【高校生ドラフト候補ベストナイン】難航した投手は北海道の豪腕を、激戦の捕手は大阪桐蔭・松尾汐恩で決まり。高松商・浅野翔吾も納得の選考に<SLUGGER>

【高校生ドラフト候補ベストナイン】難航した投手は北海道の豪腕を、激戦の捕手は大阪桐蔭・松尾汐恩で決まり。高松商・浅野翔吾も納得の選考に<SLUGGER>

今年のドラフトを沸かせる高校生は一体? 甲子園でも存在感を放った浅野(右)、松尾(左)の他にも好素材がひしめいている。写真:塚本凛平(THE DIGEST)

9月にU-18W杯、10月には国体が行なわれるが、夏の甲子園が終わった今年の高校3年生世代のドラフト候補についてはある程度の評価が固まったのは間違いない。そこで、夏の甲子園の出場を逃した選手も含め、今年のドラフト候補という観点から各ポジションの最有力選手をベストナイン形式で選出してみたい。

【ドラフト候補高校生ベストナイン】
・投手:斉藤優汰(苫小牧中央)
・捕手:松尾汐恩(大阪桐蔭)
・一塁:内田湘大(利根商)
・二塁:大塚智也(帝京)
・三塁:内藤鵬(日本航空石川)
・遊撃:戸井零士(天理)
・外野:浅野翔吾(高松商)
・外野:西村流糸(京都外大西)
・外野:井坪陽生(関東一)


 まず選考が難しかったのが投手だ。現時点での完成度では、甲子園でも大活躍した山田陽翔(近江)が筆頭格で、サウスポーでは門別啓人(東海大札幌)なども有力候補だろう。しかし、スケールの大きさから斉藤優汰(苫小牧中央)を選出した。

 最速151キロのストレートがクローズアップされるが、アベレージも140キロ台中盤をマークし、好調時は変化球のコントロールも安定している。勝負所でしっかりギアを上げてスピードアップし、三振を奪えるのも魅力だ。育成に時間がかかるタイプに見えるが、山下瞬平大(福岡大大濠→20年オリックス1位)の高校時代と比べてもあらゆる面で遜色なく、1位指名の可能性もあるだろう。
  捕手は甲子園出場組だけでなく地方敗退組も好素材が多い。しかし総合的に見て、松尾汐恩(大阪桐蔭)がナンバーワンになる。

 昨秋までは少しバットを引く動きが大きく急な始動が気になったが、徐々に動きが小さくシンプルになり、対応力が向上。軽く振っているようでもヘッドが走り、遠くへ飛ばすコツを理解した感がある。守備面でも昨年から確実に成長しており、スローイングの速さは目を見張るものがある。内野手として推す声もあるが、ぜひ打てる捕手として育ててもらいたい素材だ。

 内野手は右の強打者タイプ4人が揃った。一塁の内田湘大(利根商)はフォローの大きい豪快なスイングが持ち味で、夏の群馬大会では2本塁打を放った。投手としても最速149キロを誇る強肩で動きの良さも抜群。高校では投手としての負担を考えて一塁を守っていたが、能力的には他のポジションもこなせるだろう。

 ドラフト候補に絞ると、二塁は最も手薄なポジションという印象だが、東京を代表する強打の内野手・大塚智也(帝京)を選んだ。175センチと上背はそれほどないがたくましい体格を誇り、強靭な下半身が生み出す長打力も申し分ない。夏の東東京大会では強力打線の4番に座って13打数11安打、打率.846と圧倒的な成績を残した。二塁守備も堅実でスピード感も十分。大学進学との話だが、4年後のドラフト有力候補になるかもしれない。 三塁は、今年の高校球界を代表するスラッガーの内藤鵬(日本航空石川)を選んだ。1年秋の北信越大会で初めてプレーを見たが、当時から存在感は際立っており、その後も順調に成長を重ねている。体重100キロの巨漢でパワーももちろん魅力だが、スイングには悪い癖がなく、柔らかさも備えている。夏は厳しいマークに苦しんだが、それでも打った瞬間に分かるアーチを逆方向に叩き込むなど片鱗をのぞかせた。

 ショートはイヒネ・イツア(誉)光弘帆高(履正社)金田優太(浦和学院)らも有力候補だったが、総合力を判断して戸井零士(天理)を選出した。もう少しスローイングの強さが欲しいところだが、フットワークが軽く、とにかくボールをこぼさない球際の強さが光る。見ていて安心できる高校生遊撃手はなかなかいるものではない。バッティングも無駄な動きがなく、しっかり振って広角に強く弾き返す。派手さはなくても、堅実な働きを計算できる選手になるのではないか。
  外野手は全国に好素材が多い激戦区で、高校球界を代表する強打者が並んだ。浅野翔吾(高松商)は甲子園での大活躍でドラフト1位を確実なものとした印象が強い。170センチと小柄なら、バッティングがいい意味で大きく、ヘッドスピードは圧倒的。守備の動きが少し緩慢な時があるものの脚力も申し分ない。本人は中距離打者を目指すとのことだが、ポテンシャルはもっと大きいはずだ。

 西村瑠伊斗(京都外大西)は、打撃技術では今年の高校生ナンバーワンとの声も上がる左の強打者。少し前傾した構えの独特なスタイルだが、鋭く振り出して芯で捉える能力が優れ、広角に長打を放つ。

 夏の京都大会も6割を超える高打率を残し、4本塁打を放った。そこまで身体が大きくなくても遠くへ飛ばすことができるだけに、しっかり鍛えればさらに長打力を伸ばす可能性も高い。俊足に加え、投手として140キロを超える強肩も魅力だ。

 井坪陽生(関東一)も関東を代表する強打の外野手。バットを高く上げた構えは迫力十分で、軽く払ったようなスイングでも楽に外野の頭を超える長打力が光る。秋までは力を持て余している印象だったが、春以降は上手く脱力して楽にバットを振れるようになり、確実性もアップした。センターの守備範囲の広さ、肩の強さも十分で外野手としての総合力も高い。

 今のところ大塚以外はプロ志望と見られており、各ポジションにスカウト陣の評価が高い選手が揃った印象だ。誰がどの球団に何位で指名されるのか。10月20日のドラフト会議でもぜひ注目してもらいたい。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。

【関連記事】感動を呼ぶ大反響! 仙台育英・須江監督の優勝インタビューがトレンド入り「青春って密なので」「全国の高校生に拍手を」

【関連記事】【2022ドラフト候補ランキング|1~10位】トップ2は矢澤&蛭間で変わらず。日本文理・田中も“二刀流”に可能性を秘める

【関連記事】“怪物”浅野翔吾の甲子園は3本塁打、OPS2.600で終了。圧巻だったパワー以上に驚異的なあるスタッツとは?

関連記事(外部サイト)

  • 記事にコメントを書いてみませんか?