<2019ベストヒット!>12球団のドラフトを査定!最高評価はサプライズを起こしたDeNA。佐々木朗希を引き当てたロッテは…

<2019ベストヒット!>12球団のドラフトを査定!最高評価はサプライズを起こしたDeNA。佐々木朗希を引き当てたロッテは…

12球団の指名を総ざらい。果たして各球団の評価は?写真:山崎賢人(THE DIGEST写真部)

2019年の名珍場面を『THE DIGEST』のヒット記事で振り返るこの企画。今年のドラフトで最も狙い通りの指名をしたのはどこだったのか。各球団の指名選手一覧とともに、評価を見ていこう。
記事初掲載:2019年11月7日

   ◆    ◆    ◆

 高校生投手の「BIG2」、佐々木朗希と奥川恭伸が注目を浴びた2019年のドラフト会議。思いの外、2人への”人気”が集まらなかった一方で、サプライズ指名によって混乱に陥ったチームもあった。

 ある球団が仕掛けた少しのサプライズによって混乱が起きることは、ドラフト会議においてよくあるものだが、今年もその影響が少なからず見えたように思う。

 ここでは、そんな今年のドラフトを改めて振り返り、100点満点で採点していこう。

●横浜DeNAベイスターズ/95点
1位:森敬斗(内野手/桐蔭学園高)
2位:坂本裕哉(投手/立命館大)
3位:伊勢大夢(投手/明治大)
4位;東妻純平(捕手/智弁和歌山高)
5位:田部隼人(内野手/開星高)
6位:蝦名達夫(外野手/青森大)
7位:浅田将汰(投手/有明高)

 今年のドラフトにサプライズを引き起こしたのがDeNAだ。森敬斗(桐蔭学園)を単独1位指名。森を外れ1位に残さなかったことで、多くの球団がプランの再考を迫られたに違いない。

 森の指名は、リーダータイプのリードオフマンを必要としていたチームの強化ポイントにも即している。U-18日本代表で守ったセンターなのか、本職の遊撃手なのかは分からないが、どちらにせよ重要な駒になるはずだ。3位指名の伊勢大夢は山崎康晃にもなり得る期待感があり、高校生捕手も押さえている。長距離ヒッターを獲得できなかったのは痛いが、それを除けばほぼ完璧だった。
 ●広島東洋カープ/90点
1位:森下暢仁(投手/明治大)
2位:宇草孔基(外野手/法政大)
3位:鈴木寛人(投手/霞ケ浦高)
4位:韮澤雄也(内野手/花咲徳栄高)
5位:石原貴規(捕手/天理大)
6位:玉村昇悟(投手/丹生高)

 大学No.1投手の森下暢仁の一本釣りに成功し、即戦力の投手を補強できたことが大きい。2位には、今季の課題であったリードオフマンタイプの宇草孔基を指名。それ以外でも、現有戦力の小園海斗と将来的に二遊間を組めそうな韮沢雄也の指名に成功し、大学生の捕手、高校生左腕も射止めた。右打者を指名できれば申し分なかったが、今年に候補者がいなかったところを差し引くと十分な内容だった。

●千葉ロッテマリーンズ/85点
1位:佐々木朗希(投手/大船渡高)
2位:佐藤都志也(捕手/東洋大)
3位:高部瑛斗(外野手/国士舘大)
4位:横山陸人(投手/専大松戸高)
5位:福田光輝(内野手/法政大)

 佐々木朗希を引き当てた。これは右腕投手が育ちつつあるチームにとって大きなポイントだ。種市篤暉や岩下大輝などが順調に戦力になりつつある中で続く存在になれば、将来的には投手王国を築くことができるはずだ。

 2位では捕手も外野もできる佐藤都志也。チームの課題であった中距離ヒッターとして期待できる。捕手なのか他ポジションを務めるのか、注目したい。外野手の選手層に厚みがなく、高部瑛斗もいい指名と言える。地元枠で横山陸人の交渉権も獲得するなど、バランスのいい指名だった。
 ●阪神タイガース/80点
外れ:奥川恭伸(投手/星稜高)
1位:西純矢(投手/創志学園高)
2位:井上広大(外野手/履正社高)
3位:及川雅貴(投手/横浜高)
4位:遠藤成(内野手/東海大相模高)
5位:藤田健斗(捕手/中京学院大中京高)
6位:小川一平(投手/東海大九州)

 今年のドラフトの中でもっともロマンを感じる指名だった。奥川恭伸を狙いながら、抽選で外すと西純也に切り替え、その後も高校生ばかりを指名。もともとの補強ポイントが高校生の投手、野手は中長距離ヒッターと捕手と明確だったが、それらすべてを網羅した。

 現有戦力に上積みがないと不安に思う虎党がいるかもしれないが、想像してほしい。西、及川雅貴の両輪に、スラッガー井上広大がいて、中距離ヒッターの遠藤成、扇の要には強肩強打の藤田健人がいる。奥川、佐々木朗希を除いた2019年の高校生ドリームチーム結成なのだ。

●中日ドラゴンズ/75点
1位:石川昂弥(内野手/東邦高)
2位:橋本侑樹(投手/大阪商大)
3位:岡野祐一郎(投手/東芝)
4位:郡司裕也(捕手/慶應義塾大)
5位:岡林勇希(投手/菰野高)
6位:竹内龍臣(投手/札幌創成高)

 2年連続して与田剛監督の剛腕で1位の重複指名をくじで引き当て、2位では監督が欲しがっていたサウスポーの指名に成功した。ただ、3位で指名した岡野祐一郎は即戦力として期待は高いが、この順位で欲しかったのかがやや微妙なところだ。大学生捕手の郡司裕也、素材系の高校生投手の指名は納得がいくものだった。
 ●読売ジャイアンツ/75点
外れ:奥川恭伸(投手/星稜高)
外れ:宮川哲(投手/東芝)
1位:堀田賢慎(投手/青森山田高)
2位:太田龍(投手/JR東日本)
3位:菊田拡和(外野手/常総学院高)
4位:井上温大(投手/前橋商高)
5位:山瀬慎之助(捕手/星稜高)
6位:伊藤海斗(外野手/酒田南高)

 1位入札で奥川恭伸、宮川哲を抽選で外してからの影の実力者として評価があった堀田賢慎を指名した。そして、2位以下ではチーム事情を十分に考慮した選考をしている。2位は社会人出身でまだ伸び代のある太田龍、3位は将来性豊かなスラッガー菊田拡和。特に菊田は、将来的には岡本和真とクリーンアップを形成できるタイプとして期待したい。4位からは左腕、捕手、外野手とそれぞれ足りない部分の高校生を指名。バランスが取れている。
 ●オリックス・バファローズ 70点
外れ:石川昂弥(内野手/東邦高)
外れ:河野竜生(投手/JFE西日本)
1位:宮城大弥(投手/興南高)
2位:紅林弘太郎(内野手/駿河総合高)
3位:村西良太(投手/近畿大)
4位:前佑囲斗(投手/津田学園高)
5位:勝俣翔貴(内野手/国際武道大)

 1位入札で石川昂弥に思い切ったのは理解できている。このチームには華のあるスラッガーが少ないからだ。抽選で外して、左腕に切り替え、また外して高校生左腕の宮城大弥の交渉権を獲得したのは及第点。2位の紅林弘太郎は他球団も欲しがった逸材で、順位をうまく使った秀逸な指名だった。5位で中距離打者として期待ができる勝俣翔貴は獲れたが、石川で外した分の右の長距離ヒッターの獲得ならなかった。

●西武ライオンズ/65点
外れ:佐々木朗希(投手/大船渡高)
1位:宮川哲(投手/東芝)
2位:浜屋将太(投手/三菱日立パワーシステムズ)
3位:松岡洸希(投手/埼玉武蔵ヒートベアーズ)
4位:川野涼多(内野手/九州学院高)
5位:柘植世那(捕手/Honda鈴鹿)
6位:井上広輝(投手/日大三高)
7位:上間永遠(投手/徳島インディゴソックス)
8位:岸潤一郎(外野手/徳島インディゴソックス)

 CSで2年続けて投手陣が崩壊。リーグ連覇を果たしながら日本シリーズ進出を逃したチームの課題は明らかだった。1位で佐々木朗希を狙って外すと、そこから超現実路線。渡辺久信GMが言うには先発・中継ぎの両面の可能性がある宮川哲、左腕の浜屋将太、松岡洸希と明日にも戦力になってほしい人材を選んだ。5位の捕手・柘植世那も現実的な指名だが、3位の川野涼多、6位の井上広輝は将来性を見込んだ獲得だろう。
 ●ヤクルトスワローズ/60点
1位:奥川恭伸(投手/星稜高)
2位:吉田大喜(投手/日体大)
3位:杉山晃基(投手/創価大)
4位:大西広樹(投手/大阪商大)
5位:長岡秀樹(内野手/八千代松陰高)
6位:武岡龍世(内野手/八戸学院光星高)

 数年後の優勝より、ひとまず来年の最下位脱出が目標という印象だ。奥川恭伸の抽選に当たったのは幸運と言える。2〜4位まで大学生の好投手を立て続けに指名した。高津臣吾新監督の要望で、野手路線から投手路線に切り替えたとのことだから、現実を見つめたのだろう。ドラフトは監督のものではなく編成のものであるはずで、その影響が将来的にどう向くだろうか。
 ●福岡ソフトバンクホークス/60点
外れ:石川昂弥(内野手/東邦高)
1位:佐藤直樹(外野手/JR西日本)
2位:海野隆司(捕手/東海大)
3位:津森宥紀(投手/東北福祉大)
4位:小林珠維(投手/東海大札幌高)
5位:柳町達(内野手/慶應義塾大)

 日本ハムと張り合って佐々木朗希の指名に向かうと思いきや、石川昂弥に切り替えて、抽選を外した。素材はともかく、石川の後も右の野手という一貫性は理解できた。2位で大学No.1キャッチャーの海野隆司を指名したが、甲斐拓也が君臨する中、捕手は栗原隆矢、九鬼隆平と若手がいる中で被っているのが気になる。5位で指名の柳町達は、外野のレギュラー候補として、世代交代を推進する素材だ。

●日本ハムファイターズ/55点
外れ:佐々木朗希(投手/大船渡高)
1位:河野竜生(投手/JFE西日本)
2位:立野和明(投手/東海理化)
3位:上野響平(内野手/京都国際高)
4位:鈴木健矢(投手/JX-ENEOS)
5位:望月大希(投手/創価大)
6位:梅林優貴(捕手/広島文化学園大)
7位:片岡奨人(外野手/東日本国際大)

 社会人3人、大学生3人、高校生1人の指名は、これまでの日本ハムにはない、らしくない指名と言えるかもしれない。今季のペナントレースではファンだけでなく、野球識者たちの期待を大きく裏切っただけに、どうしても来年に結果を出したいというところなのだろう。育成より勝負に出たドラフトだった。ただ、その中で、高校生野手、それも右打者を指名した冷静さは買いたい。
 ●楽天ゴールデンイーグルス/50点
外れ:佐々木朗希(投手/大船渡高)
1位:小深田大翔(内野手/大阪ガス)
2位:黒川史陽(内野手/智弁和歌山高)
3位:津留崎大成(投手/慶大)
4位:武藤敦貴(投手/都城東高)
5位:福森耀真(投手/九州産大)
6位:瀧中瞭太(投手/Honda鈴鹿)
7位:水上桂(捕手/明石商高)

 地元・東北の佐々木朗希を外し、それ以降も意図がやや見えにくい指名に終始した。確かに、1位指名の小深田大翔は、即戦力としての期待ができる。来年の開幕ではショートかサードに入っているはずだ。しかし、島内宏明、銀次、茂木栄五郎と左打者が並ぶ中にもう1人が加わるとなると、小深田の能力は申し分ないとはいえ、少し疑問が残る。2位の黒川史陽も右投げ左打ち。アンバランスなチーム編成は改善されなかった。投手陣に厚みを増す即戦力投手を補充した。

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取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園という病』(新潮社)、『メジャーをかなえた雄星ノート』(文藝春秋社)では監修を務めた。
 

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