ブルージェイズはずばり世界一、エンジェルスはワイルドカードが精一杯?日本人選手所属チームの「リアルな目標」<SLUGGER>

ブルージェイズはずばり世界一、エンジェルスはワイルドカードが精一杯?日本人選手所属チームの「リアルな目標」<SLUGGER>

全30球団の中でプレーオフに出場できるのは12球団。今年はどの日本人選手が10月の舞台に立つことになるだろうか。(C)Getty Images, REUTERS/AFLO

いよいよ2022年のMLBが幕を開ける。日本人選手が所属するチームの今季の「現実的な目標」は一体どのあたりなのか。トミー・ジョン手術で今季全休が濃厚な前田健太(ツインズ)、40人枠から外れた有原航平(レンジャーズ)を除く7人の所属チームの戦力状況を確認しておこう。

●ブルージェイズ
所属日本人選手:菊池雄星、加藤豪将
MLB.comパワーランキング:2位
2022年の目標:ワールドチャンピオン

 4月4日(現地)にMLB.comが発表した開幕直前のパワーランキングではドジャースに次いで30球団中2位、アメリカン・リーグでは最高の評価を得たのがブルージェイズだ。

 昨季は地区4位ながらプレーオフにあと一歩と迫る90勝。大谷翔平とMVP争いを繰り広げたブラディミール・ゲレーロJr.を擁し、さらにオフの補強で好投手ケビン・ゴーズマンや球界最高の三塁守備を誇るマット・チャプマンを獲得、若手とベテランが融合した理想のチームが完成した。 今季の目標はずばり1993年以来のワールドチャンピオン。ゲレーロJr.は「去年は予告編、今年は本編さ」と豪語し、ファンの期待も否が応でも高まっている。だがこれは同時に、周囲の視線が厳しくなることも意味する。3年3600万ドルで加入した菊池は先発5番手という位置付けだが、フルシーズン稼働して防御率3点台に収めたい。念願のメジャー昇格を果たすことが濃厚な加藤は、内外野をこなすユーティリティとしてシーズンを通して貢献できるか注目だ。

●パドレス
所属日本人選手:ダルビッシュ有
MLB.comパワーランキング:10位
2022年の目標:ワイルドカード

 昨季は不発だったとはいえ、先発投手陣は実力者揃い。開幕投手を務めるダルビッシュ有と元サイ・ヤング賞左腕のブレイク・スネルに加え2人のノーヒッター経験者(ジョー・マスグローブ、ショーン・マナエア)が並ぶ布陣は豪華そのもので、トミー・ジョン手術から復帰のマイク・クレビンジャーが三振を奪いまくる本来の投球を見せてくれれば、30球団トップレベルの陣容になる可能性を秘めている。

 だが、打線は不安材料が多い。昨季は得点数リーグ11位と、ただでさえ強力とは言えない中、本塁打王のフェルナンド・タティースJr.が手首の故障で大幅出遅れが決定。フロントもオフからずっとFAやトレードで補強を試みているが、鈴木誠也獲得に失敗するなど、なかなか効果的な一手を打てずにいる。 投打に盤石の態勢を整えたドジャース、昨季MLB最多の107勝を挙げたジャイアンツと比べると見劣りする陣容と言わざるを得ず、今後の補強で強打者を獲得できるかどうかがシーズンの成否を左右することになりそうだ。

●レッドソックス
所属日本人選手:澤村拓一
MLB.comパワーランキング:11位
2022年の目標:地区優勝

 昨年は地区2位でプレーオフ出場権を獲得し、リーグ優勝決定シリーズまで進出した。だが、ブルージェイズ、レイズ、ヤンキースと同地区に強烈なライバルがひしめき合い、今季の戦いは決して楽ではない。

 ラファエル・デバース、ザンダー・ボガーツを擁する強力打線には、大型ショートストップのトレバー・ストーリーがFAで加入。ストーリーが二塁に回り、ボガーツとの球界最強レベルの三遊間コンビが完成した。

 ただ、投手陣には不安が残る。トミー・ジョン手術からの本格復活が期待されていたエースのクリス・セールが脇腹の故障で出遅れ。ブルペンも、絶対的クローザーが不在という問題を抱えている。昨季は55登板で防御率3.06の好成績を残した澤村も、空振り奪取能力は高い反面、一発病(9イニング平均1.53被本塁打)と制球難(与四球率5.43)という課題を抱えている。
  目標はもちろん地区優勝だが、「東地区4強」の中ではやや遅れを取っている感も否めない。それでも、昨季も下馬評は高くなかったことを思えば、決して侮ってはいけないチームだ。

●エンジェルス
所属日本人選手:大谷翔平
MLB.comパワーランキング:18位
2022年の目標:ワイルドカード獲得

 我らが大谷翔平を擁するエンジェルスは、ここ数年では最もいい形でシーズンを迎えることができそうだ。昨季は故障に泣いたマイク・トラウト、アンソニー・レンドーンは復活へ向け意気盛ん、新加入の豪腕ノア・シンダーガードも順調に調整している。

 ただ、過去6年連続で負け越していることを考えると、安易な期待は禁物。特に年来の弱点である先発投手陣は、シンダーガードがまだ故障に苦しむようだと一気に台所事情が苦しくなる。大谷も投打で1年間フル稼働したのは昨季が初めてで、まったく不安がないと言えば嘘になる。 MLB.comのパワーランキングでは18位で、ア・リーグでは9番目。この戦力評価が正しいとすれば、プレーオフ進出枠が6チームに増えてもまだ底上げが必要ということになる。主力が全員健康に過ごし、若手のジョー・アデル、ブランドン・マーシュ、パトリック・サンドバルが躍動して、何とかワイルドカードに届くかどうか、というところだろう。

●カブス
所属日本人選手:鈴木誠也
MLB.comパワーランキング:18位
2022年の目標:勝率5割クリア

 昨季は7月にアンソニー・リゾー、クリス・ブライアント、ハビア・バイエズと2016年世界一の主力メンバーを一斉に放出し、7年ぶりの負け越しを喫したカブス。このまま再建モードへ移行するかと思いきや、オフは先発右腕のマーカス・ストローマンに続き、鈴木争奪戦にも見事に勝利して再び勝利を目指す姿勢を鮮明にした。

 とはいえ、MLB.comのランキングでは30球団中23位と低め。確かに投打とも着実に戦力は向上したが、プレーオフを狙える陣容かと言われると疑問符もつく。特に打線は中核となるべき強打者が不在で、1年目の鈴木が不発だと深刻な得点力不足に陥る危険もある。
  おそらく球団も、今季を「本気で勝負の年」とは捉えていないのではないか。鈴木が着実にメジャーに適応し、勝率5割をクリアできれば及第点だろう。

●パイレーツ
所属日本人選手:筒香嘉智
MLB.comパワーランキング:29位
2022年の目標:最下位でもいいから若手を育成

 日本では考えられないことだが、メジャーリーグでは将来へ向けた若手育成のため、開幕から勝敗度外視でシーズンに臨むチームが常にいくつかある。筒香が所属するパイレーツも、そんなチームの代表格だ。

 過去3年連続最下位に沈み、MLB.comのパワーランキングも30球団中29位。現時点のチーム総年俸はおよそ4500万ドルで、マックス・シャーザー(メッツ)一人の年俸とほとんど変わらない。おまけに看板選手のブライアン・レイノルズにはトレードの噂が絶えず、そう遠くないうちに放出されるだろう。

 それでも、ケブライアン・ヘイズとオニール・クルーズの若手三遊間コンビは魅力いっぱい。筒香の試合を見る時は、ぜひこの2人にも注目してほしい(クルーズはマイナースタートだが)。筒香自身は、昨季終盤の好調を持続させて自らの価値を高めたいところ。好成績を残し、夏場に強豪チームに移籍、プレーオフに出場というのが理想のパターンだろう。

構成●SLUGGER編集部

 

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