トラウト復活以上のキーマンは剛腕!? エンジェルスがプレーオフに進出するための「5つの条件」とは<SLUGGER>

トラウト復活以上のキーマンは剛腕!? エンジェルスがプレーオフに進出するための「5つの条件」とは<SLUGGER>

左からシンダーガード、大谷、アデル。役者は揃っているだけに、個々の選手がしっかり力を発揮することが重要になる。(C)REUTERS/AFLO, GETTY IMAGES

いよいよ2022年のシーズンが始まる。大谷翔平が所属するエンジェルスは6年連続負け越し中。今季こそプレーオフ進出を果たすためには一体何が必要なのか。「5つの条件」を考えてみた。

●1:“雷神”シンダーガードが健康に過ごせるか

 昨季、怪我に泣かされたマイク・トラウトとアンソニー・レンドーンの復活をキーポイントに挙げる向きが多いが、チームの成否を最も左右するのはむしろノア・シンダーガードの出来だろう。

“マイティ・ソー”の愛称で知られる豪腕はメッツ時代の2018年に13勝、防御率3.03の好成績を残しているが、過去2年はトミー・ジョン手術もあってわずか2イニング投げたのみ。健康ならばエース級の成績も期待できる反面、今年も故障でまったく貢献できない恐れも普通にある。つまり、可能性の振れ幅が最も大きい選手だ。

 4月3日のドジャースとのオープン戦では5回1失点7奪三振と好投。速球の球速は全盛時ほどではなかったが、本人は「19年以降では一番感触が良かった」と振り返った。昨年のエンジェルスの先発防御率はリーグ10位の4.78。776.1投球回はワースト3位だった。シンダーガードが30先発をこなして防御率3点前半にまとめてくれれば、プレーオフ進出の可能性は一気に高まるはずだ。
 ●2:フレッチャーがショートに定着できるか

 野手陣に目を向けると、最も懸念されるのはショートだ。ホゼ・イグレシアスがレギュラーだった昨季は打撃・守備とも低調で、明白な弱点となっていた。にもかかわらず、オフはほぼ補強なし。キャンプインを迎えても誰がレギュラーを務めるのかまったく不透明な状況だったが、ジョー・マッドン監督はデビッド・フレッチャーを二塁から遊撃に回して乗り切る構えだ。

 元々、内野はどこでもこなせるタイプで、ショートでも通算93試合に出場して6失策と堅実な数字。平均的な野手と比べてどれだけ多く失点を阻止したかを示すDRSという指標でも+3と、少なくとも大過なくまとめてくれそうな雰囲気はある。一方で、昨季は157試合で打率.262、2本塁打、OPS(出塁率+長打率).622はMLBワースト3位と打撃不振に苦しんだ。今季も低迷が続くと、再びレギュラー不在という事態になりかねない。

 要のポジションでレギュラーが定まらないようだと、プレーオフを目指す上でも影響が大きい。強みとまでいかずとも、攻守でせめてリーグ平均レベルは確保したいところ。大谷とも仲がいい27歳の小兵が、野手陣のキーマンとなりそうだ。●3:期待の若手トリオがブレイクを果たせるか
 チームが躍進する時、そこには必ず飛躍を遂げる若手選手がいる。今季のエンジェルスでブレイク候補に挙げられるのが、ジョー・アデルとブランドン・マーシュの両外野手コンビと、先発左腕のパトリック・サンドバルだ。

 マイナー最高級の超有望株して20年にデビューしたアデルは、当初はメジャーの投手に大苦戦していたものの、昨季終盤から徐々に対応。今春のオープン戦でも好調で、いよいよブレイクの期待が高まっている。俊足強肩が魅力のマーシュも、同じくオープン戦ではバットが振れていて、こちらもいい形でシーズンを迎えられそうだ。

 オープン戦好調だったベテランスラッガーのジャスティン・アップトンを、今季年俸2800万ドルを負担してまで戦力外としたのも、2人をレギュラーとして使える目処が立ったからこそだ。 2人に比べると地味だが、サンドバルも要注目。昨季は17試合(14先発)でわずか3勝ながら防御率3.62と健闘した。空振り奪取率や被打球速度はMLB全体でも上位10%に入る水準で、一気に飛躍しても何の不思議もない。シンダーガード、大谷、そしてこのサンドバルで先発三本柱を形成できれば、年来の課題である先発投手陣は一気に安定するだろう。

●4:地区ライバルと互角の勝負を展開できるか
 いくらチーム力が向上しても、対戦回数が多い同地区のライバルにしっかり勝っていかないとプレーオフ進出は望めない。とりわけ、昨年のリーグ優勝チームでもあるアストロズと、若手の成長で勢いに乗るマリナーズとの戦いがカギになる。

 過去5年間で4回地区優勝を果たしているアストロズは、チームの顔でもあったカルロス・コレアがFAとなって退団。それでも、ホゼ・アルトゥーベ、カイル・タッカー、ヨーダン・アルバレスの30本塁打トリオと首位打者ユリ・グリエルは健在。打線全体でパワー&確実性&選球眼を非常に高いレベルで兼ね備えている。投手陣も、トミー・ジョン手術から復帰するジャスティン・バーランダーを筆頭にリリーフまで含めて粒揃いで、投打とも基本戦力はエンジェルスより上だろう。 一方、マリナーズはMLBで最も長くプレーオフから遠ざかっているチーム。イチローがデビューした2001年以来の大舞台に懸ける思いは、エンジェルスに勝るとも劣らない。今のマリナーズは文字通り若手有望株の宝庫。昨季デビューしたジェレッド・ケルニック、ローガン・ギルバートに加え、今季は時代のスーパースター候補フリオ・ロドリゲスがメジャーの舞台に登場する。

 さらに、サイ・ヤング賞左腕のロビー・レイ、元本塁打王のエウヘニオ・スアレスと出塁率抜群のジェシー・ウィンカーら実績組も補強し、まさに意気軒高の状態だ。もっともマリナーズの場合、前評判が高い年に限ってコケるという不吉なジンクスがある。昨季も90勝を挙げたとはいえ、得失点差は−51と

 ちなみにエンジェルスは昨年、アストロズには6勝13敗、マリナーズにも8勝11敗と負け越した。今季はこれを、最低でも五分に持っていきたい。開幕カードはアストロズとの4連戦。ここでしっかり勝ち越して勢いに乗りたいところだろう。
 ●5:オーナーが勝利への“やる気”を見せるか
 ワールドチャンピオンの座を懸けた戦いは、フィールド上の選手はもちろん、マイナー組織、フロントオフィス、そしてオーナーシップと球団全体を挙げての文字通りの総力戦だ。

 どんなに強いチームでも、不振の選手や故障者が必ず出るもの。想定外の事態に見舞われた時、どれだけ効果的な一手を打てるか。とりわけ、7月末のトレード・デッドラインでの途中補強が10月の戦いを大きく左右することは、昨年のブレーブスがいやというほど証明している。

 この点、エンジェルスには一抹の不安が付きまとう。資金力はMLB全体でも上位に位置するにもかかわらず、オーナーのアート・モレノは先の労使交渉で戦力均衡税の引き上げに強硬に反対していたと言われる。

 おまけに、ファーム組織の充実はMLBワーストクラス。そんな状況で、就任2年目のペリー・ミナシアンGMが他球団の海千山千のGMを向こうに回して上手く立ち回れるのか。そして、オーナーは補強資金拠出という形でチームやGMやサポートできるのか。この点もまた、今季の結果を大きく左右するだろう。

構成●SLUGGER編集部


 

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