坂本の後継者として正遊撃手の座をつかんだ“ストロング門脇”。自信あふれる姿から感じ取った成長【密着女子アナが見た巨人】
2023年09月21日 17時00分THE DIGEST

抜群の守備力で遊撃のレギュラーに定着しつつある門脇。今後のさらなる成長が楽しみだ。写真:産経新聞社
ルーキーを取材すると、どんどん変わっていくその姿を見ることが楽しい。表情・目つき・姿勢・言葉選び......いろいろなものがプロ野球選手として変化していく。今年も心をつかまれた選手がいた――。
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「チームに必要とされる選手になりたい。その中でも守備・走塁。でもすべてにおいて一番使いたいと思われるようになりたいです。そして、ファンの皆さんに愛される選手を目指します」
今季開幕前、目を輝かせながら、初々しく理想のプロ野球選手像を語ったのは、巨人のドラフト4位ルーキー門脇誠選手だ。
そして今、その言葉通り彼はチームに欠かせない戦力となり、ファンを魅了している。
門脇選手はここまで新人でチーム唯一、開幕から一軍で奮闘を続ている。本人の「一年間、一軍に帯同すること」という目標達成まであとわずかとなったが、それだけではない。“走・攻・守”で躍動し、スターティングメンバーとして定着しつつある。特に守備では二塁・三塁・遊撃と3つのポジションに就き、115試合でわずか3失策(9月18日時点)と、抜群の安定感で存在感を示している。
「自分はそこまで守備範囲が広い方ではないと思っていたので、(プロに入って)思っていたより通用している」。本人は、初め少し驚いた様子だった。「守っていて、打球の速さが全然違った。学生の時は、外国人選手がいなかったから。特に広島のデビッドソン選手が凄かったです。」とプロの打球に度肝を抜かれていた。
しかしその後。幾度なく球際の強さでチームを助け、その美技で周囲を圧倒させている。夏頃に話を聞くと、「守備は自分がやりたいようにできているし、自信があります」胸を張った姿に変わっていた。
「守備に関して、常に打球を予測していて、感覚でしっかり準備を行っている」
門脇選手を取材していると、度々“準備”というワードがでてくる。
「大学の時から、試合前に自分の身体の調子を見て、修正部分を考えて準備している」
「ベンチにいる時もどういう準備をしたらいいのか考えている」
常に先を読んで、“準備”をしっかり行っていることが、今の活躍に結びついているのだ。
今の課題は「逆シングルで捕球してから一発で投げること」。その課題克服のために、キャッチボールの時から、あえてボールの縫い目から指を外して、どんな球でも投げられるようにしていた。その新人離れした驚異の守備力は、首脳陣からの信頼も厚かった。
試合前の練習では、川相昌弘(総合)コーチと熱心に捕球練習を行う姿をよく目にする。
川相コーチが「門脇は捕ればアウトにしてくれる。こちらが使っていきたいと思う選手。長年レギュラーが獲れるだろう」と太鼓判を押せば、原辰徳監督も「彼のスピード、守備力というのは非常に素晴らしいものがある」と称賛を惜しまない。
そして9月7日。巨人の歴史が動いた。
坂本勇人選手がプロ17年目で初めて三塁で先発起用され、この日から遊撃に門脇選手が就いた。原監督は「いろんなことを考慮して。彼(坂本)にずっと離脱してほしくないから。ショートはハードなポジションだから」と、三塁での起用理由を説明した。
「サード坂本」を可能にさせたのは、門脇の存在があった。「幸せというか。まさか組んでいるとは」。この三遊間の景色が、ルーキーには信じがたかったが、「1年目だろうが、ショートを守っている以上は中心になってやっていきたい」。春先とはまったく違った、堂々とした姿がそこにはあった。 課題としていた打撃に関しても、夏場以降、急成長を遂げている。「阿部慎之助(ヘッド兼バッテリー)コーチ、亀井善行(打撃)コーチに『センターから逆方向に意識して打っていこう』と言われてから劇的に変化した」。シーズン序盤は1割台だった打率も、8月には月間.339と跳ね上がり、9月もここまで.314と好調を維持し続けている。
また、走ってはチームトップの11盗塁に到達し、13年ぶりの球団新人2ケタ盗塁を達成。原監督からは、高校1年から大学4年まで公式戦フル出場したことから“ストロング門脇”と命名されるほど身体も丈夫だ。
しかし、この“強さ”は身体だけではない。
9月17日、プロ初のサヨナラ打を決めた門脇に対して、原監督は、「気持ちが強い」「研究心と向上心を非常に強く持っている」「へこたれない強さがある」と、メンタルの強さについても言葉を並べた。
走・攻・守で頭角を現した“ストロング門脇”。彼のプロ野球人生はまだ始まったばかりだ。
門脇選手が変化していくその姿を見るのが、今後も楽しみである。
文●真鍋杏奈(フリーアナウンサー)
まなべあんな。ホリプロ所属。フリーアナウンサー。ラジオ日本「ジャイアンツナイター」リポーターやYouTube「プロ野球OBクラブチャンネル」MCを担当。その他、社会人野球、高校野球の番組にも出演。
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今季開幕前、目を輝かせながら、初々しく理想のプロ野球選手像を語ったのは、巨人のドラフト4位ルーキー門脇誠選手だ。
そして今、その言葉通り彼はチームに欠かせない戦力となり、ファンを魅了している。
門脇選手はここまで新人でチーム唯一、開幕から一軍で奮闘を続ている。本人の「一年間、一軍に帯同すること」という目標達成まであとわずかとなったが、それだけではない。“走・攻・守”で躍動し、スターティングメンバーとして定着しつつある。特に守備では二塁・三塁・遊撃と3つのポジションに就き、115試合でわずか3失策(9月18日時点)と、抜群の安定感で存在感を示している。
「自分はそこまで守備範囲が広い方ではないと思っていたので、(プロに入って)思っていたより通用している」。本人は、初め少し驚いた様子だった。「守っていて、打球の速さが全然違った。学生の時は、外国人選手がいなかったから。特に広島のデビッドソン選手が凄かったです。」とプロの打球に度肝を抜かれていた。
しかしその後。幾度なく球際の強さでチームを助け、その美技で周囲を圧倒させている。夏頃に話を聞くと、「守備は自分がやりたいようにできているし、自信があります」胸を張った姿に変わっていた。
「守備に関して、常に打球を予測していて、感覚でしっかり準備を行っている」
門脇選手を取材していると、度々“準備”というワードがでてくる。
「大学の時から、試合前に自分の身体の調子を見て、修正部分を考えて準備している」
「ベンチにいる時もどういう準備をしたらいいのか考えている」
常に先を読んで、“準備”をしっかり行っていることが、今の活躍に結びついているのだ。
今の課題は「逆シングルで捕球してから一発で投げること」。その課題克服のために、キャッチボールの時から、あえてボールの縫い目から指を外して、どんな球でも投げられるようにしていた。その新人離れした驚異の守備力は、首脳陣からの信頼も厚かった。
試合前の練習では、川相昌弘(総合)コーチと熱心に捕球練習を行う姿をよく目にする。
川相コーチが「門脇は捕ればアウトにしてくれる。こちらが使っていきたいと思う選手。長年レギュラーが獲れるだろう」と太鼓判を押せば、原辰徳監督も「彼のスピード、守備力というのは非常に素晴らしいものがある」と称賛を惜しまない。
そして9月7日。巨人の歴史が動いた。
坂本勇人選手がプロ17年目で初めて三塁で先発起用され、この日から遊撃に門脇選手が就いた。原監督は「いろんなことを考慮して。彼(坂本)にずっと離脱してほしくないから。ショートはハードなポジションだから」と、三塁での起用理由を説明した。
「サード坂本」を可能にさせたのは、門脇の存在があった。「幸せというか。まさか組んでいるとは」。この三遊間の景色が、ルーキーには信じがたかったが、「1年目だろうが、ショートを守っている以上は中心になってやっていきたい」。春先とはまったく違った、堂々とした姿がそこにはあった。 課題としていた打撃に関しても、夏場以降、急成長を遂げている。「阿部慎之助(ヘッド兼バッテリー)コーチ、亀井善行(打撃)コーチに『センターから逆方向に意識して打っていこう』と言われてから劇的に変化した」。シーズン序盤は1割台だった打率も、8月には月間.339と跳ね上がり、9月もここまで.314と好調を維持し続けている。
また、走ってはチームトップの11盗塁に到達し、13年ぶりの球団新人2ケタ盗塁を達成。原監督からは、高校1年から大学4年まで公式戦フル出場したことから“ストロング門脇”と命名されるほど身体も丈夫だ。
しかし、この“強さ”は身体だけではない。
9月17日、プロ初のサヨナラ打を決めた門脇に対して、原監督は、「気持ちが強い」「研究心と向上心を非常に強く持っている」「へこたれない強さがある」と、メンタルの強さについても言葉を並べた。
走・攻・守で頭角を現した“ストロング門脇”。彼のプロ野球人生はまだ始まったばかりだ。
門脇選手が変化していくその姿を見るのが、今後も楽しみである。
文●真鍋杏奈(フリーアナウンサー)
まなべあんな。ホリプロ所属。フリーアナウンサー。ラジオ日本「ジャイアンツナイター」
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