T・ローズやブーマーも入るべき?実績は充分なのに殿堂入りしていない名選手6選【豊浦彰太郎のベースボール一刀両断!】<SLUGGER>

T・ローズやブーマーも入るべき?実績は充分なのに殿堂入りしていない名選手6選【豊浦彰太郎のベースボール一刀両断!】<SLUGGER>

通算400本塁打をクリアした助っ人はローズだけ。13年にわたって活躍した事実からも、ローズは殿堂入りするべきだ。写真:産経新聞社

1月14日、今年の野球殿堂入りが発表された。競技者表彰では歴代2位の通算286セーブを挙げた高津臣吾、史上最長の実働29年で通算219勝の山本昌が選出。特別表彰では元東海大学長で首都大学野球連盟を創立した故・松前重義が殿堂に迎えられた。競技者表彰の2人はいずれもプレーヤー部門で、エキスパート部門は残念ながら2年連続選出なしとなった。

 選出された3名に対しては何の異論もないが、本来殿堂入りしてしかるべき実績を残しながらまだ正当な評価を得ていない元選手は少なくない。ここでは、その中から個人的に気になる数人を紹介したい。

■プレーヤー部門

▼黒田博樹(投票1年目/投票率45.7%)
 2016年の引退から5年が経過し、今回から投票対象となった。いきなり50%近い票を得ているので、今後の選出は間違いない(殿堂入りには75%が必要)が、彼の場合は初年度選出されるべきだと思うのでここで挙げた。

 通算勝利は日米の合計で203。日本の野球殿堂入りを議論するにあたって「日米通算」を持ち出すのは個人的には反対だ。だが、NPBのキャリアが5年しかない(その間の成績は凄まじいが)野茂英雄をプレーヤー表彰で投票1年目に選出した時点で、殿堂入り投票においてそれはアリとなったと解釈している。ましてや現代野球における200勝の価値は高い。

「毎年じわじわ票を伸ばし、最終的に選出」というケースが日米とも少なくない。しかし、引退した後、選手はそれ以上成績を伸ばすことができない。ならば、選出に値する人物は初回に選ばれるべきだし、それが難しいなら、投票システムを改善すべきだろう。
 ▼タフィー・ローズ(8年目/15.5%)
 投票ではジリ貧状態にあるが、通算464本塁打(歴代13位)でOPSも.940(通算4000打数以上で歴代5位)と申し分ない。タイトルも本塁打王を4回、打点王は3回獲得している。01年には当時のNPB記録に並ぶ55本塁打でMVPにも選出。殿堂入り投票においては、通算成績とピーク時の傑出度の両方を重視したいと思う。その観点からも、彼を排除する理由は何もない。史上初の300勝投手ヴィクトル・スタルヒン(ロシア出身)や、与那嶺要(ハワイ出身の日系2世)が選出されている時点で、外国出身選手は対象にならないというルールもないはずだ。

▼松中信彦(2年目/12.7%)

 現時点で最後の三冠王。タイトル獲得歴は首位打者2回、本塁打王2回、打点王3回と、全盛期の活躍は鮮烈だ。通算成績でも打率.296、352本塁打、OPS.925としっかり結果を残している。ただ、通算安打が2000本に届いていない(1767安打)。さらに言えば、15年オフのソフトバンク退団後、どこにも拾われることなく「球界から見捨てられ引退を余儀なくされた」イメージで損をしているのかもしれない。

▼小笠原道大(2年目/7.5%)
 21世紀以降は選手寿命が長くなり、キャリア終盤に淡々と安打数を積み上げて2000本に乗せた選手は少なくない。小笠原の場合もそうで、それが悪印象になっているのかもしれないが、378本塁打&OPS.932とオールラウンドな打力は立派のひと言。首位打者2回、本塁打王と打点王にも1回ずつ輝いている。だが、今回の得票率は前年から半減。このままでは、近い将来規定の3%を下回って、プレーヤー表彰の資格を失ってしまいそうだ。
 ■エキスパート部門

▼ブーマー・ウェルズ(25.3%) 
 このカテゴリーでは、ランディ・バースが「あと一歩」まで票を伸ばして話題になっている。確かにバースのインパクトは凄まじい。2年連続三冠王に加え、シーズン打率.389の史上最高記録を持っている。だが、バースの実働はわずか6年でしかない。

 むしろ、ブーマーを評価すべきではないか。三冠王は一度「しかない」が、積み上げた記録、全盛期のインパクトとも十分だ。彼に欠けているのは、いつもスタンドがガラガラだった頃のパ・リーグの選手だったことによる認知度だろう。

 プレーヤー部門でのローズもそうだが、彼らレジェンド外国人選手の存在は、野球殿堂とは誰を対象にしたものか、という素朴な疑問を抱かせる。「日本の殿堂」なのか、それとも「日本人の殿堂」なのか。
 ▼土井正博
 エキスパート表彰の対象にすらなっていない。しかし、通算2452安打&465本塁打の両方で彼を上回るのは、日米合算での松井秀喜を含めても史上7人しかいない。また、現役を退いた後の長年にわたるコーチとしての実績も評価に値するのではないか。

 土井の殿堂入りが躊躇される要因として、70年に黒い霧事件で書類送検され、1ヵ月の出場停止処分を受けたことや、西武の打撃コーチを務めていた89年に麻雀賭博に絡んで逮捕されたことがあるのかもしれない。しかし、課せられた処分に服した上で復帰し、現役時代から数えて約60年近くも球界に貢献したのだ。いつまでもこだわっているべきだろうか。

 なお、上記に名前を挙げたのはほんの一部だ。通算188勝の川崎徳次、2000安打に到達した松原誠と加藤秀司、“ミスター・ロッテ”有藤通世、通算打率歴代1位のレロン・リー……殿堂入りに値する実績を残しながら未選出の者は枚挙にいとまがない。

 残念ながら、アメリカに比べると、日本の「殿堂入り」のステータスは低いと言わざるを得ない。野球選手としての最大の栄誉は、はむしろ名球会入りとなっている。その理由はいくつもあるが、名球会はその基準が「野手は2000本安打、投手は200勝または250セーブ」と(適切かどうかは別にして)明確であることに対し、殿堂入りの選出はこれまで公平だったとは言い難いこともその一つだろう。入るべき人物を迎え入れてこそ、殿堂入りの公平さは担保されるのではないだろうか。

文●豊浦彰太郎

【著者プロフィール】
北米61球場を訪れ、北京、台湾、シドニー、メキシコ、ロンドンでもメジャーを観戦。ただし、会社勤めの悲しさで球宴とポストシーズンは未経験。好きな街はデトロイト、球場はドジャー・スタジアム、選手はレジー・ジャクソン。

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