「後半戦専念のため辞退すべき」「日本人初の優勝を目指してほしい」――識者が考える大谷翔平ホームラン・ダービー出場の是非<SLUGGER>
2023年06月30日 11時30分THE DIGEST

ホームラン・ダービーに出場した21年は後半戦失速した大谷。2度目の出場はあるだろうか?(C)Getty Images
大谷翔平(エンジェルス)は果たして2023年のホームラン・ダービーに出場するのか。現在、MLB単独トップの29本塁打を放ち、本来ならダービーの目玉となるべき存在だが、事はそう単純ではない。
ホームラン・ダービーは選手への負担が大きく、「一度出たら十分」という声は実は少なくない。また、参加選手が後半戦に失速するという“ジンクス”もまことしやかに囁かれる。
一部ではすでに「大谷は出場を断った」との報道も出ているが、まだ正式発表はない。そこで、ホームラン・ダービー出場の“是非”について、2人の識者に意見を聞いた。
▼ナガオ勝司
出場選手の後半戦不振ジンクスの真偽はともかく、ホームラン・ダービーには出ない方がいいと思います。
その理由は、まず何よりも、大谷選手が所属するエンジェルスが現在、彼の入団以来最高の成績を収めており、今の調子を維持するためには、大谷選手の活躍が不可欠だからです。 今年の彼には打撃二冠王(本塁打と打点)や奪三振王を獲得する可能性がある。その活躍はチームのワイルドカード争い、あるいは地区優勝争いに直接的に関係しており、後半戦、特に8月以降になって、大谷選手が無理をする時、無理をしなければならない時が必ずやって来ます。
その時になって、怪我だけではなく、勤続疲労による登板回避や完全休養日が必要になってしまうと、大谷選手にとっても、チームにとっても大打撃です。
ホームラン・ダービーはオールスターゲームの大事なイベントですが、あくまでも余興の一つ。辞退したところで責めるべきではありませんし、本当のファンなら、彼がWBC日本代表でチームの優勝のため獅子奮迅の活躍をしたように、シーズン終盤の大事な局面で活躍する姿を見たいはず。
ですから、今年のオールスター・ゲームでは、大谷選手が他のスター選手と共演する姿だけを楽しめれば十分じゃないでしょうか。
【著者プロフィール】
シカゴ郊外在住のフリーランスライター。97年に渡米し、08年より全米野球記者協会会員となり、現在は米野球殿堂の投票資格を有する。
▼村田洋輔(MLB.jp編集長)
「大谷はホームラン・ダービーに出場せず、後半戦に備えて休んでほしい」という意見をネット上でよく目にします。おそらく2021年のダービーに出場したあと、失速したことが影響しているのでしょう。WBCからフル回転している今季はなおさら疲労の蓄積が心配されます。
ホームラン・ダービーが制限時間制となった15年以降、後半戦にOPSが上昇した選手は56人中20人(35.7%)。「ダービーに選ばれる=前半戦活躍した」ことを考慮する必要はありますが、やはり制限時間制のダービーは負担が大きいのかもしれません。
とはいえ、21年のサルバドール・ペレス(ロイヤルズ)や昨年のアルバート・プーホルス(カーディナルス)のように、後半戦に成績を大きく向上させた選手がいることも事実。「ダービーは悪影響を及ぼす」とまでは言い切れないのではないでしょうか。 よって、個人的には大谷がダービーに出場することをネガティブに捉える必要はないと考えます。もちろん、登板スケジュールとの兼ね合いもあると思いますが、条件さえ揃えば、2年ぶり2度目となるダービーに出場し、日本人選手としては初めてとなる優勝を目指してほしいです。
【著者プロフィール】
神戸出身。2001年にイチローがマリナーズへ移籍したのを機にMLBファンとなり、17年からMLB日本語公式サイト『MLB.jp』の編集長を務める。21年にはSPOZONE(現SPOTV NOW)で解説者デビューを果たす。
構成●SLUGGER編集部
ホームラン・ダービーは選手への負担が大きく、「一度出たら十分」という声は実は少なくない。また、参加選手が後半戦に失速するという“ジンクス”もまことしやかに囁かれる。
一部ではすでに「大谷は出場を断った」との報道も出ているが、まだ正式発表はない。そこで、ホームラン・ダービー出場の“是非”について、2人の識者に意見を聞いた。
▼ナガオ勝司
出場選手の後半戦不振ジンクスの真偽はともかく、ホームラン・ダービーには出ない方がいいと思います。
その理由は、まず何よりも、大谷選手が所属するエンジェルスが現在、彼の入団以来最高の成績を収めており、今の調子を維持するためには、大谷選手の活躍が不可欠だからです。 今年の彼には打撃二冠王(本塁打と打点)や奪三振王を獲得する可能性がある。その活躍はチームのワイルドカード争い、あるいは地区優勝争いに直接的に関係しており、後半戦、特に8月以降になって、大谷選手が無理をする時、無理をしなければならない時が必ずやって来ます。
その時になって、怪我だけではなく、勤続疲労による登板回避や完全休養日が必要になってしまうと、大谷選手にとっても、チームにとっても大打撃です。
ホームラン・ダービーはオールスターゲームの大事なイベントですが、あくまでも余興の一つ。辞退したところで責めるべきではありませんし、本当のファンなら、彼がWBC日本代表でチームの優勝のため獅子奮迅の活躍をしたように、シーズン終盤の大事な局面で活躍する姿を見たいはず。
ですから、今年のオールスター・ゲームでは、大谷選手が他のスター選手と共演する姿だけを楽しめれば十分じゃないでしょうか。
【著者プロフィール】
シカゴ郊外在住のフリーランスライター。97年に渡米し、08年より全米野球記者協会会員となり、現在は米野球殿堂の投票資格を有する。
▼村田洋輔(MLB.jp編集長)
「大谷はホームラン・ダービーに出場せず、後半戦に備えて休んでほしい」という意見をネット上でよく目にします。おそらく2021年のダービーに出場したあと、失速したことが影響しているのでしょう。WBCからフル回転している今季はなおさら疲労の蓄積が心配されます。
ホームラン・ダービーが制限時間制となった15年以降、後半戦にOPSが上昇した選手は56人中20人(35.7%)。「ダービーに選ばれる=前半戦活躍した」ことを考慮する必要はありますが、やはり制限時間制のダービーは負担が大きいのかもしれません。
とはいえ、21年のサルバドール・ペレス(ロイヤルズ)や昨年のアルバート・プーホルス(カーディナルス)のように、後半戦に成績を大きく向上させた選手がいることも事実。「ダービーは悪影響を及ぼす」とまでは言い切れないのではないでしょうか。 よって、個人的には大谷がダービーに出場することをネガティブに捉える必要はないと考えます。もちろん、登板スケジュールとの兼ね合いもあると思いますが、条件さえ揃えば、2年ぶり2度目となるダービーに出場し、日本人選手としては初めてとなる優勝を目指してほしいです。
【著者プロフィール】
神戸出身。2001年にイチローがマリナーズへ移籍したのを機にMLBファンとなり、17年からMLB日本語公式サイト『MLB.jp』の編集長を務める。21年にはSPOZONE(現SPOTV NOW)で解説者デビューを果たす。
構成●SLUGGER編集部
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