「DH問題」も「先発6人ローテーション」もトレードの障壁にはならない?現地報道が示唆するオフの“大谷争奪戦”激化<SLUGGER>

「DH問題」も「先発6人ローテーション」もトレードの障壁にはならない?現地報道が示唆するオフの“大谷争奪戦”激化<SLUGGER>

すでにチームは消化試合。大記録達成もどこか虚しく響くのは気のせいか?(C)Getty Images

大谷翔平(エンジェルス)はトレードされなかった。だが、彼の動向をめぐる“狂騒曲”はまだ続いているようだ。

 8月11日(現地)、『ニューヨーク・ポスト』紙のジョン・ヘイマン記者が「エンジェルスは大谷を放出する最大のチャンスを逃した」と題する記事を発表。2日のトレード・デッドラインを前に、ヤンキースをはじめ「半分かそれ以上のチーム」が大谷獲得を目指してエンジェルスに接触したこと、エンジェルスのオーナー、アート・モレノが放出を許可しなかったことを報じた。

 つい数日前には、パドレスのAJ・プレラーGMもホアン・ソト獲得前に大谷のトレードを検討していたと明言している。多くのチームがこの夏、“球界のユニコーン”獲得を画策していたことは、どうやら間違いなさそうだ。

 この事実は、今後の大谷の動向を考える上で極めて重要な意味を持つ。 というのも、つい最近まで、大谷のトレードが成立しない理由として、二刀流の「特殊性」を挙げる声が少なからずあったからだ。

 大谷の現在の出場パターンは、原則DHとして毎日出場し、週1回先発マウンドに立つというもの。この起用法を遵守するなら、獲得チームには2つの対応が求められる。

 まず1つはDHを事実上、大谷専用のポジションにすることだ。一方、ヤンキースの今季のDH起用状況を見るとジャンカルロ・スタントンが37試合、ジョシュ・ドナルドソンが21試合、アーロン・ジャッジが18試合、マット・カーペンターが16試合……という具合で複数の選手が分け合っている。

 ベテラン選手を「半休」のような形でDH起用し、肉体的な負担を軽減することが主たる目的だ。そんな中で大谷が加入したら、チーム全体の選手起用法を根底から見直さなければならない。

 6人ローテーションについても同じだ。若手中心、あるいは実力者不在のチームならともかく、ヤンキースにはゲリット・コールという大エースがいる。健康なら年間200イニングは確実に期待でき、サイ・ヤング賞争いにも加わるであろうコールが、自らの登板機会を減らすような措置に合意するだろうか? という懸念があった。 だが、大谷獲得に動いたことが事実なら、DH問題も先発6人ローテーション問題も、ヤンキースはさほど深刻な難題として捉えていないか、もしくは十分解決可能だと考えているかのどちらかだ。

 ヤンキースだけではない。ヘイマンの記事には「半分のチームかそれ以上」が大谷獲得を目指した、と書かれている。メッツ、ドジャース、ホワイトソックス、そして同地区のマリナーズ、レンジャーズ……と、潜在的なトレード相手は他にも数多くある。
  記事にはもう一つ、気になる記述があった。「大谷がチームを出たいと言っていれば、モレノもトレードを真剣に検討せざるを得なかったかもしれない」というものだ。すでにエンジェルスの球団内部では、大谷を放出することが長期的に見てチームのメリットになるという声が少なからずあるようだ。大谷からのトレード要求は、逡巡するオーナーの背中を押す「最後の一手」になるということだろう。

 シーズンが終わり、ストーブリーグが迎える時点でもし大谷がトレードを要求したら、その時こそモレノは重い決断を下すのか。そうなった場合、この夏とは比較にならないほど激しい“大谷争奪戦”が繰り広げられることだろう。

構成●SLUGGER編集部
 

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