【2019引退・投手】日米で頂点に輝いた上原浩治。メッセンジャーや館山昌平ら個性派や名リリーバーも現役を退く

【2019引退・投手】日米で頂点に輝いた上原浩治。メッセンジャーや館山昌平ら個性派や名リリーバーも現役を退く

上原浩治は日米で美酒を浴び、通算100勝、100セーブ、100ホールドを達成した。(C)Getty Images

来る人がいれば、行く人もいる。新陳代謝は球界の常。ルーキーやFA補強、新外国人の話題がかまびすしい今オフも、ユニフォームを脱いだ選手たちが第2の人生を歩き始めた。2019年の締めくくりに、今季限りで現役生活に別れを告げた投手の活躍を振り返ろう。

 日本シリーズとワールドシリーズで頂点に立った上原浩治(巨人)が、今年5月20日に現役引退を表明した。1998年ドラフト1位で巨人から指名され、迎えたルーキーイヤーの活躍は圧巻だった。20勝(4敗)、勝率.833、179奪三振、防御率2.09の成績で史上10人目の投手四冠に輝き、新人王と沢村賞に加えてベストナインとゴールデングラブ賞も受賞と、投手のタイトルをほぼ総なめ。少ない球種をテンポ良く投げ込み、1時間台で完投勝利を収めた試合もあった。2002年には自身2度目の沢村賞を手にし、五輪やWBCなどでも主戦を任されるなど日本を代表する投手として立場を確立する。09年にオリオールズへ移籍して念願のメジャー挑戦をかなえると、レンジャーズを経て移ったレッドソックス初年度の13年にワールドシリーズで胴上げ投手に。先発と救援で幅広い起用にこたえ続け、日米通算100勝、100セーブ、100ホールドをマークした。
  メッセンジャー(阪神)はメジャー通算173登板でいずれも救援だったが、10年の来日後に先発として大きく開花した。先発ローテーションに定着すると、打者を押し込む速球に切れ味鋭い変化球を交えるパワーピッチングで、最多奪三振のタイトルを2回獲得。毎年のように200イニング近くの投球回をこなすタフネスを備え、開幕戦投手を6度任されるほど周囲からの信頼も厚かった。国内FA権を取得して昨年から日本人枠扱いに。並々ならぬラーメンへのこだわりを語るなど、日本を愛した“メッセ”は外国人投手歴代5位の98勝、同1位の1474奪三振を残してグラウンドを後にした。

 サイドに近いアームから変幻自在に多くの球種を操った館山昌平(ヤクルト)は、08年から5年連続で2ケタ勝利を挙げた。08年に最高勝率(.800)、翌09年には最多勝(16)を獲得したが、特有の投球と同等に故障との戦いが印象に強い。3度のトミー・ジョン手術を含む9度も手術を受け、縫合した糸の数は175を数える。近年は一軍のマウンドに立つだけで精一杯だったが、それでも「持てる力をすべて出し切った」現役生活に「悔いはない」。「怪我をしなかったら、見えなかったこと」を糧として、来季は楽天で二軍投手コーチの任に就く。
  寺原隼人(ヤクルト)はプロ入りしたダイエー・ソフトバンクで甲子園最速(当時)154kmの触れ込みどおりに素材の高さを見せながら、継続的には結果を残せず。横浜へトレード移籍した07年に先発で12勝(12敗)をマークすると、翌08年には抑えを務めて22セーブ。09年に先発へ戻るなど起用は一定しなかったが、横浜での4年間と先発を務めたオリックスでの2年間は毎年防御率3点台だった。13年に古巣ソフトバンクへ戻り、今年は移籍先のヤクルトで現役を終え、来年は琉球ブルーオーシャンズで投手コーチを務める。

“琉球トルネード”として名を馳せた島袋洋奨(ソフトバンク)は興南高3年時に春夏制覇を果たし、中央大を経て14年にソフトバンクへ入団するも、一軍での登板は1年目の2試合のみ。早稲田大で日本一を経験した大石達也(西武)は、10年ドラフトで6球団から1位指名を受けてプロ入り。肩の故障に悩まされたが、投げれば綺麗な回転の速球を武器に投球回(138.1)とほぼ同じ三振(136)を奪い、防御率3.64を残した。現在は西武のファーム・育成グループスタッフとして球団に残る。
  名リリーバーたちは多くの歓声を浴びた。

 09年に先発で10勝を挙げた岸田護(オリックス)は、翌10年に救援へ転向して11年にはリーグ2位の33セーブ。気迫が前面に出た打者に向かって行く投球で人気を博した。永川勝浩(広島)は足を大きく上げるフォームから代名詞のフォークを繰り出し、三振を量産。歴代11位の165セーブを挙げた。160kmを叩き出すなど快速球で打者をねじ伏せたマシソン(巨人)は、13年と16年に最優秀中継ぎ投手のタイトルを受賞。通算201HPは歴代5位で外国人投手の最多だ。橋聡文(阪神)と森福允彦(巨人)は、ブルペンに欠かせない左のワンポイントとして立場を確立した。
 ■投手  
※所属は2019年の最終所属で年数は一軍での実働期間。
試=試合、勝敗=勝利、敗北、S=セーブ、?=ホールドポイント、投=投球回、防=防御率     
上原浩治 (巨人) 11年 試312 勝敗112‐67 S33 HP29 投1583.2 防3.02
メッセンジャー (阪神) 10年 試263 勝敗98‐84 S0 HP2 投1606.1 防3.13
館山昌平 (ヤクルト) 15年 試279 勝敗85‐68 S10 HP24 投1392 防3.32
寺原隼人 (ヤクルト) 18年 試303 勝敗73‐81 S23 HP18 投1205 防3.88
岸田護 (オリックス) 14年 試433 勝敗44‐30 S63 HP89 投786.2 防2.99
永川勝浩 (広島) 15年 試527 勝敗38‐42 S165 HP111 投582 防3.46
マシソン (巨人) 8年 試421 勝敗27‐29 S54 HP201 投431 防2.46
橋聡文 (阪神) 16年 試532 勝敗26‐15 S2 HP167 投456.1 防3.25
森福允彦 (巨人) 13年 試423 勝敗17‐17 S18 HP151 投357 防2.59
戸村健次 (楽天) 10年 試107 勝敗17‐25 S0 HP3 投378 防4.35
岡本洋介 (阪神) 9年 試162 勝敗14‐16 S1 HP18 投361 防4.73
西宮悠介 (楽天) 6年 試117 勝敗9‐1 S0 HP14 投121 防4.60
関谷亮太 (ロッテ) 3年 試28 勝敗7‐10 S0 HP2 投138 防4.96
大石達也 (西武) 7年 試132 勝敗5‐6 S8 HP17 投138.1 防3.64
岩本輝 (オリックス) 6年 試47 勝敗5‐6 S0 HP8 投80 防4.05
塚原頌平 (オリックス) 4年 試115 勝敗5‐6 S1 HP32 投137 防3.21
阿部和成 (ロッテ) 8年 試52 勝敗3‐6 S0 HP3 投104 防4.92
屋宜照悟 (ヤクルト) 4年 試24 勝敗3‐0 S0 HP4 投31 防7.11
小石博孝 (西武) 8年 試117 勝敗2‐5 S1 HP4 投183 防4.90
中後悠平 (DeNA) 5年 試49 勝敗2‐2 S0 HP9 投35 防5.09
岡本健 (ソフトバンク) 3年 試50 勝敗2‐0 S0 HP3 投68 防3.42
横山弘樹 (広島) 1年 試6 勝敗2‐2 S0 HP0 投26 防5.47
岩橋慶侍 (ヤクルト) 4年 試34 勝敗1‐3 S1 HP6 投38 防4.42
南川忠亮 (西武) 4年 試14 勝敗0‐0 S0 HP0 投13 防9.45
飯田哲矢 (広島) 4年 試40 勝敗0‐0 S0 HP1 投40 防4.91
笠原大芽 (ソフトバンク) 2年 試7 勝敗0‐0 S0 HP0 投9 防4.82
中村晨 (ソフトバンク) 0年 試− 勝敗− S− HP− 投− 防−
島袋洋奨 (ソフトバンク) 1年 試2 勝敗0‐0 S0 HP0 投2 防0.00
水野滉也 (DeNA) 1年 試1 勝敗0‐1 S0 HP0 投4 防5.79
田村丈 (DeNA) 1年 試1 勝敗0‐0 S0 HP0 投1 防18.00
千葉耕太 (楽天) 0年 試− 勝敗− S− HP− 投− 防−
島孝明 (ロッテ) 0年 試− 勝敗− S− HP− 投− 防−
寺田光輝 (DeNA) 0年 試− 勝敗− S− HP− 投− 防−
岡林飛翔 (広島) 0年 試− 勝敗− S− HP− 投− 防−

文●藤原彬
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『スラッガー』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。

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