“変化球全盛時代”のトレンドを体現する投手に?ノーヒッターを達成した山本由伸のMLBでの将来像とは<SLUGGER>

“変化球全盛時代”のトレンドを体現する投手に?ノーヒッターを達成した山本由伸のMLBでの将来像とは<SLUGGER>

ノーヒットノーランを達成した山本(左)。マスグローブ(右)は変化球全盛のトレンドを体現するような投手だ。写真:THE DIGEST写真部、Getty Images

“日本のエース”にまた新たな勲章が加わった。

 6月18日、山本由伸(オリックス)がベルーナドームでの西武戦で自身初のノーヒットノーランを達成。9回102球で奪った三振は9つ、四球を1つ与えただけの“準完全試合”だった。

 プロ3年目の2019年に最優秀防御率、20年に最多奪三振のタイトルを獲得すると、昨年は東京五輪金メダルに貢献しただけでなく史上12人目の投手四冠を達成し、リーグ優勝に大きく貢献。MVPと沢村賞のW受賞を果たした。

 こうなると、もはや日本球界でやり残したことはほぼない。事実、昨オフの契約更改では球団に将来のメジャー挑戦の意向を伝えている。山本の登板試合でネット裏にMLBのスカウトが陣取ることはもはや珍しい光景ではない。よほどのことがない限り、今後2〜3年以内には太平洋を渡っているはずだ。

 果たして山本は、メジャーでどんな投手になるのだろうか。
  4月に発行した『2022プロ野球ベストプレーヤーランキング100』内での企画で、日本で活動するMLB球団のスカウトに山本、千賀滉大(ソフトバンク)、そして佐々木朗希(ロッテ)の将来について、日本で活動するMLB球団のスカウトに診断してもらった。

 スカウトたちからは山本について、似たタイプの投手としてジェイコブ・デグロム(メッツ)、ティム・リンスカムという新旧サイ・ヤング賞投手の名が比較対象として挙がった。

 デグロムは変化球の活用法や冷静なマウンドさばき、リンスカムは小柄な体格にもかかわらず打者を牛耳っていた姿が山本との共通点として挙げられている。一方で、懸念材料についての指摘もあった。メジャーリーグの長く過酷なシーズンを戦い抜くために必要な強靭な体格をビルドアップできるかどうか、という指摘が一つ。もう一つの興味深い指摘は、「テクニックに頼ろうとしすぎている」というものだ。 山本はストレートに加えてカーブ、カットボール、スプリット、スライダーと多種多様な球種を操る。これは確かに長所であることは間違いないのだが、少ない球数で可能な限り長いイニングを投げ抜くためにはシンプルにストライクゾーンで勝負する必要がある、というのがそのスカウトの考えだ。

 ただ、現代のメジャーリーグがかつてないほどの“変化球時代”を迎えているのもまた事実だ。以前は4シームなどの速球系が全体の半分以上を占め、そこに2〜3の変化球を加えてピッチングを構成する先発投手が大半だった。ところが、最近は最も多投する球種が変化球という投手も珍しくない。

 例えば、今季サイ・ヤング賞争いでトップに立つジョー・マスグローブ(パドレス)はスライダー、4シーム、カーブ、カッター、シンカー、チェンジアップを自在に操る。しかも、全6球種のうちシンカーとチェンジアップを除く4球種が投球割合17%以上と、山本以上の“幻惑投法”で打者を手玉に取っている。
  そして、「多彩な変化球を操る本格派」といえば、マスグローブのチームメイトでもあるダルビッシュ有を忘れてはいけない。そのダルビッシュは昨年、山本について「(メジャーで)余裕で通用すると思います」とツイートしている。

 いずれにしても、今回の快挙達成で、山本がメジャーリーグからこれまで以上に熱い注目を集めるのは間違いない。“日本のエース”は、果たしてメジャーでどんな投球を見せてくれるのか。少々気が早いが、今から楽しみで仕方がない。

構成●SLUGGER編集部

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