大谷翔平が人気ゲーム『MLB The Show』のカバーを飾る!開発スタッフが明かす起用理由と二刀流スターに託した夢〈SLUGGER〉

大谷翔平が人気ゲーム『MLB The Show』のカバーを飾る!開発スタッフが明かす起用理由と二刀流スターに託した夢〈SLUGGER〉

人気TVゲーム『MLB The Show』の2022年版カバーアスリートに選出された大谷。(C)Getty Images

これまでにもブライス・ハーパーやアーロン・ジャッジといった錚々たるスターが務めてきた、人気TVゲーム『MLB The Show』の2022年版カバーアスリートに大谷が起用された。抜擢の理由や“マンガ”カバー誕生の経緯などについて、開発スタッフのラモーン・ラッセル氏が語ってくれた。全文は以下の通り。

 日本のメジャーリーグファンの皆さん、こんにちは!私はサンディエゴ・スタジオのプロダクトデベロップメント/ブランドストラテジスト、ラモーン・ラッセルです。私たちは1年365日、明けても暮れてもベースボールのゲームを作る仕事に打ち込んでいます。まさに、好きだからできる仕事です。

 もちろん、私自身もベースボールが大好きです。子供の頃はケン・グリフィーJr.の大ファンでした。それから、出身がアラバマ州なので、故郷に近いブレーブスを応援していて、この14年間はサンディエゴに住んでいるので、今ではパドレスのファンです。

『MLB The Show』シリーズの魅力は、ファンタジーの世界をデジタル空間で体感できることだと思います。メジャーリーガーになって450フィートのホームランを打つなんて、ほとんどの人にとっては夢のまた夢ですよね。でも、『MLB The Show』ならそれができるんです。私たちは常に、球場の楽しい雰囲気やベースボールの愛を表現したいと思っています。プレーしながら、少しでもそれを感じてくれたらうれしいです。

 今回の『MLB The Show 22』で特に難しかったのは……全部ですね。というのも、毎回ほぼ白紙の状態からゲームを作り始めるからです。改善したいところが常にたくさんあります。通常、ゲームは9ヵ月という短いサイクルで制作しています。ですから、自分たちが取り組むべき課題については、かなり戦略的に、そして賢く対処しなければなりません。毎年4月に、自分たちに可能な限り最高のゲームを発売するというのが、私たちの目標ですから。
 
 2022年版には、新しい要素がたくさん加わりました。まず、ゲーム内の試合実況の音声が一新されて、とてもワクワクしています。実況アナウンサーには、長年カブスの試合を担当し、『ESPN』でも中継を担当しているジョン・シアンビ。そして、シアンビと長年『ESPN』でチームを組み、現在はブルワーズのアナリストも務めるクリス・シングルトンを解説に迎え、音声収録には約350時間を費やして、ゲームの臨場感をより高めました。
  それから、ついにオンラインで友達とチームを組んで、他プレーヤーたちのチームと対戦ができるようになりました。遠く離れた場所に住む見知らぬライバルたちのチームと2対2や3対3で対戦できます。

 初めて『MLB The Show』をプレーするには、断然ビギナーズモードがお勧めです。まずは簡単な操作で『MLB The Show』の世界にゆっくり慣れていきながら、さまざまなモードの楽しみ方を知ることができます。

 他にも、自分だけのオリジナル選手を育成できる「Road to the Show」モードや、選手カードを集めて自分だけのチームを作れる「Diamond Dynasty」モードなどを搭載しているので、いろいろな遊び方を楽しんでみてくださいね!
  今回、大谷翔平選手をカバープレーヤーに選ぶことは、全会一致で決まりました。実際のところ、昨シーズンに大谷選手が見せた活躍で、彼以外の選択肢はなくなりましたね。オールスターブレイクまでに、大谷選手が史上最高のシーズンを送っていることは誰の目にも明らかでした。ですから、彼を『MLB The Show 22』のカバーに選ぶことは考えるまでもない決断でした。

 カバーに選ぶ選手たちには、ある種の「基準」があります。私たちは常にその選手ならではのストーリーを求めています。どの選手が最も興味深いストーリーを持っているか。フェルナンド・タティースJr.(パドレス/2021年版)やブライス・ハーパー(フィリーズ/2019年版)といった、過去にカバーに選ばれた選手を振り返ってみると、それぞれに魅力的なストーリーがあることが分かるはずです。

 当然、大谷選手もそうです。彼は真の二刀流スターで、打者としても投手としても一流の実力を持っている。そして、満票でMVPを受賞した。大谷選手ほど素晴らしい、そして驚くべきストーリーを持っている選手は他にいません。ですから、彼は満場一致でカバーに選ばれたのです。

 それから、若い層のファンにアピールできる選手である、ということも重要ですね。大谷選手はMLBの親善大使として理想的な存在です。MLBはゲームをもっとエキサイティングにして、若い層にアピールしようとしているわけですから、その象徴として彼はぴったりだと思います。

 大谷選手がカバーアスリートに決まってから、私たちはMVPエディションやデジタルデラックスエディションをどうしようかアイデアを出し合いました。すると、あるスタッフが、大谷選手が漫画やアニメのファンであることを思い出しました。彼が高校時代にある漫画を読んで、最高の野球選手になるという思いを強くしたというのです。そこから、大谷選手を漫画で表現するというアイデアが生まれました。「これが実現したら本当にクールだよね」と言いながらね。
  そして、イラストレーターの岡崎能士氏に、「大谷翔平をスーパーヒーローとして表現してほしい」と依頼しました。なぜなら、彼はフィールドで人間とは思えないことをやってのけているからです。そして、打って投げる大谷の「二重性」を表現してほしいと頼みました。MVPエディションやデジタルデラックスエディションのカバーアートは、そうして生まれたのです。

 出来上がりには本当に満足しています。本当にたくさんのバージョンのデザインを積み重ね、完成には5ヵ月半もかかりました。岡崎氏は一緒に働いていてとても素晴らしい人物でしたし、大谷翔平の二面性やスーパーヒーローとしての魅力を、とても的確に表現してくれていると思います。大谷選手自身も、完成したイラストを見て、凄く気に入ってくれました。

 過去にこのようなMVPエディションを作ったことはありません。今回が初めてです。もちろんこのことは、私たちが今回の作品に注ぎ込んだ情熱や努力の表れでもあります。

 これは私たちも知らなかったのですが、『MLB The Show』のカバーになることも、大谷選手の目標の一つだったそうです。ですから、私たちから連絡を受けて、彼もとても喜んでいました。メジャーに来てから彼が成し遂げた数々の業績の一つに数えられると思います。
  数ヵ月前、インタビューや宣材写真の撮影などで4日ほど大谷選手と過ごし、その時に、MVPエディションのカバーも見せることができました。実際に会ってみて、本当に堂々とした人だなと思いました。それに、スーパーナイスガイでした。一緒にいて本当に楽しい人ですね。とても謙虚で、最後まで気持ちよく仕事ができました。

 ゲームでは、大谷選手自身が自分のモーションキャプチャーを担当しています。スーツを着てもらって、投球モーションやバッティングスタンスなど一連の動きを本人にやってもらって、それを記録しました。ですから、ゲームの中のほんの些細な動きも、すべて大谷選手自身のものなのです。

 ゲームにおける選手のデータは、MLBから提供された最先端の分析や、スタッツを活用しながら決めています。実際の試合で採取したスタットキャストのデータの巨大なスプレッドシートがあり、そこに各選手のスピードなどのデータが入っています。それを3年間の加重平均にして能力を決定しています。

 選手の投球フォームや打撃スタンスの変化も可能な限り反映しています。専門の担当がいて、彼は投球フォームや打撃スタンスが変わった選手の膨大なリストを持っています。そして、それぞれの選手の映像をチェックして、巨大なプロジェクターに映し出します。その映像を見ながら、モーションキャプチャー用のアクターに同じように動いてもらうわけです。そして、「もう少しヒジを下げて」というように指示を出して、何度も何度も動きを繰り返しながら本物に近づけていくというわけです。

 大谷選手の能力にしても、今回ようやく現実と同じ形を再現することができました。彼はここ100年間で唯一の真の二刀流選手です。これまでは、打者か投手どちらかに専念するのが普通でした。そこで私たちは開発段階で新たにコードを書き換えて、別々だった投手と野手を統合しました。
  シーズンモードでは、大谷選手を現実と同じように使うことができます。つまり、投手として投げない日はDHで起用するというようにね。ですから、ゲーム内の成績も、過去のバージョンと比べると実際と似たものになるはずです。

 メディアではよく、彼に関して「まるでビデオゲームみたいだ」という表現が出てきますけど、現実が裏返しになったみたいですよね。実在する人間がビデオゲームのような活躍をして、その活躍をゲームで表現するわけですから。少し妙な感じがします(笑)。
 
 でも、そのことも、大谷選手がいかに特別で驚くべきプレーヤーであるかを示していると思います。

構成●SLUGGER編集部

※『SLUGGER』2022年5月号より転載

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