阪神はスアレス、広島は鈴木誠也の穴埋めが急務。中日は若手の台頭で貧打解消?【全12球団春季キャンプの注目ポイント/セ・リーグ編】

阪神はスアレス、広島は鈴木誠也の穴埋めが急務。中日は若手の台頭で貧打解消?【全12球団春季キャンプの注目ポイント/セ・リーグ編】

広島の“ポスト鈴木”として期待される正隨(左)。中日は根尾(中央)ら若手の開花が待たれる。巨人は復活を期す梶谷(右)はじめ外野争いが熾烈に。写真;産経新聞社(正隨)、山手琢也(梶谷)、田口有史(根尾)

2月1日からいよいよ春季キャンプでは、2022年シーズン開幕へ向け、それぞれのチームで激しいポジション争いが展開される。セ・リーグ6球団で最も注目すべきポイントをそれぞれリストアップした。

■ヤクルト:遊撃のレギュラーがようやく固まるか?

 他のポジションはおおむね確固たるレギュラーがいるだけに、日本一チームの春季キャンプは、唯一定まっていない遊撃手のポジションをめぐって火花が散りそうだ。昨季は西浦直亨が71試合、元山飛優が60試合に先発しており、キャンプでもまずはこの2人の争いが中心になる。昨季の打撃成績は西浦が打率.223/5本塁打/OPS.620、元山は.255/3本塁打/.653と大差がないが、守備も含めれば現時点での実力はまだ西浦が上回る。

 だが、西浦は故障がちな点がネック。元山はまだ粗削りとはいえ、東北福祉大時代に打率と打点の二冠を獲得した打撃が向上すれば、レギュラーの座はぐっと近づくだろう。20代のレギュラーは村上宗隆(21歳)と塩見泰隆(28歳)しかおらず、23歳の元山は世代交代のキーマンにもなりうる。また、昨季二軍でレギュラーをつかんだ武岡龍世、育成選手の赤羽由紘も一軍スタート。若い力の突き上げが連覇のカギになりそうだ。
 ■阪神:スアレス退団の新クローザーの座は誰の手に?

 2年連続セーブ王の絶対的守護神スアレスが退団した。試合の締めくくりを誰に託すのかが、まずは注目される。第一候補はマイナー通算奪三振率12.19を誇る新外国人ケラーだが、コロナ禍による入国制限で来日時期は未定。抑えの経験もある“8回の男”岩崎優を昇格させる選択肢もあるが、矢野燿大監督は春季キャンプ、オープン戦で他投手の適性もじっくりと見極める予定だ。

 矢野監督は、球種の多い馬場皐輔のほか、強心臓の湯浅京己や、直球とシンカーが武器の石井大智といった若手も候補に挙げている。彼らがクローザーの座を高いレベルで争うようになれば、昨季防御率リーグ5位のブルペンにも厚みが増す。充実の先発陣から漏れる投手まで含めて候補は目白押しで、意外な選手が抜擢される可能性も十分ありそうだ。

■巨人:対本命不在の外野両翼のレギュラー争い

 外野のレギュラーで確定しているのは、センターの丸佳浩のみ。両翼は逆に大本命不在で、誰がレギュラーを獲得するのかが大きな注目ポイントだ。

 ライトは本来ならMLB通算96本塁打&98盗塁の新助っ人ポランコが有力だが、例によって来日時期が未定。昨季ブレイクした松原聖弥はその間に足場を固めておきたい。昨年10月にヘルニアの手術を受けたFA移籍2年目の梶谷隆幸も復活を目指している。さらに、高卒2年目の秋広優人のブレイクを期待する声も一部にはある。

 ここまで名前が挙がった選手は、丸も含めて全員が左打者。昨年、22試合連続安打を記録した右打ちのウィーラーも割って入ってくるに違いない。全員が持ち味を発揮すれば、昨年リーグ4位の552得点に終わった攻撃力は間違いなく強化されるはず。リーグ優勝奪回へ向け、各選手のアピールを期待したい。
 ■広島:「ポスト鈴木誠也」を担うのは?

 最大の注目ポイントは、メジャー挑戦が決定的な鈴木誠也の後釜が誰になるかだ。NPB最高峰の打撃だけでなく、ライトでゴールデン・グラブ5度の好守を見せていた鈴木の穴を完全に埋めるのは不可能だが、何とかダメージを最小限に食いとどめなければならない。

 最右翼は、昨年5月下旬に鈴木が新型コロナ感染で離脱した際に、代役を務めていた宇草孔基か。俊足巧打が持ち味で、昨季終盤にはリードオフも務めた。彼が定着すれば収まりはいいが、打線には左打者が多いことから、右打ちの正隨優弥にも期待したい。昨季はウエスタン2位の11本塁打を放ち、OPS.822の好成績を残した。また、ドラフト3位の中村健人(トヨタ自動車)、6位の末包昇大(大阪ガス)も、広く外野陣全体で言えばチャンスをつかむ可能性は十分ある。

 ポジションは違うが、少なくとも打撃の面では、新助っ人のマクブルームにも期待がかかる。昨季は3Aで32発。鈴木と違って打率を残すタイプではないが、日本でもパワフルな打棒を発揮できれば、「4番の後釜」に座る可能性は十分ある。ただ、他球団の新外国人選手と同様にコロナ禍で来日の見通しは立っていない。

■中日:熾烈を極めそうな若手野手のレギュラー争い

 昨季はチーム本塁打69本と12球団でも断トツの少なさで、得点力不足が明白な課題だった。ポジション別のOPSを見ると、二塁と外野3ポジションがリーグワースト。にもかかわらず目立った補強はなく、若手の成長に期待するしかない。まず二塁では、石川昂弥と岡林勇希がそれぞれ外野、三塁からのコンバートでレギュラーを狙う。特に未来の主砲と期待される石川が定着できれば、攻撃力の改善に期待できる。

 外野では高卒4年目の根尾昂に加え、ドラフト1位のブライト健太、同2位の鵜飼航丞の大卒スラッガー2人も一軍キャンプが決まった。ブライト、鵜飼とも即戦力としては疑問符をつける声もあるが、どちらかでも早期に頭角を現せば、貧打解消の第一歩になる。

 また、本来の捕手のA・マルティネス、郡司裕也も出場機会を求めて外野争いに参戦する・マルティネスはパワー、郡司は選球眼という明確な武器を持っているだけに、チャンスは十分あるはず。新任の立浪和義監督や中村紀洋打撃コーチの指導にも注目が集まる。
 ■DeNA:超熾烈な外野争いを生き残るのは誰だ?

 昨季は最下位ながら、559得点はリーグ2位と攻撃力が光った。とくに、佐野恵太、桑原将志、オースティンの外野陣はいずれも打率3割以上を記録。今季はそこに、大田泰示が新たに加わる。昨季は不振だったが、19年に20本塁打、20年はゴールデン・グラブ受賞と本来はレギュラーとしてバリバリ活躍できる選手だ。

 また、俊足好守で返り咲きを狙う神里和毅や、昨季は代打の切り札として頭角を現した楠本泰史も、虎視眈々とレギュラーを狙っている。この上、昨季イースタン・リーグ4位の16本塁打を放った6年目の細川成也に加え、走攻守三拍子そろった“神奈川大のギータ”こと、ルーキーの梶原昂希も一軍スタート。他のポジションも含め、どのような布陣が完成するのか楽しみだ。

文●藤原彬

著者プロフィール
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『SLUGGER』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。ツイッターIDは@Struggler_AKIRA。
 

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