【ヤクルト】「素直に喜べなかった」リーグ連覇… プロ入り7年目左腕・長谷川宙輝が求めた自主トレと投球動作
2023年02月11日 11時32分THE DIGEST

過去2年満足な働きが出来なかった長谷川。今季に復活を期す。写真:岩国誠
昨シーズン、セ・リーグを連覇した東京ヤクルトスワローズ。チームが喜びに沸く一方、歓喜の輪に加われず悔しい思いを抱えていたものもいる。プロ入り7年目を迎える左腕・長谷川宙輝。「今年は俺も」と、巻き返しを狙う男だ。
【PHOTO】リーグ3連覇と日本一奪還を目指すヤクルトが、沖縄・浦添でキャンプイン!「(二連覇を)素直に喜べなかったのは確かですね。ただ、優勝に貢献するためには、自分がどういう仕事をしたらいいのか。そこは確認できたと思っています」
ソフトバンク育成選手として、プロのキャリアをスタートさせた長谷川だが3年での支配下入りとはならず。2019年オフに、支配下での獲得を打診されたヤクルトへの移籍を決断した。
移籍1年目となった2020年に一軍デビューを果たすと、最速154キロの速球を武器に44試合に登板。チームは最下位に終わったが、オフにはかつて豪腕リリーバーとしてチームを支えた五十嵐亮太さんが背負った”53”へ背番号を変更。将来のスワローズを背負う存在として、大きな期待が寄せられた。
しかし2021年、一軍登板がわずか4試合に終わると、9月には『胸郭出口症候群』と言う血行障害を患っていたことが発覚。「今までの野球人生で一番苦しい時間を過ごす覚悟」と自らのSNSで呟き手術を決断。リハビリ生活の期間にチームはリーグ二連覇を果たした。
「本当に悔しい。それと申し訳ないと言う気持ちがずっとありました。今年ダメだったら先はないと毎年思ってやってきていますが、今年は『これでダメなら仕方ない』というくらいの準備はしてきました」
実戦復帰は去年の6月だった。それまでの日々をどう過ごしていたのか。
「本当に勉強の日々でした。怪我をした部分のことを解剖学的なところからも学ぶ必要性も感じましたし、その上でいかに効率よくトレーニングをしていくのか。もちろん、怪我をしないためのやり方が一番ですが、元の体に戻すのではなく、より強い状態で戻ってこないといけないと思っていたので、勉強と強化、そこを意識してやってきました」
それを踏まえた上で、今オフには3年ぶりに再開された「鴻江スポーツアカデミー」の合同自主トレに参加した。
長谷川が「鴻江スポーツアカデミー」の自主トレに参加するのは、2020年以来2回目。そのとき、主催するアスリートコンサルタント鴻江寿治氏に、上半身から始動した方が良い「うで体」と呼ばれるタイプだと指摘を受けた。元々下半身に意識を置いていた長谷川は、鴻江氏に体に適した上半身主導の投球フォームを教わり、その年のブレイクへとつなげていったのだ。
「コロナのときからお願いしたかったので『ようやく行けた』という感じです。もちろん、体の使い方を再び勉強しようと言う部分もありますが、3年ぶりに鴻江先生にフォームを見てもらったことで、安心感はありました。もちろん、100パーセント先生の言うことを正解というわけではないとは思いますけど、多くのヒントをいただけています。教えてもらったことに反した動きをしないように。そういうところを意識してやっています」
実際に取り組んでいることの一つとして、キャッチボールでボールを投げる前、左肩を回してから投球する動作について、解説してくれた。
「(肩を)柔らかく使うことを意識しています。(うで体なので)左手から始動するにしても、力んで使うのではなく柔らかく使う。リラックスしながら移動していくみたいな感じを意識して、ボールを投げています」
毎日、新しい発見があったと言う鴻江自主トレには、西武の今井達也、大曲練、ロッテの種市篤暉と同じ1998年生まれの3投手のほか、1つ年下の西武・隅田知一郎が参加。同世代の投手たちと汗を流し、大いに刺激を受けたと言う。
「今井や種市はチームを代表するピッチャー。参考にするところもありますが、ただ『スゴいな』だけで片付けてしまってはいけないところもあると思っています。今後はお互いの試合を見て、意見交換できるようになったら、それが一番素晴らしいなと思っています」
キャンプも第2クールに入り、その投球にも力がこもる。6日のブルペンでは変化球の精度を確認しながら50球を投げた長谷川。そのボールを受けていた江花正直ブルペン捕手は、巻き返しを狙う長谷川についてこんなことを話してくれた。
「ケガをしてからファームで練習してきている姿をずっと見てきましたが、本当に1人で黙々と準備していましたね。リハビリ期間中は誰よりも早く来て、トレーナーの指示を受ける前にしっかり準備をしていましたし、セルフケアもしっかりやっていました。二軍で投げられるようになった時には、本当に楽しそうに見えましたね。(今は)力強いボールが投げられるようになってきています」
去年のキャンプは2軍スタート。患部の状態を確認しながらのブルペンだったが、今年は浦添の一軍キャンプでしっかり腕が振れている長谷川。7日にはシート打撃に登板し、12日の練習試合(DeNA戦)で、今季初の実戦登板が見込まれている。
悔しい思いをした2年間を糧に、巻き返しを狙う男・長谷川宙輝。再び輝くための挑戦は、もう始まっている。
取材・文●岩国誠
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移籍1年目となった2020年に一軍デビューを果たすと、最速154キロの速球を武器に44試合に登板。チームは最下位に終わったが、オフにはかつて豪腕リリーバーとしてチームを支えた五十嵐亮太さんが背負った”53”へ背番号を変更。将来のスワローズを背負う存在として、大きな期待が寄せられた。
しかし2021年、一軍登板がわずか4試合に終わると、9月には『胸郭出口症候群』と言う血行障害を患っていたことが発覚。「今までの野球人生で一番苦しい時間を過ごす覚悟」と自らのSNSで呟き手術を決断。リハビリ生活の期間にチームはリーグ二連覇を果たした。
「本当に悔しい。それと申し訳ないと言う気持ちがずっとありました。今年ダメだったら先はないと毎年思ってやってきていますが、今年は『これでダメなら仕方ない』というくらいの準備はしてきました」
実戦復帰は去年の6月だった。それまでの日々をどう過ごしていたのか。
「本当に勉強の日々でした。怪我をした部分のことを解剖学的なところからも学ぶ必要性も感じましたし、その上でいかに効率よくトレーニングをしていくのか。もちろん、怪我をしないためのやり方が一番ですが、元の体に戻すのではなく、より強い状態で戻ってこないといけないと思っていたので、勉強と強化、そこを意識してやってきました」
それを踏まえた上で、今オフには3年ぶりに再開された「鴻江スポーツアカデミー」の合同自主トレに参加した。
長谷川が「鴻江スポーツアカデミー」の自主トレに参加するのは、2020年以来2回目。そのとき、主催するアスリートコンサルタント鴻江寿治氏に、上半身から始動した方が良い「うで体」と呼ばれるタイプだと指摘を受けた。元々下半身に意識を置いていた長谷川は、鴻江氏に体に適した上半身主導の投球フォームを教わり、その年のブレイクへとつなげていったのだ。
「コロナのときからお願いしたかったので『ようやく行けた』という感じです。もちろん、体の使い方を再び勉強しようと言う部分もありますが、3年ぶりに鴻江先生にフォームを見てもらったことで、安心感はありました。もちろん、100パーセント先生の言うことを正解というわけではないとは思いますけど、多くのヒントをいただけています。教えてもらったことに反した動きをしないように。そういうところを意識してやっています」
実際に取り組んでいることの一つとして、キャッチボールでボールを投げる前、左肩を回してから投球する動作について、解説してくれた。
「(肩を)柔らかく使うことを意識しています。(うで体なので)左手から始動するにしても、力んで使うのではなく柔らかく使う。リラックスしながら移動していくみたいな感じを意識して、ボールを投げています」
毎日、新しい発見があったと言う鴻江自主トレには、西武の今井達也、大曲練、ロッテの種市篤暉と同じ1998年生まれの3投手のほか、1つ年下の西武・隅田知一郎が参加。同世代の投手たちと汗を流し、大いに刺激を受けたと言う。
「今井や種市はチームを代表するピッチャー。参考にするところもありますが、ただ『スゴいな』だけで片付けてしまってはいけないところもあると思っています。今後はお互いの試合を見て、意見交換できるようになったら、それが一番素晴らしいなと思っています」
キャンプも第2クールに入り、その投球にも力がこもる。6日のブルペンでは変化球の精度を確認しながら50球を投げた長谷川。そのボールを受けていた江花正直ブルペン捕手は、巻き返しを狙う長谷川についてこんなことを話してくれた。
「ケガをしてからファームで練習してきている姿をずっと見てきましたが、本当に1人で黙々と準備していましたね。リハビリ期間中は誰よりも早く来て、トレーナーの指示を受ける前にしっかり準備をしていましたし、セルフケアもしっかりやっていました。二軍で投げられるようになった時には、本当に楽しそうに見えましたね。(今は)力強いボールが投げられるようになってきています」
去年のキャンプは2軍スタート。患部の状態を確認しながらのブルペンだったが、今年は浦添の一軍キャンプでしっかり腕が振れている長谷川。7日にはシート打撃に登板し、12日の練習試合(DeNA戦)で、今季初の実戦登板が見込まれている。
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