阪神やDeNAは獲得すれば未来は安泰? 課題の守備力も向上した“打てる捕手”松尾汐恩を推したい理由――“超高校級逸材3傑”の未来を占う

阪神やDeNAは獲得すれば未来は安泰? 課題の守備力も向上した“打てる捕手”松尾汐恩を推したい理由――“超高校級逸材3傑”の未来を占う

以前から打力に定評があった松尾。この夏には守備面でもプロに通用するぐらいに成長した証を見せた。写真:塚本凜平

アメリカで開催されていたU-18ワールドカップも終わり、現在の高校3年生世代の試合は、公開競技として行なわれる国民体育大会を残すのみ。ドラフト会議が約1か月後に迫り、高校球界逸材たちの進路に対する関心も高まっている。

 今年の甲子園を経験した「スター」と言える選手で、プロ入りが有力視されているのは、浅野翔吾(高松商)、山田陽翔(近江)、松尾汐恩(大阪桐蔭)だろう。

 では、すでに多くのプロ球団がリストアップしているとされる彼らにマッチしそうな球団はどこか。現在のチーム事情などから探ってみたいと思う。今回は、松尾のポテンシャルを分析している。

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 強肩強打の高校ナンバーワン捕手として高い注目を集めている松尾。しかし、昨秋の時点ではそこまで圧倒的な評価を得ていたわけではなかった。特に不安視されていたのが守備面だ。

 中学時代はピッチャーとショートでプレーしてきた松尾がキャッチャーに転向したのは、高校入学後。そうした背景もあって、昨年まではキャッチングやブロッキングで軽率なプレーが目立っていた。
  しかし、春から夏にかけて守備面は全般的に向上。ハンドリングが改善され、持ち味の強肩がさらに活きるようになった。今夏の甲子園ではプロでもトップクラスとなる1.7秒台という二塁への送球タイムもマークし、その成長ぶりを存分にアピール。また、打撃もバットを引く動きが小さくなり、確実性がアップした印象だ。近年の高校生捕手では2球団が競合した中村奨成(広陵→広島)に近い評価を得ていると言える。

 正捕手候補が欲しい球団は少なくない。そのなかで、最初に挙げたいのが、先日に松尾を1位候補としていると報じられた阪神だ。

 現状、阪神の捕手陣は、来年で正捕手の梅野隆太郎が32歳、2番手の坂本誠志郎が30歳となり、そろそろ新たなレギュラー候補が欲しい年代となっている。近年のドラフトでは藤田健斗、中川勇斗と高卒捕手を獲得し、ともに二軍では成長が見られるが、正捕手候補となるかに関しては未知数な部分が多いのは事実だ。

 また、大卒の栄枝裕貴も含めて若手捕手は守備型の選手という印象が否めない。そのロースター状況を考えても、打撃の評価が高い松尾を獲得して将来的な正捕手の候補とするのも、チームの将来を見据えても良い選択ではないだろうか。数年後には松尾が正捕手で藤田と中川が控えとして支えるという形ができれば、阪神のキャッチャー事情は長く安泰となる可能性は高いと言える。 捕手事情という意味では、DeNAも転換期を迎えている。

 現在は嶺井博希、戸柱恭孝、伊藤光の3人が主にマスクをかぶっているが、揃って30歳を超えており、彼らに次ぐ存在となると大きな力の差があるというのが現状だ。阪神と同様に益子京右、東妻純平と高卒捕手は積極的に獲得しているが、いずれも下位での指名であり、将来の正捕手候補と呼ぶには少し物足りない。

 浅野(高松商)の獲得も有力な球団のひとつとして挙げたが、ここ数年の懸念ポイントである捕手を優先して松尾を真っ先に指名するというのも選択肢として面白いのではないだろうか。
  一方のパ・リーグではオリックスを挙げたい。伏見寅威、若月健矢、頓宮裕真の3人を上手く使い分けているが、伏見はベテランとなり、頓宮はファーストでの起用も多いことを考えると有力な正捕手候補が欲しいという声が出てもおかしくはない。

 この2年のドラフトで獲得した中川拓真、福永奨の2人が守備重視の選手という点も阪神、DeNAと重なる部分である。投手、野手とも上位指名した高校卒の楽しみな選手が多く、またレギュラー陣の顔ぶれを見ても無理に即戦力候補を指名しなくても良い印象を受ける。ここに捕手のトッププロスペクトが加われば、更にチームの将来は明るくなるのは間違いない。

 昨年はロッテが松川虎生を1位で指名し、1年目から佐々木朗希の完全試合達成に貢献するなど大きな戦力となっている。松川もプロ入り前はそこまで守備面の評価が高かったわけではなく、捕手としてのポテンシャルの高さは松尾も大差はないという印象だ。とくに「打てる捕手」は希少価値が高いだけに、思い切って最初の入札で1位指名する球団が出てくるのも大いに考えられるだろう。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。

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