僕らはドラマを信じてる――。阪神がついに借金完済! 矢野監督が「舞台が整った」と力説する勝率.063からのV字回復に感じる機運

僕らはドラマを信じてる――。阪神がついに借金完済! 矢野監督が「舞台が整った」と力説する勝率.063からのV字回復に感じる機運

春先に吹いた逆風を見事にはねのけ、借金を完済した阪神。まだまだ先は長いが、周囲には明るいムードが漂っている。(C)産経新聞社

溜まりに溜まった“借金”がついになくなった。7月24日に横浜DeNAベイスターズを1対0で破り、今季5度目の同一カード3連勝をマーク。最大「16」もあった借金をようやく完済した阪神タイガースである。

 戦前に「この試合を絶対取るんだ」と語っていた矢野燿大監督の執念が伝わるような逃げ切り勝ちだった。4回裏に大山悠輔の犠牲フライで均衡を破ると、その後は先発したガンケル、浜地真澄、湯浅京己、岩崎優の継投リレーで逃げ切り。横浜打線に反撃の余地を与えないまま、押し切った。

 試合後のSNS上では、「春先の自分に教えてあげたい」「いったい誰が信じた?」と、勝率5割復帰に虎党たちの“声”がこだました。彼らが驚きと喜びを爆発させるのも無理はない。ここまでの道のりは長く険しいものだった。
 
 今季の阪神はV奪回に並々ならぬ想いを抱いて開幕を迎えた。8月以降の急失速で2位に甘んじた昨季の経験から「イチにカケル」をスローガンに掲げ、さらに矢野監督がシーズン開幕前に今季限りでの退任を電撃表明。他でもない指揮官がタイトルへの強い決意を露わにした。

 しかし、いざ始まった矢野体制4年目は、苦難の連続。開幕戦で東京ヤクルトスワローズに新守護神ケラーが打ち込まれて8対1からの逆転負けを許すと、ここから音を立てるように歯車が崩れ、セ・リーグのワースト記録となる開幕9連敗……。新型コロナウイルスの陽性判定を受け、青柳晃洋など主力の相次ぐ離脱もあり、戦力ダウンを余儀なくされたチームの開幕17試合消化時点での勝利はわずかに「1」。勝率にして.063。これはプロ野球史上初の出来事となった。

 この時期に矢野監督が「まあ、しんどいのはしんどい」と思わず漏らしてしまうチーム状況。ゆえに一部メディアやファンの間では、球団史に残る負の時代、「暗黒時代」よりも酷いというネガティブな声が飛び交った。

 しかし、4月末に青柳や伊藤将司ら本来ローテーションを担うはずだった投手たちがこぞって復帰すると、チームは徐々に勢いを取り戻す。4月23日以降の実に38試合で2失点以内にとどめた。これは42勝26敗1分(勝率.618)と勝ち越した大きな要因と言えるだろう。 無論、打線も6月に10本塁打、長打率.741と打ちまくった大山悠輔を中心にメンバーが安定。投打ともに戦力が整い、矢野阪神は完全に復調。前半戦を2位で終えた。借金15以上からの5割復帰は、1966年以来(8月16日時点での借金19から10月7日での完済)、史上2度目の快挙。まさに球団史に残るV字回復と言っていい。

 ただ、矢野監督が見据える目標さらに先にある。24日の横浜戦後のインタビューで、「いやまあ本当にね、3月、4月から考えたらここまで来られるというのはね、簡単に想像できるわけではなかったですし。苦しかったんで」と語った53歳の指揮官は、語気を強め、こう論じている。

「そういう時期でもファンのみなさんが応援に来て下さいましたし。そのおかげもあって後半にドラマを起こす舞台が整ったと思う。ここから本当のドラマを起こすにはまだまだみなさんがドラマを信じてくれて、そして僕たちがそのドラマを起こすんだという気持ちをさらに高めた後半にしていかないとダメなんで。そういうところでは本当に、絶対に5割にしたい試合でこうやって勝ちきってくれたというのはうれしい」
  上を見れば、首位ヤクルトとの差は11ゲームもある。下を見れば、最下位にいる中日とも3.5ゲームと決して安全圏とは言えない。しかし、春先の迷走ぶりを思えば、信じられないほどの快進撃に、奇跡の逆転優勝への道筋は明確に見えるようになっている。

 そんな後半戦に向けては矢野監督の言葉が頼もしい。

「首位のヤクルトとの差を考えるというよりも、これは常々言っていますけど僕たちの戦いをどれだけできるか。そのドラマを信じた中で貫けるか。そういうことが1番大事だと思っているんで。是非、ドラマを起こしたいと思います」

 オールスターブレイク明けの後半戦は、甲子園でのヤクルト戦から幕を開ける。可能性は低くとも、猛虎の戦士たちが「ドラマを起こす」姿を信じてみたい。

構成●THE DIGEST編集部

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