楽天電撃加入・西川遥輝がもたらす「メリット」と「デメリット」。MLBも危惧した“穴”とは

楽天電撃加入・西川遥輝がもたらす「メリット」と「デメリット」。MLBも危惧した“穴”とは

日本ハムからノンテンダーFAとなっていた西川の楽天移籍が決定。盗塁王4回のスピードに加えて卓越した選球眼でも貢献してくれるはず。写真:徳原隆元

球界を代表するスピードスターの“新天地”がついに決まった。 

 楽天は12月22日、日本ハムから自由契約となっていた西川遥輝の獲得を発表した。2010年ドラフト2位指名で日本ハムに入団した西川は、一軍に定着した14年に43盗塁で初タイトルを手にすると、その後、17~18年、そして今シーズンと計4度の盗塁王。史上8人目の20代での通算300の大台をクリアするなど、“北の切り込み隊長”として躍動を続けてきた。  

 しかし、今季の打率.233は自己ワースト、OPS(出塁率+長打率).673にとどまる打撃不振。年俸2億4000万円と高給ながらも結果を残せなかったこともあり、日本ハムは契約を提示せずに、いわゆる“ノンテンダーFA”を選択して大きな波紋を呼んだ。約1ヵ月間、西川は未契約のステータスだったわけだが、来季も引き続きパ・リーグでその姿を見られることになった。 

 一時は巨人移籍が濃厚と見られていた西川だが、楽天側の“狙い”ははっきりしている。一番の補強理由は「盗塁数の増加」だ。今シーズンの楽天の盗塁数は45個にとどまり、これはリーグワースト。この傾向は今季だけではなく、18年からリーグ最低の数字(69個→48個→67個→45個)を推移しており、間違いなく盗塁面で西川の加入はプラスになる。 

【動画】楽天加入・西川遥輝のファインプレー! 新天地で躍動なるか また、西川にはスピードだけでなく「選球眼」という極上のツールがある。16年からボール球スウィング率は5年連続リーグベストと、ボールの見極めに関しても文字通り球界トップクラスで、出塁率4割超えは2回(16・20年)。通算打率.281に対して、出塁率は1割近く(.380)も上回っている。 

 パワーヒッターは長打の危険性があるので得てして四球は増える傾向にあるが、過去3年間で5本塁打が最高の選手がこれだけフォアボールをもぎ取っているのは、まぎれもなく選球眼の賜物だ。今季も打率.233に対して出塁率はリーグ10位の.362と悪くない数字だった。 

 今季の楽天で主に1番を務めたのは小深田大翔、辰己涼介、山﨑剛の3人。いずれも出塁率は3割2分台、盗塁数も最も多いのが辰巳の6だったので、仮に西川が今季レベルの“不振”だったとしても、リードオフとして大きく貢献してくれるのではないか。 

 と、ここまでは明るい材料について言及してきたが、西川加入による“デメリット”も存在する。最大の穴は「守備」だ。 
  17年から4年連続でゴールデン・グラブ賞に輝いた男の外野守備に、いったい何の問題あるんだ、と思うかもしれない。しかし、昨年は“あの”バレンティンにセンター前ヒットで二塁から生還を許したり、簡単にタッチアップされて進塁されるなど、肩の弱さが狙われるようになってきた。実際、守備指標でも低迷が続いて、センターとしての能力に疑問の声も少なくない。  

 果たして楽天には、今季ゴールデン・グラブ賞を受賞し、卓越した守備範囲を誇る辰巳がセンター、レフトには打点王の島内宏明がいる。そうなると、ライト・西川という選択肢が出てくるが、上述の通りに肩が弱いため、外野3ポジションの中で最もアームを重視されるライトが適任とは思えない。それなら肩も強い辰巳をライト、という案もあるだろうが、プラチナポジションで大きなプラスを生み出せる辰巳を動かすことも相当な愚策だろう。 

 かつて守っていた一塁や二塁への転向は、鈴木大地と浅村栄斗がいるため現実的ではない。そうなると、指名打者の起用も視野に入るが、DHでプラスを生み出せるだけの打力があるかは……。やはり、どうにか外野で再び輝けるかが焦点になってきて、18年新人王の田中和基やオコエ瑠偉、渡邊佳明らとの競争が待ち受けている。 
  昨年1月3日、ポスティング・システムでのメジャー移籍を目指していた西川は契約不成立に終わり、日本残留が決まった。コロナ禍という逆風もあったとはいえ、その際、現地メディアに関する“西川評”にはこんなものがあった。 

「日本プロ野球で卓越した走力と素晴らしいコンタクト能力を発揮してきた」。しかし、「守備力は平凡。パワーレスな打撃は、メジャーレベルにおいてベンチレベルの選手として見なされた可能性が高い」 。

 あれから1年が経ち、再び同じ課題が突き付けられた形となった西川遥輝。果たして来シーズン、新天地でどんな姿を見せるのか。自身のキャリア、そして楽天の命運をも左右する一年となるかもしれない。 

構成●THE DIGEST編集部

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