「携帯が爆発するんじゃないかと…」日本代表からHRを放った中国代表選手、梁培が語った大谷翔平と侍ジャパンの姿「すごく楽しかった」【WBC】

「携帯が爆発するんじゃないかと…」日本代表からHRを放った中国代表選手、梁培が語った大谷翔平と侍ジャパンの姿「すごく楽しかった」【WBC】

日本戦でホームランを放った梁培(リャン・ペイ)。写真:鈴木颯太朗

ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で5大会連続の4強入りを果たし、日本列島を連日盛り上げている侍ジャパン。その初戦で、見事に侍ジャパンからHRを放った中国代表選手がいる。梁培(リャン・ペイ)。今回のWBCで彼を知った日本の野球ファンも多いのではないだろうか。彼は日本で生まれ育ち、高校時代は東海大菅生高でプレー。現在は中国北京猛虎に所属し、中国代表として今回のWBCで活躍した。そんな彼に、日本代表戦の裏話や、WBCの感想などを訊いた。 (取材・文:久保田嶺)

――◆――◆――
 
――WBCお疲れ様でした。そして日本戦では素晴らしいホームランでした。本日はその日本戦を中心に、WBC全体の感想などのお話を伺います。
「ありがとうございます。宜しくお願いします」

――まず3月9日の日本代表との試合前、監督からはどの様な指示や戦術の用意があったのでしょうか。
「まず、3月9日の当日にスタメンが発表され、その後に僕と2番バッターの楊が監督室に呼ばれました。そして『1番バッターとして塁に出ろ、チームへ勇気を与えてくれ』と、そして『大谷翔平のストレートを狙っていけ』という指示がありました。そして僕がもし塁に出たらヒットエンドランで速攻を仕掛けにいく、こういう戦術がありました。指示を聞いている時はなかなか“渋い”戦術だなと。しかし結果は僕が三振に終わってしまいました」

――開幕前に話を聞いた際に、梁培選手含め中国人選手たちが大谷選手との対戦を心待ちにしているのが印象的でした。実際に対戦が決まった際はどうでしたか。
「嬉しかったですね。僕を含めて皆が大谷で来てくれと思っていましたので。対戦できるワクワクがありました」

――実際にバッターボックスで対戦してみて、大谷選手の投球はいかがでしたか。
「まず気持ちの面では『あの大谷選手だ』と思いすぎることなく、良い意味で普通の敵として臨めたと思います。そして、1回表の初球はストレートだったと思いますが、そこは正直『速いな』と思いましたね。そしてスイーパー(落ちずに横に大きく曲がるスライダー)も見たことがない曲がり方でした。びっくりしたというか、やはり球が違うなと」
 ――なるほど。やはり大谷選手の投球は特別なわけですね。
「なのでその後の打席はストレートを基本は待ちつつ、変化球も頭に入れておくというイメージでした。ストレートはファウルに出来ていたので、気持ち的にいけるなとは思えました」

――それから試合は進んでいきますが、超満員の東京ドーム、雰囲気などはいかがでしたか。
「試合前は圧倒されるかなと思っていましたが、個人的には集中できました。逆に外野で守っている時は侍ジャパンの応援歌でノっていました。ずっとテレビで聞いていた応援歌だったので、特に山田(哲人)選手の応援歌は守りながら口ずさんでいました。すごく楽しかったです」

――日本野球を知り尽くす梁培選手ならではですね。そこから6回表、梁培選手のホームランになりますが、あれは振り返ってみて狙い通りだったのでしょうか。
「戸郷(翔征)選手に関しては、フォークが素晴らしいというデータが頭の中に入っていました。なので大谷選手と同じかたちで、内角に来るストレートをイメージしつつフォークもケアしていく。そこでホームランの時は、すでに2ストライクに追い込まれていたので、ストレートに絞って、フォークが来たら『空振りでもいいや』という待ち方でした」

【動画】梁培が侍ジャパンから放った一発をプレイバック!――そしてストレートが来て、ホームランになると。
「はい。イメージに近い球がきたので思い切って振ったらホームランになっちゃったという感じです」

――なっちゃったということはご本人も意外だったのでしょうか。
「そうですね。当たった時は長打にはなってレフトの頭は越えるなという感覚だったので、一生懸命走りました。なのでセカンドベースを周るまで、ホームランになったのは分からず『あれ、この静けさはなんだ』とベンチの方を見たら皆が喜んでいて。その時ホームランになったのを知りました」

――そこから流れが中国チームに傾いた気がしましたが、いかがでしたか。
「そうですね。僕のホームランと次の回で真砂選手が先頭バッターでツーベースを打ったので、逆転できるのはここだという中国側ベンチの雰囲気でした。しかし残念ながらそうはいかず、7回に逆転できなかったのが負けにつながったと思います」
 ――日本代表と試合をして、特に印象的だった日本人選手などはいますか。
「同学年の牧(秀悟)選手ですね。共通の友人なども居て、実はセカンドベースで僕が止まることがあれば話したいと思っていました。でも機会がなく、心残りです。話をしてみたかったなと思っています」
 ――試合後の監督やチームメイトの皆さんとは、どんな話をしたのでしょうか。
「監督からは負けてしまったけどナイスゲームだった、切り替えて行こうと。チームメイトとはそれほど話はできなかったです。なぜなら次のチェコ戦が翌日12時からすぐにあったので、そこの準備をすることで精一杯で。興奮して寝つきが悪かったというのもありますが、睡眠時間でいうと4時間とかであっという間にチェコ戦でした。」

――では日本戦のホームランの後はインターネットの反応含めて、いろいろ連絡が来たと思うのですが、ろくに確認できずといった状況でしょうか。
「ありがたいことに携帯が爆発するんじゃないか、というくらいコメントや祝福をいただいて。返信はすぐにはできなかったですが、見られてはいたので本当にありがたかったです。感謝しかないです」

――中国代表としては予選敗退と残念な結果には終わってしまいましたが、良い面も数多くあったと思います。初めてのWBCを振り返ってみていかがでしょうか。
「中国チームとしては、負けてはしまいましたが毎試合得点が出来たので、世界の優秀なピッチャー相手にもそれなりに対応できていたのかと思います。しかし、守りに関しては『よく打たれた』と思います。僕もそうですが、不要なエラーというのも多かったので、そこは中国野球の大きな課題だと思います」

――このWBC期間で一番印象に残っている出来事があれば教えて下さい。
「日本戦でのホームランはもちろんですが、今回中国チームとして共に戦った真砂選手から、本当に多くを学びました。真砂選手は基本、中国語を喋られないのですが、すごくフレンドリーで、すぐ中国チームの中心になり、僕らの精神的支柱でした。彼との時間が一番印象に残っています」

――一部の日本野球ファンからは梁培選手にぜひ日本リーグでプレーして欲しいという声が上がっていますが、可能性はあるでしょうか。
「ありがとうございます。もちろん一選手としてNPBは素晴らしい舞台ですし、チャンスがあればという気持ちがない訳ではありません。しかし所属する北京猛虎でもまだやり残していることがあるので、まずここで結果を残していくことに集中できればと思っています」

――それでは最後に日本から梁培選手を応援するファンへ、メッセージをいただければと思います。
「今回は数多くの応援、本当にありがとうございました。皆さんには感謝しかありません。中国野球はまだまだこれから、今後大きな可能性があると思っています。4月からは中国野球チャンピオンシップ大会が始まり、その後はリーグ戦、アジアカップと控えています。ぜひ引き続き僕や中国野球に注目していただき、また今後中国に遊びに来た際は、球場まで応援に来ていただければと思います」

取材・文●久保田嶺

【著者プロフィール】
くぼた・れい/1991年生まれ、埼玉県出身。Rouse Shanghai Co., Ltd.代表。日中のスポーツに関する広告や選手マネージメントを手掛ける。自身の中国SNSフォロワー数も40万人とインフルエンサーとしても活躍。中国上海市在住。
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