柳田悠岐の“不振”の原因は? 衰えも危惧される「コンタクト率」の大幅悪化が意味するもの<SLUGGER>

柳田悠岐の“不振”の原因は? 衰えも危惧される「コンタクト率」の大幅悪化が意味するもの<SLUGGER>

日本人野手最高年俸を手にしている柳田が今季はまさかの不振。一体その要因は何なのだろうか? 写真:塚本凛平(THE DIGEST)

今シーズンのパ・リーグは歴史的な「投高打低」が大きな話題を呼んでいる。5球団のチーム防御率が2点台を記録し、3割打者も3人しかいない。山川穂高(西武)が一人OPS1.119と圧倒的な打棒を振るう一方で、OPS.900台は皆無。OPSリーグ2位の松本剛(日本ハム)でも.848にとどまっている。

 中でも苦戦を強いられている一人が、MVP2回の大打者・柳田悠岐(ソフトバンク)だ。日本人野手歴代最高年俸6億2000万円を手にして迎えた今季は、ここまで200打席に立って打率.253、7本塁打、OPS.754と“ギータ”らしからぬ数字。交流戦では長打が二塁打1本、5月31日の巨人戦ではプロ野球史上ワーストタイの1試合5三振という不名誉な記録も樹立してしまった。

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 柳田がここまで苦しんでいる原因は何なのだろうか。さまざまなデータを見ていく中で不振の理由を端的に説明すると、「バットにボールが当たらなくなっている」からだ。

 柳田の代名詞は相手投手を震え上がらせる強力なフルスウィングだ。一見すると大味に見えるものの、三振率は例年リーグ平均程度にとどめていて、好球必打の打撃で常に結果を残してきた。

 ところが今季は、コンタクト率が自己ワーストの63.6%まで急落。前年から約7%も下降していて、両リーグの規定打席到達者52人中最下位まで沈んでいる。特にボール球に対してバットがいつになく空を切っていて、ボール球コンタクト率も51.3%→39.2%と異常な下がり幅を示している。両リーグでこの数字が40%を切っているのも柳田しかいない。
  当然、これだけバットに当たらなければ三振が増えるのは自明であり、例年20%前後だった三振率は自己ワーストペースの28.5%まで悪化している。5打席連続三振を喫した巨人戦も、結果球はすべてボールゾーン。本来ならファウルで逃げられたような球にもバットが空を切っていた。

 三振の多さは強打者の「必要経費」とも言えるわけで、結果がついていればさほど気にする必要もないが、(長打率−打率)で算出されるISOは自己最低級の.161(昨季は.240)とパワー欠乏症に陥っている。強い打球をどれだけ打てていたのかを示すハードヒット率も、今季は自身初めて30%台(38.7%)という低い水準にとどまっていて、「豪快なスウィングで信じられない打球を飛ばす」本来の姿が見せられていないのだ。

 それでも、不運な面があったのであれば問題はないのだが、インプレーになった打球がヒットになった割合を示すBABIPは.330と通常運転。つまり、単純に打席&打球内容が悪いからこそ、今季ここまで低調な出来に終始していると言える。

 一般的に年齢を重ねれば動体視力が落ちてくるので、コンタクト率も概して下降しやすい。昨年まで猛打を振るっていた柳田がいきなり劣化するとは思えないものの、すでに33歳。これほど数字が悪化すると、一抹の不安もよぎってしまう。

 5月3日のオリックス戦、日本が誇る大エースの山本由伸から完璧なグランドスラムを放つなど、要所要所ではカッコイイ“ギータ”を見せてはいる。一方で、年齢による「衰え」が危惧される不安なデータもちらついている。果たして、球史に残るスラッガーはここから復活できるだろうか。リーグ戦再開後の打撃に注目が集まる。

構成●新井裕貴(SLUGGER編集部)
データ提供●DELTA
※数字はすべて6月16日時点

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