長打力を示すISOは本塁打王の岡本以上―?プロ5年目で見えつつある清宮幸太郎の確かな「成長」<SLUGGER>

長打力を示すISOは本塁打王の岡本以上―?プロ5年目で見えつつある清宮幸太郎の確かな「成長」<SLUGGER>

否応なく注目度は高い清宮。今年もぱっと見は“ダメ”そうな印象を持たれかねないが、随所にその資質を発揮している。写真:塚本凛平(THE DIGEST)

新庄剛志が新監督に就任して以降、日本ハムへの注目度は急上昇。しかし一方で、開幕後は連敗が続き、5月を終えた段階でチームは最下位と確たる結果はまだ残せていない。そのなかで、どうしても槍玉に挙げられてしまいがちなのが、“未完の大器”清宮幸太郎だ。

 リトルリーグ時代からその名を轟かせ、早稲田実業では高校通算111本塁打の新記録を樹立。2017年のドラフトでは高校生歴代最多となる7球団が競合して日本ハムに入団した。がしかし、プロ最初の3年間で一軍での2ケタ本塁打はゼロ回。昨年は一軍昇格することなく、今年で5年目を迎えている。

 プロだから結果を残せなければ批判をされても致し方ない面はあるが、清宮へのハードルは元々の期待が高かった分だけに落胆も大きいのかもしれない。さらに、ドラフト同期で清宮の“外れ1位”だった村上宗隆(ヤクルト)が球界を代表するスラッガーへと成長したことも、周囲の失望感に拍車をかけた印象がある。

 新庄ビッグボスの発案で大減量して臨んだ今シーズンも、5月を終えて打率.226。25日のヤクルト戦ではダブルスチールでスタートが遅れ、指揮官に大激怒される一幕もあった。“表面的”には「あぁ、今年も清宮はダメだな」と思われるかもしれない。だが、よくよくデータを見ていくと、彼の成長をそこかしこに感じる。
  何といっても、清宮に期待したいのはパワーヒッターとしての成長だ。5月5日の楽天戦、28日の巨人戦で2打席連発と爆発力を発揮しているのは確かだが、45試合で6本塁打と、やはりまだまだ実力を発揮できているとは言い難い……ように見える。

 もっとも、そこは札幌ドームを本拠地としている点は考慮しておきたい。今シーズンは札幌ドームのフェンス直撃打が3本あり、いずれも他の球場ならスタンドインしていてもおかしくない当たりだった。実際、捉えた時の打球は凄まじく、26安打中17本が長打(二塁打10本、三塁打1本、本塁打6本)と“中身”は上々だ。

「ISO」という指標がある。長打率−打率で算出され、打者の純粋な長打力を知る上で有用なデータだが、清宮のISO.261はパ・リーグ平均(.101)を倍以上も上回り、100打席以上では両リーグ5位。セ・リーグ最多タイの15本塁打を打っている岡本和真(巨人/.241)を上回っているのだから、やはりパワーは相当なレベルと分かるだろう。
  さらに、今年の清宮を語る上で欠かせないのが「選球眼」の向上だ。先のISOで両リーグ6位はチームメイトの万波中正なのだが、彼は今季112打席目にして初めて四球で出塁したように典型的な“ブンブン丸”。一方の清宮はというと、四球率12.8%は両リーグ7位、パ・リーグ3位という高水準を維持。早打ちが目立つ新庄日本ハムにおいて違いを作れるアプローチを見せている。

 以前からボールの見極め自体は悪くなかったが、今季はボール球スウィング率が22.2%まで改善しており、こちらもリーグ上位の成績。打つべくボールを見定めて、当たった時に長打にできるというのは、スラッガーとして大事な素養と言える。

 平均的な打者を100とした時、どれだけ多く得点をもたらすのかを示す「wRC+」という指標でも、清宮は両リーグ12位の154とかなり優秀だ。3割打者の常連である宮崎敏郎(DeNA/153)や“怪物”佐藤輝明(阪神/151)より上の数字にいるのは、先の中身に加えて、打者が成績を残しづらい札幌ドームを本拠としていることも大きなファクターとなっている。
  「打率が低い、本塁打はまだ少ない、凡ミスもある」という世間一般の印象以上に、清宮は緩やかに、だが確実に成長している。そのことに対して一定の評価をしてもいいのではないか。

  まだ一軍でフルシーズン戦ったこともない、プロとしては“ひな鳥”の男は、果たして最終的にどんな成績を残せるだろうか。その時に改めて、清宮の「成長」と「課題」を振り返ってみたいものである。

構成●新井裕貴(SLUGGER編集部)
※データ提供:Delta
※データはすべて5月31日終了時点

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