【ソフトバンク投手陣の最新序列は?】千賀、高橋礼、甲斐野らの柱を故障で欠く中、彼らに次ぐ有力選手は誰なのか?

【ソフトバンク投手陣の最新序列は?】千賀、高橋礼、甲斐野らの柱を故障で欠く中、彼らに次ぐ有力選手は誰なのか?

ムーアはオープン戦無失点で2勝と早くも日本野球に適応気配。故障中の千賀や高橋礼の穴を埋められるか。写真:朝日新聞社

猛威を振るう新型コロナウイルスの影響で開幕は延期になったが、いずれの球団も来るべき時に備えて準備を進めている。果たして、ソフトバンクの投手陣はどんな陣容で開幕を迎えるのか。一軍で出場機会を得られそうな選手を対象に、キャンプやオープン戦で見えてきた現時点での序列を整理する。

<記号の見方>
◎=先発/ブルペンの柱、〇=一軍有力、△=一軍当落線上、★=将来の主戦投手候補、×=故障離脱中/開幕二軍濃厚

【先発】
〇東浜巨
〇ムーア【NEW】
〇石川柊太
〇和田毅
△バンデンハーク
△二保旭
△松本裕樹
×千賀滉大
×高橋礼
×大竹耕太郎
×武田翔太
★スチュワートJr.

 エースの千賀、昨季12勝を挙げて新人王の高橋礼と2人の柱をキャンプ中の故障で欠いている。3月20日に予定されていた開幕が延期されたことは、ソフトバンク投手陣にとっては”不幸中の幸い”でもある。

 もっとも、千賀と高橋礼が開幕に間に合わなくとも他球団と伍して戦えるだけの陣容がそろっている。2017年の最多勝右腕・東浜が、故障で苦しんだ時期を乗り越えて復活気配。宮崎キャンプでも順調に投げ込みをこなしており、工藤監督が開幕投手に指名したのも納得の投球内容を見せてきた。

 メジャー通算54勝の新外国人左腕ムーアは、150キロ超のストレートに加えて変化球の制球にも優れる。オープン戦から安定した結果を残しており、早くも日本の野球に順応してきた感すらある。一昨年には13勝を挙げながら昨季は右ヒジ痛に苦しんだ石川も、宮崎キャンプの後半からグッと調子を上げてきており、落差の大きいパワーカーブの健在ぶりを見せつけている。39歳のベテラン左腕・和田も、宮崎キャンプでは大きなアクシデントもなく、例年にない好仕上がり。この4人は、開幕からの先発ローテーション入りが決定的と言えそうだ。 この4人に決して引けを取らない安定感を見せているのが来日6年目のバンデンハークなのだが、1軍の外国人枠「4」のうち、野手「2」、投手「2」が基本配分となるだけに、バンデンハークは先発即抹消での起用法になりそうだ。6人目の枠を争うのが6年目の松本と、12年目の二保。両右腕ともロングリリーフもこなせるだけに、何かと重宝する存在になるだろう。オフに右ヒジのクリーニング手術を受けた9年目の右腕・武田と、宮崎キャンプ中に左前腕部の筋損傷で離脱した左腕・大竹は、延期になっても開幕には間に合わない公算が大きい。
 
 元MLBドラフト候補のスチュワートJr.はオープン戦での登板はなかったが、キャンプ紅白戦や二軍練習試合で好投。20日のロッテとの練習試合で"一軍デビュー"が予定されており、将来のエース候補として期待がかかる。【救援】
◎森唯斗
◎嘉弥真新也
○高橋純平
△モイネロ
△津森宥紀【NEW】
△古谷優人
△サファテ
△泉圭輔
△川原弘之
△松田遼馬
★尾形崇斗
×甲斐野央

 入団以来6年連続50試合以上登板の鉄腕守護神・森は健在。今季も「9回」をまずはこの右腕に託すことになりそうだ。左腕・嘉弥真の存在も不可欠。左殺しのワンポイントだけでなく、1イニングを全うするだけの力は十分にある。

 昨季ルーキーながら65試合に登板、フル回転した甲斐野は右ヒジを痛め、復帰まで相当な時間がかかりそうだ。先発転向を志していた高橋純は、故障者が続出しているチーム事情もあり、今季も貴重なセットアッパーとしての役割となりそうだ。 またリリーフ陣にも、外国人枠の問題が頭をもたげてくる。昨季60試合に登板した左腕・モイネロは、ブルペンに不可欠な存在だが、野手でデスパイネ、グラシアルの2枠がまず決定的。投手陣でも、前述の左腕ムーアの存在感が高まっており、こちらは先発即抹消のパターンではなく、中6日でのローテーションを守っていく形になるだろう。

 そうすると、外国人枠の残りは「1」。バンデンハークを起用したい時に、ムーアを外すのか、モイネロを外すのか、何とも悩ましい状況に陥るのだ。さらに右股関節手術後のリハビリで昨季を棒に振った、かつての守護神・サファテも復活を目指している。この「外国人枠」を巡っての競争は、チームの浮沈に関わってくるだけに、工藤監督も難しい舵取りを迫られそうだ。

 ドラフト3位ルーキーの津森も、勝利の方程式の一翼を担う勢いを見せている。サイドハンドから右打者の内角を突ける強気のピッチングで、ソフトバンクのブルペン陣にはいないタイプだ。

 他に楽しみな新戦力は、4年目の古谷。昨季の三軍戦で非公式ながら160キロをマークした左腕は、手薄な左の中継ぎとして台頭の期待が大きくなっている。さらに、育成3年目の尾形は、度胸のいいピッチングで、同じ育成からエースの座をつかんだ「千賀二世」の異名を取る。16日に支配下登録されたため、貴重なセットアッパーとして活躍の場は増えるだろう。

 左ヒジ手術の影響で、一度は育成登録となりながら、昨季支配下に復帰した11年目の川原も、150キロ台の速球を武器に、ブルペン陣を支える貴重な1枚になりそうだ。松田遼は中継ぎ、泉はローテーションの谷間での先発を含めたロングリリーフ役で重宝しそうだ。

取材・文●喜瀬雅則(スポーツライター)

【著者プロフィール】きせ・まさのり/1967年生まれ。産経新聞夕刊連載「独立リーグの現状 その明暗を探る」で 2011年度ミズノスポーツライター賞優秀賞受賞。第21回、22回小学館ノンフィクション大賞で2年連続最終選考作品に選出。2017年に産経新聞社退社。以後はスポーツライターとして西日本新聞をメインに取材活動を行っている。著書に「牛を飼う球団」(小学館)「不登校からメジャーへ」(光文社新書)など。
 

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