先輩捕手をガン無視、ドローンで流血、バックスクリーンに怒りの“暴投”…希代の問題児バウアーのお騒がせ事件簿<SLUGGER>

先輩捕手をガン無視、ドローンで流血、バックスクリーンに怒りの“暴投”…希代の問題児バウアーのお騒がせ事件簿<SLUGGER>

インディアンス時代のバウアー。マイペースすぎる性格から、メジャーでは周囲との軋轢も絶えなかった。(C)Getty Images

今季からDeNAに加入したトレバー・バウアー。、2020年にサイ・ヤング賞を獲得するなど実力は折り紙付きの彼だが、同時にメジャー時代は希代の変わり者/トラブルメーカーとしても知られていた。バウアーが起こした7つの事件を紹介しよう。

●「同期の桜コールとの確執」事件

 バウアーは強豪UCLAの出身で、ゲリット・コール(現ヤンキース)とは同期の桜。11年のドラフトではコールが全体1位、バウアーが3位で指名されるなど、大学球界最強のWエースとして君臨した。だがこの二人、めちゃくちゃ仲が悪かった。研究熱心でマイペースなバウアーと、チームの協調性を第一に考える真面目な優等生のコールは、まさに水と油。チームメイトの前で、コールがバウアーに向かって「お前が投手として大成できるわけない!」と罵倒したことすらあったという。

 2人の確執は、大学時代を通じて無視し合うほど深刻なもので、当時のコーチをして「2人が和解する可能性より、地球が燃え尽きる可能性の方が高い」と言わしめるほどだった。ただ、バウアーは近年、「18年のUCLAの同窓会でコールと話した時は敵意を感じなかったよ」と主張している。
 ●「先輩捕手のサインをガン無視」事件

 11年のドラフト全体3位でダイヤモンドバックスに入団したバウアー。2年後の13年に晴れてメジャーデビューを飾ったが、初登板からいきなり問題児ぶりを発揮した。8歳年上の正捕手ミゲル・モンテロが出したサインに対し、何と初球から首を振ったのだ。それどころか、2試合目の登板が終わった後には、モンテロのリードへの不満を報道陣にぶちまけた。

 モンテロから、アマチュア時代から続けていたセンターへのロングトスを「やめた方がいい」と苦言を呈されたことも一因のようだが、すでにメジャーで確固たる地位を築いていた先輩に楯突いたことで、チームメイトからは総スカン。コーチの指導にも聞く耳を持たず、結局この年のオフにインディアンス(現ガーディアンズ)に放出されてしまった。

●「ドローン流血」事件
 バウアーは大学時代に機械工学を専攻していたバリバリの理系で、ドローンを自作するなどの趣味も持っている。だが、インディアンス時代の16年にはこれが災いして悪名高い事件も起こしている。ブルージェイズとのリーグ優勝決定シリーズ第2戦に先発が予定されていたバウアーだが、直前になって登板回避。その理由は何と「ドローンをいじっていてプロペラで指を切ったから」。しかもバウアーは会見場にわざわざドローンを持参して怪我のいきさつを説明するなど、ここでも変人ぶりを遺憾なく発揮した。

 2日後の第3戦で仕切り直しとばかりに先発マウンドに立ったバウアーだったが、初回からボタボタと大量出血。ホラー映画のような惨劇を大観衆に見せつけた上で、1回持たずに降板した。
 ●「粘着物質使用を認めろ!」事件

 21年、粘着物質を使用した不正投球の蔓延が明るみとなって球界に激震が走った。だが、バウアーはそれ以前から「粘着物質で回転数が上がる」としばしば指摘しており、18年には「特定のチームにだけMLB機構が粘着物質を許可している」「アストロズの投手は組織ぐるみで粘着物質を使っている」と示唆して物議をかもした。

 これだけ読むとスキャンダルを予見していたように見えるが、バウアーは決して不正を糾弾しようしたのではない。彼がこの問題提起を通じて主張したかったことは、「特定のチームにだけ使わせるのは不平等だ。粘着物質を投手全員に解禁しろ!」だった。

●「女子大生ハラスメント」事件

 敵と認定したら徹底的にやりこめなければ気が済まないのがバウアーだ。19年1月、バウアーはツイッター上でアストロズの三塁手アレックス・ブレグマンと口論になった。するとアストロズファンの女子大生からのリプライが目に入った。「スポーツ選手の中でバウアーが一番嫌い」。この瞬間、バウアーの攻撃の矛先はブレグマンからこの女子大生に向いた。

 80件もリプライを送り付けるわ、彼女の過去のツイートをさかのぼって晒しまくるわと徹底的に攻撃。やり込めたはいいが、女子大生も黙ってはいなかった。全国紙『USA TODAY』に「ハラスメントを受けた」と告発されてしまい、バウアーは一転して謝罪に追い込まれた。
 ●「センターに“サヨナラ”大暴投」事件

 19年7月28日のロイヤルズ戦に先発したバウアーはいつになく調子が悪く、5回途中8失点と大炎上。テリー・フランコーナ監督が投手交代を告げるためにベンチを出ようとしたその時だった。バウアーが突然、バックスクリーンに向かってボールを大遠投したのだ。

 あくまで自分の不甲斐ないピッチングに対する怒りの表明であり、フランコーナ監督に食ってかかることもなくバウアーはマウンドを降りたが、「プロのやることじゃない」と猛批判を浴びた。バウアーは3日後にレッズへトレードされ、インディアンスとはこれで”サヨナラ”となってしまった(もっとも、放出の理由は事件とは無関係だが)。

●「ジョー・ケリーを解放しろ」事件

 19年オフにアストロズのサイン盗みが明らかになると、バウアーは批判の急先鋒の一人となった(余談だが、サイン盗みをしていたとされる時期には宿敵コールがアストロズに所属していた)。20年8月には、前月末にアストロズ戦でビーンボールを投じた挙句、数々の挑発的行動で出場停止処分になったジョー・ケリー(当時ドジャース)に同調。彼の顔があしらわれ、「ジョー・ケリーを解放せよ」などと書かれたスパイクをわざわざ特注した挙句、それを履いてマウンドに上がろうとした。

 さすがにこれにはMLB機構も怒り心頭で「そのスパイクを履いて登板したら退場にするだけでなく、さらなる処分を科す」という通告文書を出す始末。さすがのバウアーもこれには矛を収めたのだった。

構成●SLUGGER編集部
 

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