「異色」の新庄監督と「王道」の立浪監督――開幕2週間で浮き彫りになった両監督の違い<SLUGGER>

「異色」の新庄監督と「王道」の立浪監督――開幕2週間で浮き彫りになった両監督の違い<SLUGGER>

オフの間に話題をさらっていたのは“ビッグボス”新庄(左)の方だが、10日時点でチームは3勝11敗。一方、立浪監督(右)率いる中日は6勝6敗の勝率5割と健闘中だ。写真:山手琢也(新庄)、徳原隆元(立浪)

2022年のプロ野球は、2人の新監督が大きな注目を集めていた。“ビッグボス”新庄剛史監督(日本ハム)と“ミスター・ドラゴンズ”立浪和義監督(中日)だ。シーズンが開幕してまだ2週間が経ったばかり。だが、2人の新監督の采配はこれ以上ないほど対照的だ。

 就任直後から型破りな言動で注目を集めてきた新庄監督は、予想通り采配面でも独自色を発揮している。もっとも、それが成功しているとはとても言えないのが現状だ。

 開幕戦では、ドラフト8位ルーキーで本来はリリーフ型の北山亘基を先発させるサプライズ起用。これに関しては、「新庄監督ならいかにもやりそう」という気がしないでもなかったが、不可解だったのは伊藤大海の起用だった。

 昨年、新人ながら10勝を挙げた伊藤は開幕戦で4番手として2イニング投げ、その次は中7日も空けて先発。すると、その次は中5日と短い間隔で先発させた。シーズン終盤の正念場ならともかく、序盤でのこのような起用法には首を傾げる向きも多い。
  それだけではない。球界随一の選球眼を誇り、現在のチームで間違いなく最高の打者と言っていい近藤健介は、開幕から6番→3番→2番→1番→3番と目まぐるしく打順が変わり、しかも先発から外れた試合がすでに2度と、こちらも不可解な起用法が目立つ。

 打順が目まぐるしく変わっているのは近藤だけではない。スターティングラインナップ全体が日替わり状態で、10日終了時点で1番打者を計9人、4番も5人起用。新助っ人のアルカンタラなどは出場12試合ですでに7つの打順を経験している。

 現在の日本ハムは世代交代期。いろいろな選手を競争させながら戦力向上を図るという意思は理解できる。ただ、そうであればなおさら、中心選手の近藤や伊藤(2人は昨年の東京五輪代表メンバーでもある)に関しては、働き場を固定するのが普通の考えだろうが、“ビッグボス”はここでも独自路線を貫いている。

 4月3日のオリックス戦では、8回1死三塁の場面で紅林弘太郎にカウント3−1となったところで敬遠を指示。なんと2年連続首位打者の吉田正尚と勝負させる奇策に出た。しかも紅林に盗塁され、カウント3−0になったにもかかわらずそのまま勝負させ、逆転タイムリーを浴びて敗戦した。
  一方、立浪監督のここまでの采配はどこまでも「オーソドックス」だ。

 ラインナップは3番を除いてほぼ固定。ともに高卒3年目の岡林勇希と石川昂弥は次代のチームを背負って立つ存在と位置付け、少々の不振でも目をつぶって起用することを公言している。

 投手起用でも、「先発投手に長いイニングを投げてもらいたい」と語っていた通りの起用を貫徹している。高卒2年目の高橋宏斗が先発した7日のヤクルト戦では、ベンチ入りした救援投手はわずか7人。高橋がプロ2先発目だったこと、今季から延長12回制に戻ったことを考えれば少ない(ヤクルトは9人だった)。しかも、試合中もブルペン組に何度も肩を作らせるようなこともせず、高橋宏に試合を任せるという意思はかなり明確だった。

 現役時代もそうだったが、立浪監督はベンチでほとんど表情を変えない。試合後のコメントもどちらかと言えば地味なものが多いが、1つ印象的な言葉があった。
  1−2で敗れた6日のヤクルト戦後、その時点で33打数3安打と不振を極めていた京田陽太について、立浪監督はこう語った。「いろんなことを思われる方はいると思うんですけど、うちのチームで143試合ショートで出られる体力があるのは京田しかいない」。

 すると翌日、京田は2打席連続本塁打を記録。立浪監督の言葉を意気に感じたと想像するのは決して間違いではないだろう。

 立浪監督は、PL学園の主将として甲子園春夏連覇を達成した頃から野球IQの高さやキャプテンシーを評価され、現役引退後は「ドラゴンズの監督になりたい」という強い思いを秘めながら解説者を務めてきた。WBCでは打撃コーチを任され、21年は中日のキャンプで臨時コーチも務めた。念願叶って監督に就任した時点で、すでに「自分が目指す理想の野球像」は確立されていたのだろう。
  一方、新庄監督は06年に現役を退いてからは球界を離れ、絵画展を開いたり、モトクロスレーサーを目指すなど多彩な活動を展開。一時はバリ島に移住していたこともある。20年に突如トライアウト受験を発表して大きな話題を集めたが、日本ハムや日本プロ野球の状況についてはそれほどフォローしていなかった可能性が高い。

 実際、監督就任会見でも「選手の顔と名前まったく知らない」と認めていた。このことも、両監督の采配の違いを生んでいるのかもしれない。
  シーズンはまだ始まったばかり。当たり前のことだが、両監督の采配の優劣をつけるのはまだ時期尚早だ。メジャーリーグでは、新庄監督のように日替わりラインナップを組んで勝っているチームもある。一方で、立浪監督の「オーソドックス采配」も、硬直的・前時代的な起用と隣り合わせだ。先発投手の球数が必要以上に増え、シーズン終盤にツケが回ってくる危険性も否定できない。

 だが、少なくとも両監督の「違い」はすでに現時点でかなりハッキリ出ていると言っていいだろう。

構成●SLUGGER編集部

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