“投手王国”ブルワーズは懐疑的でも、球界全体ではおおむね好評。今季から導入のサイン伝達時計ピッチコム「利用者の声」<SLUGGER>

“投手王国”ブルワーズは懐疑的でも、球界全体ではおおむね好評。今季から導入のサイン伝達時計ピッチコム「利用者の声」<SLUGGER>

捕手が左腕に装着しているピッチコム。ボタンを押して投手にサインを伝える。(C)Getty Images

MLBでは今季から、主にバッテリー間のサイン伝達に使うウェアラブル端末「ピッチコム」を導入している。開幕1ヵ月半が経過した現在、この新システムはどのように受け入れられているのだろうか?

 ピッチコムは、捕手がリストバンドに装着する端末と、投手や他の野手が装着するヘッドセットで構成される。端末には球種に対応する番号が割り振られたボタンがあり、捕手はボタンを押すことによって音声で投手に球種を伝達し、野手に守備位置の指示を送る。

 サイン盗み防止だけでなく、バッテリー間のコミュニケーションをスムースにして、試合時間を短縮する狙いもあり、マイク・ズニーノ(レイズ)は「試合がスピードアップするのは間違いないだろうね」と太鼓判を押していた。

 ただ、ピッチコムの装着は強制ではなく、各チームの判断に委ねられている。それもあってか、現状は「使用する派」と「しない派」にくっきり分かれている。

 いち早く導入したチームの一つが、ズニーノのいるレイズだ。オープナーを発明するなど進取の精神に富んだチームということもあって、選手たちも概ねすんなり受け入れたという。当初は懐疑的だったという投手のシェーン・マクラナハンも、複雑なサインを覚えておく必要がないこともあり、現在は「ピッチングに集中するという意味でも素晴らしいツールだよ」と絶賛しているほどだ。
 開幕当初は導入していなかったカブスでも、エースのマーカス・ストローマンが高く評価したのをきっかけに徐々に浸透しているという。

 一方で「使用しない派」の急先鋒は、意外にもメジャー屈指の投手王国として知られるブルワーズだ。使用しているのはエースのコービン・バーンズだけ。正捕手のオマー・ナルバエズは、サインを伝達するまでの思考時間が少なくなるという理由で好んでおらず、他の投手陣も、音声が出なかったりノイズが生じて聞き取りづらかったりする問題が生じたこともあって、早期に使用をやめてしまったという。

 ホワイトソックスのリリーフ投手ケンドール・グレイブマンは「将来使う可能性を排除するわけじゃないけど、今は昔ながらのやり方でいい」と、普及が進むチームの中にあって守旧派を貫いている。ドジャースの守護神クレイグ・キンブレルも使用していないようで、5月18日にはわざとボークを犯して走者を進めるサイン盗み対策をしたほどだ。また、アレック・マノーア(ブルージェイズ)に至っては「絶対に使わない」と強硬に主張している。

 もっとも、こうした声はあくまで少数派。球界全体におけるピッチコムの使用感は「おおむね好評」といって差し支えなく、『ESPN』が「ピッチコムは懐疑論者に圧勝している」という記事が出たほど。すでにMLBの新しいスタンダードになりつつあることは間違いなさそうだ。

構成●SLUGGER編集部

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