【出野哲也が推すWBCベストメンバー28人】「国を背負って戦った経験」を重視。投手ではあの若手右腕を大抜擢!<SLUGGER>
2022年11月11日 11時45分THE DIGEST

来年3月に開催されるWBC。強化試合で3HRの村上(右)などNPB勢に加え、大谷(中央)、鈴木(左)らMLB勢の参戦も期待される。写真:Getty Images(鈴木、大谷)/滝川敏之(村上)
オーストラリアとの強化試合を終えた侍ジャパン。来年3月のWBCへ向け、28人の代表は一体どのような面々になるのか。『プロ野球ドラフト総検証』などの著書で知られる出野哲也氏が「理想のベストメンバー」を選出した。
【動画】村上宗隆が強化試合3戦連発となる豪快な一発! 豪州戦ハイライト
【投手】
ダルビッシュ有(パドレス)
大谷翔平(エンジェルス)
山本由伸(オリックス)
千賀滉大(FA)
佐々木朗希(ロッテ)
青柳晃洋(阪神)
今永昇太(DeNA)
高橋宏斗(中日)
平良海馬(西武)
栗林良吏(広島)
松井裕樹(楽天)
岩崎優(阪神)
清水昇(ヤクルト)
13人の投手のうち、先発タイプは8人、リリーフタイプが5人。投球制限が設けられるWBCでは、先発は実質的に「2人で1人分」と数えなくてはならないため、これが適正な人数だと考えられる。右の本格派が多いので、左の今永、サイドハンドの青柳を上手に挟むと、目先が変わってなお効果的になりそうだ。
過去のWBCおよび2021年の東京五輪経験者が9人(17年のWBCを辞退した大谷は除く)で、初選出は佐々木、高橋、清水の3人。戸郷翔征や大勢(ともに巨人)、宮城大弥に山﨑颯一郎(ともにオリックス)ら、強化試合でも好投した“旬”の若手を抜擢してはどうか、との声もあるだろう。アメリカやカリブ諸国と対戦する際には、彼らのように力で勝負できる投手が必要……との見方は一理ある。 しかし、ペナントレースや強化試合と、国際試合の本番では緊張度は明らかに違う。「国を背負って戦う」経験を持つ者の方が、同程度の実力であれば未経験者よりふさわしいと判断した。リリーフ要員では清水だけがそうした舞台に立っていないけれども、ここ2年間の安定した投球内容と、日本シリーズを経験している点を評価した。
気になるのは、千賀も含めれば3人になるメジャー勢の動向。ダルビッシュと大谷は、他国のメジャーリーガーに与える威圧感が段違いなので、絶対に欠かせない。準決勝、決勝に進んだ場合に先発を任せるのもこの2人になる。大谷は未定とは言いながらも、本人が前向きであるだけでなく、エンジェルスも反対していないようなので大丈夫だろう。
だが、新しいチームに加わるはずの千賀は、辞退の可能性が高そうで、その場合の代わりは戸郷。もしダルビッシュまでも出られないとなれば、先発・リリーフのどちらでも起用できる伊藤大海(日本ハム)を東京五輪に続いて招集したい。
【捕手】
森友哉(西武)
甲斐拓也(ソフトバンク)
坂倉将吾(広島)
【内野手】
山川穂高(西武)
浅村栄斗(楽天)
菊池涼介(広島)
山田哲人(ヤクルト)
村上宗隆(ヤクルト)
源田壮亮(西武)
今宮健太(ソフトバンク)
【外野手】
鈴木誠也(カブス)
吉田正尚(オリックス)
近藤健介(FA)
塩見泰隆(ヤクルト)
近本光司(阪神)
野手も投手と同様、国際試合の経験がある選手を主に選んだ。まず捕手は、総合力ナンバーワンの森は確定。甲斐は22年の不振が酷かった点が気にはなるが、東京五輪でも1試合を除いてすべて先発マスクをかぶり、今回の代表投手たちの多くをリードした安心感は他に代え難い。3番手には一塁・三塁の控えを兼ねて坂倉を選んだ。
内野は一塁1人、二塁3人、三塁1人、遊撃2人。基本的な布陣は一塁・山川、三塁・村上、遊撃・源田で、二塁は相手に応じて使い分ける。一塁の控えは浅村、三塁は坂倉がカバー。村上は故障でも抱えていない限り、4番打者としてフル出場が期待される。 迷ったのは二塁で、牧秀悟(DeNA)と吉川尚輝(巨人)も候補だった。結局、東京五輪メンバーの3人としたのは、前述の通り経験を重視したのと、牧よりも菊池、山田の守備面の安定感を優先したためだ。浅村か山田が怪我などで外れるとしたら牧、菊池の場合は同じ好守タイプの吉川で補充する。同じように、村上か山川が出られなければ、一・三塁の長距離砲が必要になるので岡本拓真(巨人)を代役に据える。
外野の基本形はレフトが吉田、ライトは鈴木。センターは左の近本、右の塩見を併用し、大谷・鈴木・村上で組む中軸の前の1番打者としても想定している。
もっとも、吉田は千賀と同様にメジャー移籍となれば出場を見送る恐れがある。その場合はスラッガータイプの外野手を穴埋めする必要が出てくる。第一候補は柳田悠岐(ソフトバンク)。そもそもなぜ5人の中に入らないのか、と訝る向きもあるだろうが、守備面での衰えもあり、現状では上記の5人が上と判断した。センターで丸佳浩(巨人)を選んでいない理由も同じだ。
また、三塁を守れる佐藤輝明(阪神)を入れた方が選択の幅は広がるかもしれない。吉田が不参加の場合は、レフトには近藤を入れて1番打者として使いたい。彼の選球眼は、投球制限のあるWBCでは一層重要性が高まるからだ。
なお19年のプレミア12では、周東佑京(ソフトバンク)が走り屋として活躍した姿が印象に残っている。今回は選ばなかったが、栗山英樹監督が好みそうなタイプとあって、実際には選出される可能性も高そうだ。 千賀と吉田が出られないようなら戦力は多少ダウンするけれども、戸郷と柳田が加わればダメージは最小限に抑えられる。その他のポジションも同様で、誰が欠けても(大谷だけは別かもしれないが)戦えるくらい日本は選手層が厚い。そしてWBCに懸ける思い入れも他のどの国よりも強いと言っていいはずだ。その2つの長所を武器にして、3度目の頂点を目指したい。
文●出野哲也
【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『メジャー・リーグ球団史』『プロ野球ドラフト総検証1965-』(いずれも言視舎)。
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【投手】
ダルビッシュ有(パドレス)
大谷翔平(エンジェルス)
山本由伸(オリックス)
千賀滉大(FA)
佐々木朗希(ロッテ)
青柳晃洋(阪神)
今永昇太(DeNA)
高橋宏斗(中日)
平良海馬(西武)
栗林良吏(広島)
松井裕樹(楽天)
岩崎優(阪神)
清水昇(ヤクルト)
13人の投手のうち、先発タイプは8人、リリーフタイプが5人。投球制限が設けられるWBCでは、先発は実質的に「2人で1人分」と数えなくてはならないため、これが適正な人数だと考えられる。右の本格派が多いので、左の今永、サイドハンドの青柳を上手に挟むと、目先が変わってなお効果的になりそうだ。
過去のWBCおよび2021年の東京五輪経験者が9人(17年のWBCを辞退した大谷は除く)で、初選出は佐々木、高橋、清水の3人。戸郷翔征や大勢(ともに巨人)、宮城大弥に山﨑颯一郎(ともにオリックス)ら、強化試合でも好投した“旬”の若手を抜擢してはどうか、との声もあるだろう。アメリカやカリブ諸国と対戦する際には、彼らのように力で勝負できる投手が必要……との見方は一理ある。 しかし、ペナントレースや強化試合と、国際試合の本番では緊張度は明らかに違う。「国を背負って戦う」経験を持つ者の方が、同程度の実力であれば未経験者よりふさわしいと判断した。リリーフ要員では清水だけがそうした舞台に立っていないけれども、ここ2年間の安定した投球内容と、日本シリーズを経験している点を評価した。
気になるのは、千賀も含めれば3人になるメジャー勢の動向。ダルビッシュと大谷は、他国のメジャーリーガーに与える威圧感が段違いなので、絶対に欠かせない。準決勝、決勝に進んだ場合に先発を任せるのもこの2人になる。大谷は未定とは言いながらも、本人が前向きであるだけでなく、エンジェルスも反対していないようなので大丈夫だろう。
だが、新しいチームに加わるはずの千賀は、辞退の可能性が高そうで、その場合の代わりは戸郷。もしダルビッシュまでも出られないとなれば、先発・リリーフのどちらでも起用できる伊藤大海(日本ハム)を東京五輪に続いて招集したい。
【捕手】
森友哉(西武)
甲斐拓也(ソフトバンク)
坂倉将吾(広島)
【内野手】
山川穂高(西武)
浅村栄斗(楽天)
菊池涼介(広島)
山田哲人(ヤクルト)
村上宗隆(ヤクルト)
源田壮亮(西武)
今宮健太(ソフトバンク)
【外野手】
鈴木誠也(カブス)
吉田正尚(オリックス)
近藤健介(FA)
塩見泰隆(ヤクルト)
近本光司(阪神)
野手も投手と同様、国際試合の経験がある選手を主に選んだ。まず捕手は、総合力ナンバーワンの森は確定。甲斐は22年の不振が酷かった点が気にはなるが、東京五輪でも1試合を除いてすべて先発マスクをかぶり、今回の代表投手たちの多くをリードした安心感は他に代え難い。3番手には一塁・三塁の控えを兼ねて坂倉を選んだ。
内野は一塁1人、二塁3人、三塁1人、遊撃2人。基本的な布陣は一塁・山川、三塁・村上、遊撃・源田で、二塁は相手に応じて使い分ける。一塁の控えは浅村、三塁は坂倉がカバー。村上は故障でも抱えていない限り、4番打者としてフル出場が期待される。 迷ったのは二塁で、牧秀悟(DeNA)と吉川尚輝(巨人)も候補だった。結局、東京五輪メンバーの3人としたのは、前述の通り経験を重視したのと、牧よりも菊池、山田の守備面の安定感を優先したためだ。浅村か山田が怪我などで外れるとしたら牧、菊池の場合は同じ好守タイプの吉川で補充する。同じように、村上か山川が出られなければ、一・三塁の長距離砲が必要になるので岡本拓真(巨人)を代役に据える。
外野の基本形はレフトが吉田、ライトは鈴木。センターは左の近本、右の塩見を併用し、大谷・鈴木・村上で組む中軸の前の1番打者としても想定している。
もっとも、吉田は千賀と同様にメジャー移籍となれば出場を見送る恐れがある。その場合はスラッガータイプの外野手を穴埋めする必要が出てくる。第一候補は柳田悠岐(ソフトバンク)。そもそもなぜ5人の中に入らないのか、と訝る向きもあるだろうが、守備面での衰えもあり、現状では上記の5人が上と判断した。センターで丸佳浩(巨人)を選んでいない理由も同じだ。
また、三塁を守れる佐藤輝明(阪神)を入れた方が選択の幅は広がるかもしれない。吉田が不参加の場合は、レフトには近藤を入れて1番打者として使いたい。彼の選球眼は、投球制限のあるWBCでは一層重要性が高まるからだ。
なお19年のプレミア12では、周東佑京(ソフトバンク)が走り屋として活躍した姿が印象に残っている。今回は選ばなかったが、栗山英樹監督が好みそうなタイプとあって、実際には選出される可能性も高そうだ。 千賀と吉田が出られないようなら戦力は多少ダウンするけれども、戸郷と柳田が加わればダメージは最小限に抑えられる。その他のポジションも同様で、誰が欠けても(大谷だけは別かもしれないが)戦えるくらい日本は選手層が厚い。そしてWBCに懸ける思い入れも他のどの国よりも強いと言っていいはずだ。その2つの長所を武器にして、3度目の頂点を目指したい。
文●出野哲也
【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『メジャー・リーグ球団史』『プロ野球ドラフト総検証1965-』(いずれも言視舎)。
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