【甲子園で評価を上げた野手5人】“大会MVP”の浅野はドラ1指名確定的!? 大阪桐蔭・松尾&聖光学院・山浅の大型捕手もさすが<SLUGGER>
2022年08月25日 08時02分THE DIGEST

熱戦続いた甲子園が終了。いよいよドラフトの時期が近づいている。果たして今夏の大舞台で評価を上げた選手は? 圧倒的打棒を見せつけた浅野(左)や大型捕手・松尾らが傑出した才能を示した。写真:塚本凛平(THE DIGEST)
仙台育英の初優勝で幕を閉じた夏の甲子園。ドラフト候補という意味では目玉不在と言われていたが、それでもプロのスカウトを唸らせた選手はいた。今年の甲子園で評価を上げたドラフト候補について、投手、野手それぞれ5人ずつピックアップして紹介したいと思う。今回は野手編だ。
●浅野翔吾(高松商・外野手)
投手、野手関係なく最も強烈なインパクトを残したのはこの浅野だろう。初戦の佐久長聖戦ではストレートを右中間の最深部へ運び、変化球をレフトスタンドへライナーで叩き込む2打席連発。準々決勝では山田陽翔(近江)の146キロ速球をセンターバックスクリーンへ放り込んでみせた。
全身を使ったフルスウィングは迫力十分で、170㎝という上背の低さもまったく気にならない。パワーだけでなく打撃には柔らかさもあり、対応力の高さも光る。今大会の活躍で一気にドラフト1位指名の可能性が高まったと言えそうだ。
●松尾汐恩(大阪桐蔭・捕手)
1回戦の旭川大高戦は3安打2打点、2回戦の聖望学園戦では2打席連続ホームランを含む4安打5打点と、センバツに続いてさすがのバッティングを見せた。3回戦以降の2試合は厳しいマークもあって計1安打に終わったが、しっかりボールを見極めて大会4試合で6四球と、積極性と選球眼の良さを兼ね備えている。
また守備でも、2.00秒を切れば強肩と言われるイニング間のセカンド送球で1.7秒台をマークし、実戦でも見事な送球で盗塁を阻止した。高校生捕手としては中村奨成(広陵→2017年広島1位)以来の大物であり、1位指名も十分期待できるだろう。
●山浅龍之介(聖光学院・捕手)
高校球界全体でも松尾に次ぐ存在と言える強肩強打の捕手。捕球から送球の流れは極めてスムースで二塁送球はコンスタントに1.8秒台をマークし、コントロールも素晴らしい。バッティングも春から比べて明らかにパワーアップしており、ホームランこそなかったものの、ライトへたびたび大飛球を放った。
高校3年時点では、同じ聖光学院出身の佐藤都志也(ロッテ)と比べても総合力で上回っている印象を受ける。進路はまだ不明だが、プロ志望なら指名の可能性は高いだろう。
●戸井零士(天理・遊撃手)
内野手に注目選手がいないと言われた今大会にあって、最もプロに近い存在がこの戸井だ。派手さはないものの、180㎝・85㎏と大柄ながらフットワークに軽さがあり、堅実な遊撃守備は高校球界トップクラス。もう少しスローイングに強さが出てくれば、プロでもショートとして勝負できる可能性は高い。
敗れた海星戦ではたびたび相手守備のファインプレーに阻まれたが、1回戦の山梨学院戦では広角に強く打ち分けて3安打を放った。貴重な大型の打てるショートとして、ドラフトでも高い注目を集めることになりそうだ。
●前田一輝(鳴門・外野手)
スケールの大きさが魅力の外野手。チームは1回戦で近江に敗れたものの、自身は山田陽翔の148キロ速球をはじき返す適時三塁打を放って存在感を示した。190㎝の大型選手だが決して力任せではなく、バランスのいいスウィングが光る。変化球に対しても長く見て対応しようという姿勢が目についた。
また、投手としても楽々と140キロ以上のスピードをマークしており、脚力も水準以上を備えている。まだ攻守ともに粗さが残り、プロで戦力になるまでには時間がかかるタイプに見えるものの、これだけのサイズがあって運動能力が優れた選手は貴重。高く評価している球団もあるはずだ。
文●西尾典文
【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。
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●浅野翔吾(高松商・外野手)
投手、野手関係なく最も強烈なインパクトを残したのはこの浅野だろう。初戦の佐久長聖戦ではストレートを右中間の最深部へ運び、変化球をレフトスタンドへライナーで叩き込む2打席連発。準々決勝では山田陽翔(近江)の146キロ速球をセンターバックスクリーンへ放り込んでみせた。
全身を使ったフルスウィングは迫力十分で、170㎝という上背の低さもまったく気にならない。パワーだけでなく打撃には柔らかさもあり、対応力の高さも光る。今大会の活躍で一気にドラフト1位指名の可能性が高まったと言えそうだ。
●松尾汐恩(大阪桐蔭・捕手)
1回戦の旭川大高戦は3安打2打点、2回戦の聖望学園戦では2打席連続ホームランを含む4安打5打点と、センバツに続いてさすがのバッティングを見せた。3回戦以降の2試合は厳しいマークもあって計1安打に終わったが、しっかりボールを見極めて大会4試合で6四球と、積極性と選球眼の良さを兼ね備えている。
また守備でも、2.00秒を切れば強肩と言われるイニング間のセカンド送球で1.7秒台をマークし、実戦でも見事な送球で盗塁を阻止した。高校生捕手としては中村奨成(広陵→2017年広島1位)以来の大物であり、1位指名も十分期待できるだろう。
●山浅龍之介(聖光学院・捕手)
高校球界全体でも松尾に次ぐ存在と言える強肩強打の捕手。捕球から送球の流れは極めてスムースで二塁送球はコンスタントに1.8秒台をマークし、コントロールも素晴らしい。バッティングも春から比べて明らかにパワーアップしており、ホームランこそなかったものの、ライトへたびたび大飛球を放った。
高校3年時点では、同じ聖光学院出身の佐藤都志也(ロッテ)と比べても総合力で上回っている印象を受ける。進路はまだ不明だが、プロ志望なら指名の可能性は高いだろう。
●戸井零士(天理・遊撃手)
内野手に注目選手がいないと言われた今大会にあって、最もプロに近い存在がこの戸井だ。派手さはないものの、180㎝・85㎏と大柄ながらフットワークに軽さがあり、堅実な遊撃守備は高校球界トップクラス。もう少しスローイングに強さが出てくれば、プロでもショートとして勝負できる可能性は高い。
敗れた海星戦ではたびたび相手守備のファインプレーに阻まれたが、1回戦の山梨学院戦では広角に強く打ち分けて3安打を放った。貴重な大型の打てるショートとして、ドラフトでも高い注目を集めることになりそうだ。
●前田一輝(鳴門・外野手)
スケールの大きさが魅力の外野手。チームは1回戦で近江に敗れたものの、自身は山田陽翔の148キロ速球をはじき返す適時三塁打を放って存在感を示した。190㎝の大型選手だが決して力任せではなく、バランスのいいスウィングが光る。変化球に対しても長く見て対応しようという姿勢が目についた。
また、投手としても楽々と140キロ以上のスピードをマークしており、脚力も水準以上を備えている。まだ攻守ともに粗さが残り、プロで戦力になるまでには時間がかかるタイプに見えるものの、これだけのサイズがあって運動能力が優れた選手は貴重。高く評価している球団もあるはずだ。
文●西尾典文
【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。
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