最多得票アクーニャJr.の活躍、セレモニーにはシアトルの英雄も登場?大谷以外にも盛りだくさんのMLBオールスターの見どころ<SLUGGER>

最多得票アクーニャJr.の活躍、セレモニーにはシアトルの英雄も登場?大谷以外にも盛りだくさんのMLBオールスターの見どころ<SLUGGER>

今やナ・リーグ最大のスターの一人であるアクーニャJr.。バッティンググラブやスパイクを黄色に染めるなど、他と一線を画す自己表現も魅力だ。(C)Getty Images

いよいよ7月11日にシアトルで行われる2023年MLBオールスター・ゲーム。もちろん日本では3年連続出場を果たす大谷翔平(エンジェルス)が話題を独占するだろうが、見どころは他にもたくさんある。10日に行われるホームラン・ダービーも含め、真夏の夢舞台の注目ポイントを紹介しよう。

●最注目は”全力少年”アクーニャJr. 

 今回のファン投票で、大谷を上回って最多得票を集めたのがロナルド・アクーニャJr.(ブレーブス)だ。大谷と同じ18年に新人王に輝いた25歳の5ツール・プレーヤーが、今季はその有り余る才能を存分に発揮。打てば誰よりも打球を遠くに飛ばし、出塁すれば走りまくって、気がつけば前半戦終了を待たずに20本塁打&40盗塁に到達してしまった。

 球宴前に20-40を達成したのはMLB史上初の快挙で、このままいけば前人未踏の40本塁打70盗塁も可能だ。パワフルな打撃と俊足に加えて、若い選手らしく感情を全面に表してプレーする姿も魅力で、アクーニャJr.はまさに“全力少年”と呼ぶにふさわしい。

 オールスター選出はこれが4度目。昨年の球宴では1番・ライトで出場すると、初回先頭打者でいきなりエンタイトルツーベースを放った。今年も引き続き、フィールドを縦横無尽に駆け回る活躍を期待したい。 
 ●地元の英雄J-RODの活躍に期待!

 今回、地元のマリナーズからは3人が選出されたが、中でも注目は2022年新人王でチーム最大のスターでもあるフリオ・ロドリゲスだ。本選に先立って10日に行われるホームラン・ダービーがまず必見。昨年は歴代2位の計81本を放って準優勝。第2ラウンドでは、過去に2度の優勝経験を持つピート・アロンゾ(メッツ)を8本差で蹴散らす番狂わせを演じて話題を呼んだ。そして今回は、第1ラウンドでいきなりアロンゾと再戦する。いきなりメインイベント級の対決が見られるというわけだ。

 もちろん、本選での活躍にも注目が集まる。地元意識が強いMLBでは、ご当地選手が活躍すれば球場はひときわ盛り上がる。試合前の選手紹介でも、おそらく両チームで最大級の大声援がJ-RODに送られるはず。MLBを代表する若きスーパースターの躍動に期待したい。
 ●22年ぶりのシアトル開催であのレジェンドが登場!?

 オールスターでは毎年、試合前のセレモニーなどで開催地にちなんだ演出が行われる。ドジャー・スタジアムで行われた昨年の球宴では、名優デンゼル・ワシントンがセレモニーに登場し、1947年にドジャースでデビューして人種の壁を打ち破ったジャッキー・ロビンソンを称えるスピーチを行った。また、始球式では同じくドジャースのレジェンドで81年のサイ・ヤング賞投手フェルナンド・バレンズエラが登場するなど、LAのファンにとってはたまらない演出が続いた。

 そう考えると、今回はマリナーズのレジェンドが多数登場するはず、と考えるのが普通。サイ・ヤング賞5度、通算303勝のランディ・ジョンソン、球団史上最大のスターでもあるケン・グリフィーJr.、“MLB史上最強のDH”エドガー・マルティネス、そして我らがイチローなどが登場するかもしれない。彼らがどのような形でフィールドに現れるのか、そしてファンがどう反応するのか。今からワクワクが止まらない。
 ●無二の親友同士がホームラン・ダービーで対決!

 ホームラン・ダービーでは、日本のファンにもおなじみの2人の打者の対決にも注目したい。アドリス・ガルシア(レンジャーズ)とランディ・アロザレーナ(レイズ)だ。16年に巨人に所属していたガルシアは前半戦リーグトップの00打点、同3位の22本塁打。同16本塁打のアロザレーナは、WBCではメキシコ代表のレフトとして美技を連発し、侍ジャパンを苦しめた印象がまだ記憶に新しい。

 2人はともにキューバ出身で、カーディナルス時代はルームメイトでもあった大の親友同士。21年はともに新人王を争い、結果はアロザレーナが受賞してガルシアが投票4位。アロザレーナは会見で「ガルシアがいたから受賞できた。この栄誉の半分は彼のものだ」と感謝を捧げた。今回、ホームラン・ダービーでの対戦が決まり、「お前をぶっ倒してやる」と互いに挑発し合っている2人だが、本番では笑顔に満ちた爽やかな対戦になりそうだ。
 ●4割を目指すヒットメーカーの固め打ちに期待!

「81年ぶりの4割打者誕生か⁉」と話題を呼んでいるルイス・アライズ(マーリンズ)にも要注目だ。球界を代表する安打製造機にぜひ目指してほしいのが、“最後の4割打者”テッド・ウィリアムズをはじめ、これまでに3人が達成している「1試合4安打」のオールスター記録。ほとんどの選手が途中交代する近年の球宴では達成が難しいが、最初の打席からヒットを連発すれば、ロブ・トムソン監督(フィリーズ)も使い続けるだろう。

 もう一つ期待したいオールスター記録が「1試合3盗塁」。今季はベースサイズ拡大の影響で、盗塁試行数がおよそ35%も増加。今回のオールスターでは、リーグ最多41盗塁のロナルド・アクーニャJr.(ブレーブス)をはじめ、ワンダー・フランコ(レイズ/27盗塁)、コービン・キャロル(ダイヤモンドバックス/24盗塁)ら俊足の選手が多く選ばれている。彼らが塁に出れば、例年以上に積極的に走ってくるに違いない。

●ドクターKたちに期待したい史上初の記録

 近年の球宴では1イニングずつの登板が基本で、大半のオールスター投手記録の更新は難易度が高い。唯一可能性があるとすれば、前人未到の「3者連続3球三振」だろう。

 昨年の球宴で、10球で3者三振に仕留めたエマニュエル・クラッセ(ガーディアンズ)と、奪三振でリーグトップをひた走るスペンサー・ストライダー(ブレーブス)が辞退した今、オリオールズの守護神フェリックス・バティスタに期待したい。203cm/129kgの迫力満点の巨体から繰り出す100マイル超の剛速球とスプリッターで三振を奪いまくり、前半戦の奪三振率は驚異の18.23(!)。並みいるナ・リーグの強打者たちをキリキリ舞いさせてほしい。
 ●多種多様の“ファッションショー”も楽しい

 オールスター当日の午前中には、出場選手たちによるレッドカーペット・ショーが行われる。過去2年、大谷翔平(エンジェルス)がパリッとしたスーツで決めた姿が印象深いが、多くの選手が実に多種多様なファッションでファンを楽しませてくれる。

 昨年は、マーティン・ペレス(レンジャーズ)が白い薔薇を全身にあしらったド派手なスーツで登場。緑のフチのサングラスと合わせた奇抜なファッションが話題を呼んだ。それでもスーツだっただけまだフォーマルな雰囲気だったが、ウィルソン・コントレラス(当時カブス/現カーディナルス)はまるでパジャマにしか見えないゆったりした格好で登場してファンを爆笑させた。

 一昨年は、ジェシー・ウィンカー(現ブルワーズ)とニック・カステヤノス(現フィリーズ)のレッズコンビが話題をさらった。ウィンカーの方は、前年10月に亡くなった球団レジェンドのジョー・モーガンのユニフォームを着て登場。カステヤノスは、何と息子が描いた(ヘタウマの)自分の絵をTシャツにプリントして登場。ファンをホッコリさせた。

 このようにレッドカーペットは、十人十色に自分を表現するアメリカらしい自由な場。果たして今回、選手たちがどのようなファッションで登場するかに注目だ。

構成●SLUGGER編集部
 

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