巨人は中田翔と増井の“元大物トレード”を狙うべし?躍進中の阪神が獲得すべきは?――2022プロ野球トレード試案<SLUGGER>

巨人は中田翔と増井の“元大物トレード”を狙うべし?躍進中の阪神が獲得すべきは?――2022プロ野球トレード試案<SLUGGER>

元打点王の中田(右)に、最優秀中継ぎ受賞経験のある増井(左)。元タイトルホルダー同士のトレードはお互いのチームにとってWin-Winに?写真:田中研治(中田)、塚本凛平(増井)

NPBのトレード期限が7月31日に迫っている。今季はここまで大きな動きがないが、過去2年はトレードで戦力アップを図ったチームが多かった。果たしてここからどんな動きが考えられるのか、3つの“トレード試案”をお送りする。

▼陽川尚将(阪神)⇔田中和基(楽天)

 一時は自力優勝の目が消えるほど低迷していた阪神だが、交流戦以降は急上昇。最下位を脱出しただけでなく、クライマックス・シリーズ進出が十分可能なところまで盛り返している。さらに上を目指すには、リーグ最下位の打率.238に沈んでいる打力を梃子入れしたい。

 特にレフトが弱点となっていて、新外国人で補強できれば良かったのだが、6月下旬に入団の決まったロドリゲスは本職が一塁で「ピントがずれている」ともいわれている。大山悠輔を一塁からレフトへ回す可能性もあるが、大きな犠牲を払わない程度にトレードも検討したい。
 田中は今季36試合で打率.129と不振ながら、18年は18本塁打、21盗塁で新人王を受賞。20年も80試合で8本塁打を放ったように、長打と足を兼ね備えたスイッチヒッターだ。楽天のレフトは西川遥輝、センターに辰巳涼介、ライトは島内宏明で固まっていて、控えにも武藤敦貴や岡島豪郎がいるなど層が厚く、田中を出せる余裕はある。他にも伸び代の大きさならオコエ瑠偉、パワー重視なら二軍で10本塁打を放っている和田恋でもいいが、最も戦力になる可能性が高いのは田中だろう。

このように外野は充実している楽天も、一塁は新外国人マルモレホスが期待外れ。銀次も打率こそ3割を超えているものの、29本のヒットはすべて単打と迫力不足は否めない。となると、一発長打を秘めた選手を獲得したいところで、陽川は今季ウエスタン・リーグの42試合で.229の低打率ながら、本塁打はリーグトップの6本。右打ちなので、左打ちの銀次と組ませる上でもバランスが良さそうだ。
 ▼菅野剛士(ロッテ)⇔西浦直享(ヤクルト)

 阪神のロドリゲス獲得と同様、ロベルト・オスナを獲得したロッテにも「的外れ」との批判が向けられている。メジャーでは19年にセーブ王にもなった大物ではあるが、今のマリーンズに必要なのは、どうしようもなく低い攻撃力を解消できる打者だったからだ。交流戦に入って上向きにはなったが、それでもチーム打率.218はリーグ最下位。特に遊撃手はエチェバリアが.231(1本塁打)、藤岡裕大が.129、小川龍成も.120と総崩れになっている。

 そこで打撃のいい(少なくともこの3人よりは)遊撃手として、西浦に目を付けた。今季は一軍で2試合しか出場していないが、18年と20年は10本塁打。今季もイースタン・リーグでは43試合で1本塁打のみながら、打率は.280と悪くない。打力不足を劇的に解消できるか、と言われると微妙かもしれないが、試してみる価値はあるだろう。スワローズの遊撃は長岡秀樹が定位置を確保し、元山飛優もいるので西浦を出せない状態ではない。ただし故障者が出た場合に備え、ベテランを置いておきたいと考える可能性はあるかもしれない。

 仮に西浦放出にゴーサインを出すとしたら、代わりにヤクルトが獲得すべき選手は誰か。一番欲しいのは田口麗斗に次ぐ左のリリーフだが、残念ながらロッテに適任の交換要員がいない。

 そこで視点を変え、昨季神がかり的に打ちまくった川端慎吾が不振に陥っている代打に標的を移すと、菅野の名前が挙がる。今季の代打成績は6打数1安打でも、一昨年は12打席で出塁率.500、昨年も同じく12打席で2本塁打と、代打屋としての実績は十分。代打専門ではなく、守りも悪くないので外野の層も厚くなるはずだ。
 ▼増井浩俊(オリックス)⇔中田翔(巨人)

 ヤクルトと昨年の日本シリーズで死闘を繰り広げたオリックスだが、今季は7月1日時点で4位と苦戦中。その原因が、リーグ最少の200得点にとどまっている攻撃力不足なのは明白だ。特に本塁打数は72試合消化時点で29本と、深刻なパワー欠乏症に罹っている。

 吉田正尚が故障に苦しんでいるのも理由だが、杉本裕太郎と吉田以外に3本塁打以上の打者が一人もいない異常事態。さらに言えば、本来攻撃の要となるべき一塁は、実に10人を先発で起用するなど、まったく固定できていない。中田ならそうした 「長打力」「一塁」という2つの要素を一度に解消でき得る。

 今季もすでに2度の二軍落ちを経験しているが、118打数で7本塁打はそこまで悪くはない。OPS.726はオリックスの一塁手なら上位にランクされる。中田にとっても、巨人で批判を浴びながら代打要員に甘んじているより、高校時代を過ごした大阪で、ファイターズ時代からの仲である中嶋聡監督の下のほうが実力を発揮しやすいはずだ。

 では、巨人は誰を獲得すればいいのか。欲しいのは左の中継ぎで、オリックスも海田智行ならば手放せそうだ。ただ中田との1対1ではネームバリュー的に釣り合わない。その点、増井なら(かつての)大物同士として申し分ない。二軍でも防御率5点台と苦しんでいる増井が、巨人の戦力になるのか? と訝しむ声もあるだろうが、ストレートの球速は150キロを超えており、交流戦でもヤクルトの強力打線を5回2失点に抑えるなど、まだ余力はありそうだ。

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『メジャー・リーグ球団史』『プロ野球「トレード」総検証』(いずれも言視舎)。
 

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