デビューから129球連続空振りなし!イチロー級のバットコントロールを誇るルーキーは日本にも縁<SLUGGER>

デビューから129球連続空振りなし!イチロー級のバットコントロールを誇るルーキーは日本にも縁<SLUGGER>

ストライクゾーン内の打球をスウィングする時は、実に95.9%の確率でミートする。シュアなバッティングは新人にしてメジャー屈指のレベルだ。(C)Getty Images

開幕直後にナ・リーグで鈴木誠也(カブス)の活躍が話題となっていた頃、ア・リーグでも1人のルーキーが躍動していた。ガーディアンズの24歳の外野手、スティーブン・クワンだ。

 現地4月7日、ロイヤルズとの開幕戦に「7番・レフト」でデビューすると、メジャー初安打を含む1安打2四球、翌日の同カードでも2安打1四球で3出塁。すると10日には6打数5安打と大暴れ。11日にも1安打2四球を記録して、1901年以降では初の「デビュー最初の4試合で15出塁」という快挙を達成した。

 クワンの最大の長所は、何と言ってもずば抜けたバットコントロールだ。初めて空振りを喫したのはキャリア129球目。4月13日のレッズ戦の第3打席目まで実に6試合、24打席にわたって振ればバットに当たる状況が続いた。開幕時の勢いがやや落ちた現在でも、空振り/スウィング率はメジャーダントツ1位の7.8%。昨年首位打者となった2位のユリ・グリエル(アストロズ)でも12.8%だから、いかにクワンが規格外か分かるだろう。

 クワンはあらゆる意味で、現代MLBのトレンドとはかけ離れた存在だ。まず、身長177cm/体重77キロとかなり小柄。チームメイトで193cm/120kgのフランミル・レイエスに並ぶと、まるで子供のように見える。そのレイエスは三振を恐れず本塁打狙いでマン振りする現代のトレンドを体現する存在だが、クワン本人は「僕はそういうタイプではないからね」とあくまでコンタクト重視の姿勢を崩さない。

 父は中国系アメリカ人、母は日系アメリカ人(祖父母は山形出身)というアジア由来の出自も関係しているのか、“心の師”はイチローだ。実際、クワンのことを“ベイビー・イチロー”と呼ぶ人も多い。
  また、サンフランシスコにほど近いロス・ガトスという町の出身のため、幼少期から大のジャイアンツファンだった(今季のホーム開幕戦でジャイアンツと対戦した際は、ブランドン・ベルトやブランドン・クロフォードと対面して大喜びしていた)。12年に首位打者&MVPに輝いた名捕手バスター・ポージーに憧れていたという。

 イチローやポージーのようなアベレージヒッターとしてのプレースタイルを確立したのは、名門オレゴン州大でプレーしていた時だ。入学当初は小柄で痩せていたこともあってほとんど目立たず、1年時の成績は35試合で打率.215と振るわなかったが、その後は徹底したフォーム改造と、一日も休まず打撃練習に打ち込んだ努力が実って開花。3年時の18年には66試合で打率.356と打ちまくり、カレッジ・ワールドシリーズ制覇にも大きく貢献した。

 18年ドラフト5巡目でインディアンス(現ガーディアンズ)に入団後もマイナーで高い打撃技術を示したが、それでもあまり注目されなかった。今季開幕前に各メディアが発表したプロスぺクト(若手有望株)・ランキングでは、一つ年下の大学時代のチームメイト、アドリー・ラッチマン(オリオールズ)が軒並み1位に選ばれた一方で、クワンは100位にすら入れなかった。

 だが、開幕直後の活躍を経た今ではア・リーグ新人王有力候補の一角に挙げられている。今後も好調を維持し、“雑草魂”で悲願の栄光をつかめるだろうか。

構成●SLUGGER編集部
 

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