「スプリッターは翔平から教わったんだ」37歳で自己最高の投球を続ける右腕が語る「開花の理由」と「日本での経験」<SLUGGER>

「スプリッターは翔平から教わったんだ」37歳で自己最高の投球を続ける右腕が語る「開花の理由」と「日本での経験」<SLUGGER>

独立リーグも経験した苦労人マーティン。37歳にしてキャリア最高のシーズンを送っている。

2016、17年は北海道日本ハムに所属し、大谷翔平のチームメイトとして日本一に貢献したクリス・。マーティン。18年にメジャー復帰し、今年6月で37歳になった。今季はレッドソックスのセットアップとして、54試合で防御率1.07と完璧な投球を続けてきた。今季、これほどの安定感を発揮している要因はどこにあるのか。日本で学んだこと、得たものはどんな形で役立っているのか。9月13日、フェンウェイ・パークでマーティンにじっくり話を聞いた。

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――今季は自己最高の投球を続け、オールスター候補にすら名前が挙がりました。これほどの成功のカギはどこにあったのでしょう?

振り返ってみると、去年もいい投球ができていたんだ。昨季の早い段階で気付くことがあって、(カブスでの)防御率には現れなかったけど、奪三振は増えていた。実際に持ち球への手応えも良くなって、それもあってかシーズン中にドジャースからトレードの声がかかった。その後も微調整を続けながら好結果を出すことができた。それが今季にもつながっているというわけさ。ベースボールは思った通りにはならないゲームだから、今季もスタッツ自体は僕にとってそれほど重要ではない。ただ、チームの勝利に貢献したいと思って投げ続けてきただけだよ。

――昨季前半に気づいたこととは具体的には何だったのでしょう?

スライダーを投げるのを止めたんだ。カッター、4シーム、スプリッターをより重視するようになった。その変化がカギだった。

――今季に関しては、ケンリー・ジャンセンの前に投げるセットアップの役割にほぼ固定されたことも準備の面で大きかったのでしょうか?

どんな役割でも貢献できるように、と思ってきた。今季は8回の登板が多く、自分がいつ投げるか分かっていたのが助けになったのは確かだ。これまでは6~8回のどれかという感じだったからね。キャリアで積み上げてきたものが、ここに来て準備の面で役立っていると考えているよ。――以前、「日本にはバットにボールを当てるのがうまい打者が多く、そこで投球したことが制球力向上に役立った」と話していました。それこそが日本で学んだ中で最も大きなことだったんでしょうか?

日本人選手たちはとにかく当てるのが上手だ。当時から僕はストライクを取るのは得意だったけど、質の高いボール球を投げることはできていなかった。日本ではストライクゾーンから外れた球をスウィングさせるのが大事。ストライクゾーンにだけ投げていたら、NPBの打者を三振に取るのは難しかったからね。ボール球の使い方を学んだことは今でも役立っているよ。

――あなたはメジャーから日本に行き、その後、再びメジャーに復帰しました。日本でプレーしたことは正しい選択だったと今でも考えていますか?

それは間違いない。日本に行ったおかげで、いろいろな意味でより向上してメジャーに戻ってくることができた。キャリアのあの時点で必要な経験だった。先ほど話したように、投手として改善したというだけでなく、自分自身について学ぶいい機会でもあった。日本では僕と妻だけで多くの時間を過ごし、お互いをよりよく知ることもできた。人生とベースボールキャリアの両面で素晴らしい経験だった。

――「フィールド外で自分自身のための時間が得られたことにも意味があった」と、以前も話していましたね。

アメリカから外に出て、新しい文化を学べたのも最高だった。新しい食事を試したり、知識が一気に増えた。食事については、日本ではどこで何を食べても上質だったことが印象的だった。中でもチキンのカレーライスは本当に美味しかったな。クールな日本での日々を忘れることはないよ。――ピッチングに話を戻すと、スプリッターは日本で身につけたものだったんでしょうか?

実は(大谷)翔平から学んだんだよ。翔平はいいスプリッターを持っていて、日本で彼に握りを聞いたことがあった。15年にはヤンキースで田中(将大)にもスプリッターの握り、投げる際の心持ちを聞いていた。僕は翔平と同じ握りで投げているけど、リリースの仕方、投げ方は違う。彼のスプリッターの方が落差は大きい。僕が投げているのはフォークボールではなく、よりハードで伝統的なスプリット・フィンガード・ファーストボールだ。ただ、アイデア自体は翔平と田中から得たもので、それを自分のものにしていった感じだ。試行錯誤を続け、今では重要な武器になったと思う。

――37歳になった今季、これほど素晴らしい投球を続けてきました。あとどれくらい投げ続けるか、考えることはありますか?

5歳、3歳、8ヵ月の3人の子供がいるから、できれば子供たちが覚えていられるくらいプレーしたいという気持ちはある。まだ力を残しているのに、マウンドを離れてしまったら後で後悔するんじゃないかと思う。だから身体が言うことを聞いてくれる間は投げ続けたい。
 ――すでに日本、アメリカの両方で優勝を経験したあとで、今の目標は?

もう一度、世界一になることだ。いつでもそれが目標だよ。一度でも優勝の味を味わうと、「またあの場所に戻りたい」とよりハングリーになるんだ。プレーオフは最高だし、ワールドシリーズでの登板以上の経験はない。その過程でチームが一丸となのも気持ちがいい。あの経験をもう一度味わい、また世界一に貢献するために投げ続けているんだよ。

――最後になりますが、大谷選手とはまだ連絡を取り合っているのでしょうか?

テキサス(・レンジャーズ )でプレーしていた頃は、同じ地区内だからよく顔を合わせて、BPの際に話したりしていた。ただ、今では彼はやるべきことが増え、クラブハウスにこもって体力をセーブするようになった。エンゼルスが今季、ボストンに来た時は翔平の登板日だったこともあって、話す機会がなかったのは残念だった。

――あなたは日本から大谷選手のプレーを見てきましたが、今の彼がメジャーでやっていることに驚いていますか?

いや、そんなことはないね。ここまでの成績を残すとは考えなかったというのが正直なところだけど、彼にはとてつもない可能性があるのはずっと前から分かっていた。すごい才能に恵まれているだけでなく、大変なハードワーカーでもある。しかもこのゲームが大好きだ。そんな彼があれほどの数字を叩き出していることに、驚くべきではないだろう。

――大谷選手のように、あなたも打つ方もいけるのでしょうか?

いや、もうダメだ。歳をとってしまったからね(笑)。

取材・文●杉浦大介

【著者プロフィール】
すぎうら・だいすけ/ニューヨーク在住のスポーツライター。MLB、NBA、ボクシングを中心に取材・執筆活動を行う。著書に『イチローがいた幸せ』(悟空出版 )など。ツイッターIDは@daisukesugiura。

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