転機となった“宇田川会”とダルビッシュ有の存在。時の人となった宇田川優希が振り返った日の丸を背負った日々【WBC】

転機となった“宇田川会”とダルビッシュ有の存在。時の人となった宇田川優希が振り返った日の丸を背負った日々【WBC】

高いポテンシャルを買われ、WBCの代表メンバーに選出された宇田川。しかし、当初の本人は決して乗り気ではなかった。写真:梅月智史

世界一をかけて侍たちは死力を尽くして戦い抜いた。選ばれた30人の選手たちはハイレベルな野球に浸り続けた。

 そのなかで昨季に育成枠からプロの一線級に這い上がってきたばかりの宇田川優希(オリックス)にとって、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)を制した日本代表での時間は苦しくもあり、大きな成長を果たせた時でもあった。

 もっとも、最初は参加に戸惑った。

 昨年7月に支配下登録されてから19試合に登板して防御率0.81とポテンシャルを発揮したオリックスで披露した実力を評価され、日本代表入りを叶えた宇田川。しかし、「自分から行くようなタイプではない」と本人が語るように2月17日から始まった宮崎での春季キャンプは人見知りの性分も相まって、周囲へ必要以上に気を遣った。

 さらに今春はオリックスでの球団キャンプで中嶋聡監督から減量を厳命されたうえに、通常よりも滑るとされるWBC球への適応も求められ、心身ともに負担がかかっていた。

「気疲れもあります」
  そうメディアに本音を漏らしたこともあった。

 必要以上に注目を浴びる代表という舞台に気おされていた。そんな24歳をプレッシャーから解放したのは、チーム最年長のダルビッシュ有(サンディエゴ・パドレス)だった。

 メジャーリーガーで唯一、宮崎合宿から代表に帯同していた36歳は「1年前までは育成で、そこからいきなり侍ジャパン。それなのに、ここでも減量だとか、ボールがどうだとかと言われてしまう。それだとあまりにも一人の人間が背負うには大きすぎる」と宇田川を気にかけ、積極的にコミュニケーションを図っては自然にチームに溶け込ませた。SNSやネットでも話題となった「宇田川会」は、他でもないダルビッシュが率先して催したものだった。

 世界最高峰の舞台で活躍する大ベテランの心づかいもあって、みるみるうちに侍ジャパンのなかでも“時の人”となった宇田川。迎えたWBC本番では韓国代表との大一番を含めた2試合に登板して無失点。対戦した打者4人のうち3人から奪三振を記録するポテンシャルは見せた。 多くの登板機会を得られたわけではなかった。それでも侍ジャパンの世界一に携わった宇田川は、「最初は緊張とかもあって早く終わってくれないかなと正直思っていた」と前置きしたうえで「だけど、だんだん慣れてきて楽しくなってきた。慣れてから楽しかったのですごく寂しいです」と、どこか寂しげに日の丸を背負った日々を振り返った。

「最初、栗山さんから合宿が始まる前に呼ばれて、『色々と言われているかもしれないけど、俺はお前を信じてるからな』と言われて気が楽になった。投げたい試合で投げられない悔しさも残ったんですけど、やっぱり一番は日本が世界一になること。それは純粋に嬉しいですし、自分が想像している以上に盛り上がって、その場に入れることが何よりも幸せでした」
  これからはレギュラーシーズンでの長い競争の日々に戻る。それでも「自信になった」と語った24歳。3年後には第6回大会がやってくるが、今度こそひとつの悔いも残さないようレベルアップを図って、世界と対峙する至高の舞台にふたたび上がりたい。

構成●THE DIGEST編集部

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