大谷翔平と本塁打王を争う大型捕手ペレスの“弱点”。投手泣かせの「球界最低級のフレーミング」

大谷翔平と本塁打王を争う大型捕手ペレスの“弱点”。投手泣かせの「球界最低級のフレーミング」

“大谷のライバル”として知名度急上昇中のペレス(右)。46号アーチを放つ一方で、攻守に抱える欠点とは?(C)Getty Images

現地時間9月21日、大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)が10試合ぶりとなる今季45号を放ち、メジャー1位の2人に一本差まで迫った。6月末から本塁打王争いのトップをひた走ってきた大谷だったが8月以降に失速。その間に二人の選手が猛追し、現在はリードを許す展開になっている。

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 大谷の前を行く一人は、シーズン序盤からライバルとして熾烈な争いを見せていたブラディミール・ゲレーロJr.(トロント・ブルージェイズ)。現在、打率.321はリーグ1位、46本塁打は1位タイ、105打点はリーグ4位タイ。22歳の若さにして三冠王も視野に入る勢いを見せている。

 そして、もう一人がサルバドール・ペレス(カンザスシティ・ロイヤルズ)だ。8月に球団タイ記録の5試合連続を含む12発と爆発すると、9月20日にはゲレーロJr.に並ぶ46号を放ち、捕手シーズン歴代最多本塁打記録も更新。115打点はメジャートップであり、捕手という重労働ポジションながら二冠王も射程圏に捉えている。

“大谷のライバル”として、日本でもにわかに知名度が上がりつつある両名。今回はペレスの気になるデータについて紹介してみたいと思う。
  以前も打撃面の弱点=出塁率の低さについて言及したが、ペレスはこれだけ本塁打を打っているにもかかわらず、出塁率はメジャー平均と同じ.317。短縮シーズンだった昨季を除き、正捕手となった2013年以降は出塁率3割を一度も超えないなど、総合的な打力については大谷とゲレーロJr.の域にはいない。

 そして、打撃の課題以上に、ある意味で看過できないのが捕手としての「能力」だ。過去にゴールドグラブを5回受賞し、今季も盗塁阻止率.450で3度目のリーグ1位が狙える男の守備に何の問題があるのかと思うかもしれない。しかし、ここ数年に重要度が増している“ある指標”において、ペレスは球界ワーストクラスにとどまっているのである。

「フレーミング」。日本球界でも徐々に浸透しつつある捕球技術は、ミットをずらすような行為ではなく、“フレーミングの王様”として絶対的な地位を得たタイラー・フラワーズの言葉を借りれば「ストライクを、ストライクと正確に判定してもらう技術」のことを指す。データ分析の結果、ストライクを1球多く勝ち取ると0.125点の価値があるとされ、つまり100球多くコールされれば、12点以上も阻止した計算となる。
  では、“名捕手”ペレスがどれだけフレーミングで利得をもたらしたのかを見てみよう。

<ペレスの年度別RES>
2015位:−16(ワースト1位/55位)
2016年:−16(ワースト1位/63位)
2017年:−13(ワースト1位/62位)
2018年:−11(ワースト3位/58位)
2019年:シーズン全休
2020年:0(―/36位)
2021年:−18(ワースト1位/60位)

 RESとはRuns Extra Strikeの略で、簡単に言えばフレーミングによってストライクをしっかり稼ぎ、どれだけ失点阻止につなげたのかを示す指標だ。スタットキャストによる計測が始まった以降、ペレスは今季も含めて4回も球界ワーストという壊滅的な結果。特にストライクゾーン低めのフレーミングに苦労していて、今季はリーグワースト2位の選手と実に8点も離される“独走”ぶりである。

 果たして、先に述べたように強肩を武器とした盗塁阻止でのプラスはあるものの、フレーミングのマイナス分が大きく、今季の守備指標DRS(Defensive Runs Saved)は500イニング以上の捕手32人中28位と低迷しているのだ(ちなみに、大谷がバッテリーを組むマックス・スタッシは+10に対し、カート・スズキはワーストの−10)。

【動画】ペレスが捕手新記録の46号! 豪快なホームランはこちら 大谷の勢いが落ちたこともあり、MVP獲得を不安視する声もちらほら聞こえている。しかし、アウォード選考で最も重要視されている勝利貢献度WAR(Wins Above Replacement)において、大谷は2大データサイト『FanGraphs』、『Baseball-Reference』でいまだにメジャー1位(7.2/8.2)に君臨している。一方で、ペレスは『FanGraphs』のWARが3.2にとどまり、メジャー50位圏外という意外な位置にいる。

 これも結局は、フレーミングによる守備成績の低調が原因にある。“打てる捕手”というのはかなり希少性はあるものの、同時にキャッチャーとしての基盤にある守備能力が、悲しいかなペレスのMVP投票で足枷になる可能性もあるだろう。

構成●THE DIGEST編集部

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