開幕1か月の「ブレイク野手」は? “4割打者”・松本は危険フラグも、三森と石川は今後も活躍をキープか<SLUGGER>

開幕1か月の「ブレイク野手」は? “4割打者”・松本は危険フラグも、三森と石川は今後も活躍をキープか<SLUGGER>

開幕1ヵ月でのブレイクは今後も続く? 首位打者・松本(右)は出来過ぎな感が否めないが、石川はむしろ不運だった。写真:塚本凛平(松本)、山手琢也(石川)

プロ野球も開幕から1か月以上が経過。昨季上位のチームが下位に沈むなど、異なる様相を呈している。また、異なるのは選手も同様だ。昨季まで無名だった選手、あるいはルーキーのなかにも、ここまで非常に優れた成績を残している選手もいる。彼らは今後も活躍を維持できるのだろうか。3・4月にブレイクした野手3名をピックアップし、今後を占ってみたい。

●松本剛(日本ハム)
打席89 打率.418 出塁率.477 長打率.468 本塁打0

 ここまで最大のサプライズと言っていい活躍を見せているのが松本剛だ。過去4シーズンは満足に出場機会を得られなかったが、今季は4月終了時点で4割オーバーの打率を記録するなど、新生日本ハム打線をけん引している。

 ただ、今後も松本が4割を持続できると考える人は少ないはずだ。野球の成績には実力だけでなく運の要素が多分に含まれており、シーズン序盤は打席数の少なさから成績が極端に振れやすい。

 こうした実力以外の部分がどれだけ成績に影響を与えているかはBABIP(
Batting Average on Balls In Play)という指標を使うことで推測することができる。BABIPは本塁打を除いたインプレー打球(邪飛は含む)のうち、どれだけの割合で安打が生まれていたかを表した指標だ。
  このBABIPの値は、どれだけ優れた打者でも打席を重ねれば3割前後に収束するとされている。足の速い打者、芯で捉える技術に長けている打者はやや上振れする傾向にあるが、そうした打者の象徴といってもいいイチローでさえ、MLBでの通算BABIPは.338だった。

 高いBABIPを維持するのは極めて難しいのだ。つまり3割前後を基準として、BABIPがどれだけ高い・低いかによって、成績に実力以外の部分がどれだけ含まれているかを推測することができる。

 さて、今季の松本のBABIPを見てみると、「.452」。これは異常値といってもいいほどの高さだ。現在の成績はやはりかなりの幸運が含まれていると考えるのが自然であり、今後打席を重ねていきBABIPが低下するにつれ、成績も落ち着いていくだろう。その時にいよいよ、松本の真価が試されることになる。

【動画】石川昂弥の見事なパワー! 甲子園を切り裂く豪快弾●三森大貴(ソフトバンク)
打席107 打率.312 出塁率.375 長打率.495 本塁打4

 松本と同じくパ・リーグで飛躍を遂げている野手が三森大貴だ。昨季まで一軍442打席で本塁打ゼロ本の打者が、今季はすでに4本塁打。1番打者の確保に苦しんでいたチームの課題を解決してみせている。

 この三森についてBABIPの値を見ると.342。平均(3割前後)から比べるとやや高いが、松本の.452のような異常に高い値ではない。運に頼らず成績を残せていると言える。また、放った打球の傾向を見ても三森の進歩は感じとれる。

 昨季の三森は放った打球の69.8%がゴロになっていたが、今季は42.9%に低下。その一方で安打になりやすいライナー打球が前年から約6%、長打になりやすいフライが約10%上昇している。それほど運に恵まれすぎているわけでもなく、また成績向上の裏付けとなる打球傾向の変化もある。今ほどではないにせよ、成績を維持できる見込みはありそうだ。
 ●石川昂弥(中日)
打席99 打率.222 出塁率.273 長打率.433 本塁打4

 セ・リーグでは石川昂弥の活躍が目立つ。4月終了時点で打率は.222ながら、二塁打5本、三塁打1本、本塁打4本と長打を連発。得点力不足にあえぐドラゴンズ待望の長距離砲として資質を表している。

 そんな石川のBABIPは.235。平均を大きく割っており、ここまでは運に恵まれているどころか、非常に不運な状態にあったようだ。今後この値は持ち直していく見込みが高く、それにあわせて打率も向上していくだろう。今後もこのペースで長打を放つことができれば、成績は向上していく可能性を秘めている。

※データはすべて4月終了時点

文●DELTA(@Deltagraphs/https://deltagraphs.co.jp/)

【著者プロフィール】
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』の運営、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート5』(水曜社刊)が4月6日に発売。

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