【データで見る「後半戦要注目選手】パ・リーグ編】不運に見舞われたオリックス・宮城。悩める助っ人も今後は上向くはず<SLUGGER>

【データで見る「後半戦要注目選手】パ・リーグ編】不運に見舞われたオリックス・宮城。悩める助っ人も今後は上向くはず<SLUGGER>

昨季新人王の宮城は前半戦にその輝きは見せられなかったが、運に見放されていたと見ることもできた。写真:塚本凛平(THE DIGEST)

プロ野球は前半戦が終了した。大記録が飛び交った2022年の前半戦だが、一方で期待を裏切ってしまった選手もいる。そこで今回は後半戦の巻き返しが期待できるパ・リーグの3選手をピックアップした。

●宮城大弥(オリックス
16登板 97.1イニング 6勝5敗 防御率3.70

 昨季は13勝4敗、防御率2.51を記録して新人王を獲得した宮城だが、今季はここまで6勝5敗、防御率3.70。防御率は1点以上悪化している。ただ、投球内容を詳しく見ると、実は昨季と比べてそこまで悪いわけではない。

 K%(奪三振/対戦打者)は昨季の22.1%から今季も変わらず、BB%(与四球/対戦打者)は昨季の6.6%から4.9%と、むしろ改善に成功している。にもかかわらず防御率がこれほど悪化しているのは、自身にはコントロールできない部分による部分が大きい

 インプレー打球がアウトになる割合は、優れた投手でも数字を安定させるのは難しく、自軍の守備力や運の影響を大きく受けることが分かっている。どんな投手でも力量に関係なく、7割ほどに収束する傾向がある。

 このアウト割合「DER(Defensive Efficiency Ratio)」を見ると、宮城は昨季.724と7割以上の確率でインプレー打球がアウトになっていた。しかし今季は.661と大きく下降。これは前半戦終了時点で規定投球回に到達した両リーグ22投手の中で最も悪い値だ。この不運が継続する可能性は低く、後半戦に成績を回復させる見込みは大きい。
 ●隅田知一郎(西武)
11登板 59.1イニング 1勝7敗 防御率3.19

 宮城と同じく後半戦の改善が期待できそうな投手が隅田(西武)だ。昨年のドラフトで4球団から1位指名を受けるなど即戦力として期待されたが、ここまで1勝7敗と勝敗上は大きく苦戦している。防御率は3.19と一定の水準に達しているものの、失点率は3.79。投高打低の今季の環境を考えるとやや失点が多い。

 ただ、この隅田の成績も運や守備力が悪影響を与えている。宮城のDERが.661と規定投球回到達投手で最も低いと紹介したが、隅田の値は宮城よりもさらに低い.625。これは前半戦に50イニング以上を投げた両リーグ63投手の中で最も悪い値だ。

 DERのパ・リーグ平均は.710。隅田はリーグ平均レベルの投手に比べ、インプレー打球が1割ほど多く安打になっていたようだ。投球自体は悪くないため、成績が回復する見込みは大きい。

【動画】確信の一発! ロッテ・マーティンの特大アーチをチェック●レオネス・マーティン(ロッテ)
225打席 打率.161 7本塁打 21打点 OPS.600

 前半戦、ロッテの主砲マーティンは大不振に見舞われた。打率は.161に低迷、昨季まで.850前後で安定していたOPS(出塁率+長打率)は.600にまで落ち込んでいる。

 ただ、マーティンの打撃に大きな変化があったのかというと、そういうわけではない。衰えを見せる打者であれば、空振りや三振が増加したり、ボール球に手を出すことが増えるケースも多いが、マーティンの場合はそうした傾向は見られない。空振り率は昨季の14.5%からほぼ横ばいの14.4%だ。

 にもかかわらずこれほど数字を落としているのは、宮城や隅田同様、インプレー打球の結果による部分が大きい。インプレー打球がどれだけ安打になったかを表す「BABIP(Batting Average on Balls In Play)」という指標がある。先ほど紹介したDERを反転させたような指標だ。BABIPのリーグ平均値は.300程度だが、今季のマーティンはわずか.187。これは前半戦に200打席以上に立ったセパ79打者のうち、ワーストの値である。
  投手同様、打者についてもインプレー打球がアウトになるか安打になるかには、運がついてまわる。ただ、打者についてはインプレー打球の結果をある程度コントロールできることも分かっている。ほぼコントロールが不可能な投手と違って、この値が高い・低い傾向が継続する打者もなかにはいるのだ。

 実際、マーティンは例年BABIPが.250前後と非常に低い傾向が続いていた。しかし、それにしても.187は低すぎる。成績低下には少なからず不運が絡んでいる面はありそうだ。BABIP以外で明確に悪化しているデータも見られず、後半戦の巻き返しも十分期待できるのではないだろうか。

※データは前半戦終了時点

文●DELTA(@Deltagraphs/https://deltagraphs.co.jp/)

【著者プロフィール】
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』の運営、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート5』(水曜社刊)が4月6日に発売。

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