目指すべき道は本当に「二刀流」なのか。立浪監督が描く将来像における「投手・根尾」の位置付け<SLUGGER>

目指すべき道は本当に「二刀流」なのか。立浪監督が描く将来像における「投手・根尾」の位置付け<SLUGGER>

ついに一軍のマウンドに上がった根尾。マツダスタジアムを埋め尽くしたカープファンからもどよめきの声が上がった。(写真)産経新聞社

5月21日の広島戦で、根尾昂(中日)が初めて一軍のマウンドに上がった。

 1対10と大量リードされた8回裏に登板した根尾は、いきなり坂倉将吾への初球で自己最速タイの150キロをマーク。同じ2018年のドラフトで1位入団した小園海斗とも対戦し、結果は1回1安打無失点。試合後、根尾は「素直に抑えられてうれしいです」とのコメントを残した。

 立浪和義監督は「昨日もいっぱい投手が投げているので、最後一人どうしても足りなかった」と起用の理由について説明し、「またこういう展開で投げることはあるかもしれない」とも語った。

 高校時代から大きな注目を集めていただけあって、根尾の登板は瞬く間に大きなニュースとなった。中には「リアル二刀流」という表現を使って報じたスポーツ新聞もあった。

 ただ、今回の登板を持って根尾を「二刀流」と表現するのは時期尚早だろう。 確かに、野手と投手を兼任するという意味では間違っていないが、まさにベーブ・ルースや大谷翔平(エンジェルス)がそうであるように、投打両方でチームの勝利に「貢献」できて初めて「二刀流」と言えるのではないか。

 大量リードされた場面で、投手をいたずらに酷使したくないという理由で野手を登板させるケースは、メジャーリーグではそれこそ日常茶飯事だ。逆に、延長戦になって投手が代打や代走で登場することも珍しくない。いずれも言わば「緊急措置」であって、そういった起用法まで「二刀流」と呼ぶなら、メジャーリーグは「二刀流」だらけになってしまう。

 では、根尾は今後「真の二刀流」の道をたどる可能性はあるのだろうか。そうなった場合、最も近いモデルケースとなるのは、メジャーで「中継ぎ投手兼外野手」として活躍したマイケル・ロレンゼンだろう。現在は先発投手として大谷と同じエンジェルスに所属するロレンゼンは、19年に73試合に登板した一方で、外野手としても29試合に出場(うち6試合が先発)。投げては防御率2.92、打っては打率.208、1本塁打、5盗塁という成績を残した。 この年の9月5日には「勝利投手・本塁打・外野守備」を1試合で記録するというルース以来98年ぶりの記録も達成。18年には31打数で打率.290、4本塁打と打撃でも活躍しており、立派な二刀流選手としてカテゴライズできる。

 問題は、根尾が目指すべき道なのは本当に二刀流なのか、ということだ。

 昨季終了後に一度は正式に外野へコンバートされたが、今年4月になって遊撃再挑戦が決定。ただ、一軍再昇格後は外野での出場が多い。そもそも、打撃や遊撃守備など本職の「野手」で抱える課題が多い現段階で、「二刀流」を云々すること自体が時期尚早に思える。

 根尾は、5月8日の二軍阪神戦でマウンドにも上がっている。この時、片岡篤史二軍監督は「甲子園のマウンドで投げることによってピッチャーから見たバッターのタイミング、いろんなことを思い出して、何かいいきっかけにしてくれたら」と起用の理由を説明していた。 立浪監督は「根尾を生かしていかないといけない。今年1年で根尾のことは考えながらやっていきたい」とも語っている。生真面目な立浪監督のこと、単なる話題作りを目的に登板させるはずはない。さまざまな選択肢を考慮しながら、根尾の可能性を開花させる方法を模索しているのだろう。

 その中で「投手・根尾」は、今回のように大量リードされた場面でたまに登板する程度の位置付けなのか。あるいはロレンゼンと同じ野手兼リリーフ投手として本格的に稼働する「二刀流」が視野に入っているのか。

 今シーズンが終わる頃までには立浪監督が描く根尾の将来像がより鮮明に見えてくるかもしれない。

関連記事(外部サイト)