からだ。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

両リーグとも激しい首位争いが展開された、激動のプロ野球前半戦が終了した。ペナントレースは東京五輪開催による中断期間を経て8月13日に再開するが、ここではその前に、前半戦の「MVP」と「新人王」を選定した。
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【セ・リーグMVP】
1:青柳晃洋(阪神)
2:岡本和真(巨人)
3:山田哲人(ヤクルト)

 突出した個人成績を残している選手がいない以上、首位争いをしている阪神と巨人の選手を中心に選ぶのが妥当だろう。阪神の野手ではマルテがリーグ7位のOPS.900を記録しているが、打点部門で4、5位につけている佐藤輝明やサンズもいて、マルテだけが際立った功労者ではない。

 一方、投手では青柳の貢献度が飛び抜けて高い。防御率1.79はリーグ唯一の1点台で、8勝も2位。そして13先発中、4失点以上を喫したのは1度だけと安定度もずば抜けていることから、阪神での筆頭候補は27歳の右腕だ。

 その阪神を猛追している巨人では、岡本が27本塁打、80打点で二冠をひた走っている。だが、四球が少なく出塁率がさほど高くない(.337)ため、OPS.910は同僚のゼラス・ウィーラーを下回り6位。そのウィーラーは打率.319で2位、得点圏での.444はトップだが、出場試合数が岡本より17試合も少ないのがマイナス材料だ。

 3番手は、OPS.926と予想以上の健闘でリーグ4位につけているヤクルトの山田。25本塁打と65打点はいずれもリーグ3位以内に入っている。村上宗隆もほぼ同等の成績で、OPS.954(3位)と長けているが、二塁手というポジションを考えると、総合的な貢献度は山田のほうが上だろう。
 【セ・リーグ新人王】
1:佐藤輝明(阪神)
2:栗林良吏(広島)
3:牧秀悟(DeNA)

 話題性、インパクトの強さを考えれば、佐藤を新人王だけでなくMVPに推す人がいても不思議ではない。20本塁打はすでに左打者の新人最多記録に並んでいて、5月28日の西武戦での決勝弾を含む3発など、印象に残る一発も多い。オールスターにリーグ最多得票で選ばれたのも納得だ。121三振も球団記録をすでに更新しているが、これだけ打てればまったく気にする必要はないだろう。

 栗林、牧も例年ならば文句なしの新人王に選ばれるくらいの好成績だ。クローザーに抜擢された栗林は開幕から22試合連続無失点、球団記録にして新人でのプロ野球を樹立。チームが最下位に沈んでいるため登板機会がそれほど巡ってこないにもかかわらず、リーグ2位の18セーブを稼いでいる。34試合で失点わずか2、防御率0.53/奪三振率14.44と、どれをとっても文句のつけようがない数字が並んでいる。

 開幕から4割を超える打率で突っ走った牧は、調子の波の激しさが気にはなるものの、トータルで見れば立派なもので、17二塁打はリーグ7位タイ。また、山田と同じように二塁を守っているのも評価ポイントで、OPS.786は二遊間の選手では山田に次ぐ数字だ。選外ながら伊藤将司、中野拓夢の阪神勢も名前を挙げておきたい。
 【パ・リーグMVP】
1:吉田正尚(オリックス)
2:杉本裕太郎(オリックス)
3:山本由伸(オリックス)

 候補者3人がすべてオリックスの選手となったあたりに、チームの勢いが現れている。「三振しないスラッガー」としてすっかり有名になった吉田は、3割打者が5人しかいない状況にあって.343の高打率。それだけでも凄いが、17本塁打は5位、55打点も3位、そしてOPS.989は2位に.047の大差をつけて独走している。トレードマークとも言うべき三振数も19個。規定打席以上で2番目に少ない同僚の宗佑磨より11個も少ない異次元レベルで、満票でMVPに選ばれてもおかしくない。

 チームではその吉田に次ぐOPS.917をマークしているのが、急成長を遂げた杉本。昨年まではパワーばかりが目立っていて安定感に欠ける打者だったが、「続けて使ってもらっているので気負わなくなった」結果、打率.297と確実性が急上昇。自慢の長打力もリーグ3位の18本塁打/長打率.561と存分に発揮している。

 山本は防御率1.82、9勝、121奪三振の三冠。特に三振数は2位の宮城大弥に27個差をつける圧倒的な数で、6月11日の広島戦では8イニングで15三振を奪った。5敗とやや負けが多い点だけがマイナス材料。宮城も山本と並び最多の9勝でこちらは1敗のみ、防御率も僅差の2位につけている。
 【パ・リーグ新人王】
1:宮城大弥(オリックス)
2:伊藤大海(日本ハム)
3:早川隆久(楽天)

 セ・リーグと同じく、普通の年なら新人王確定レベルの3人で争われる超豊作年になっている。そのなかで一歩リードしているのが、高卒2年目で9勝を挙げハーラーダービートップに立っている宮城。14先発中11試合は2失点以下で、防御率2.10は2位。1イニングあたりに四球と安打で何人の走者を出したかを示すWHIPでは、エースの山本をも上回ってリーグ1位(0.88)だ。オリンピック代表から漏れた際には不満の声があちこちで聞かれたほどで、その実力は野球ファンの間で知れ渡っている。

 宮城を差し置いてオリンピック出場を勝ち取った伊藤は、防御率2.42で3位。87奪三振は宮城より少ないものの、奪三振率9.59は堂々のトップだ。開幕直後には23イニング連続奪三振の新人記録も達成しており、最下位に沈む日本ハムで数少ない光明になっている。

 早川も6月半ばまではこの2人に遜色ない活躍を見せていた。同月6日の広島戦で7勝目を挙げた時点ではリーグ最多勝。しかしながら20日の登板を最後に一軍登録を抹消され、3週間以上登板機会が空いている。もっとも重大な故障ではなく、疲労が溜まったための抹消であって、オリンピックでの中断期間が明けた後には、以前のような活躍ができる可能性は十分ある。三つ巴の新人王レースは終盤まで楽しめそうだ。

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『プロ野球 埋もれたMVPを発掘する本』『メジャー・リーグ球団史』(いずれも言視舎)。
 

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