「一日帰るときはクタクタというのは目標でしたから」マリナーズ会長特別補佐としても自らを追い込んだ日々【イチローの軌跡をたどる「51」の言葉:野球愛編 Vol.3】

「一日帰るときはクタクタというのは目標でしたから」マリナーズ会長特別補佐としても自らを追い込んだ日々【イチローの軌跡をたどる「51」の言葉:野球愛編 Vol.3】

3000安打を達成した際、イチローは野球を好きでいられる理由について訊かれて彼らしい独特の答えを返した(C)Getty Images

「野球のことを愛した」気持ちに変わりはなかったと、イチローは現役最後の試合を終えて口にした。環境の変えてから多くの適応と変革に迫られ、求められた異なる役割にこたえようとするなかでも、グラウンドに出てからの姿勢は一貫していた。雄弁、あるいは大胆に、ときに独特の言い回しで、野球への愛を表現した言葉を紹介しよう。

「やれることはすべてやりましたし、どんなときも手を抜いたことは一度もなかった」(2002年9月29日/メジャー2年目を終えて、NPB時代から8年連続で獲得していた首位打者を逃したが、後悔はないと言い切る)

「妥協をたくさんしてきたし、自分に負けたこともいっぱいあります。ただ、野球に関しては、それがないというだけ」
(2003年9月28日/全試合を終えて3年目のシーズンを総括)
 「ヒット一本って飛び上がるぐらいにうれしいんです」
(2003年9月28日/シーズン全試合を終えて、安打を放ったときの喜びを表現する)

「楽しんでやれと言われるんですけど、僕はその意味がよくわからない」
(2004年10月1日/シーズン最多安打記録を更新して「楽しむ」と「充実感」の違いに言及)

「もっと野球がうまくなりたい」
(2004年10月3日/メジャー最多となるシーズン262安打を樹立し、次の目標を聞かれての返答)

「野球が大好きであることが、それに当てはまるかもしれない」
(2009年9月13日/史上初の9年連続シーズン200安打を達成し、大事にしていることを問われて)

「僕自身を作り上げてくれるもの」
(2010年9月28日/メジャーのドキュメンタリー番組『The Tenth Inning』で野球について語る)

「その運は、野球で使うようにしてます」
(2010年10月3日/シーズン最多安打7回目で並んだピート・ローズに、内野安打の多さから「世界一幸運な男」と言われて)
 「うまくなるには、難しいことに自分から立ち向かっていく姿勢が大切」
(2012年12月23日/イチロー杯で子供たちに「人間としても強くなれる」と人生訓を説く)

「野球に関しては妥協ができないので、しませんけれど」
(2013年8月21日/日米通算4000安打に到達して「そういう自分がいることは仕方のないこと」)

「うまくいかないことが多いからじゃないですか」
(2016年8月7日/メジャー通算3000安打に到達して、野球を好きでいられる理由を聞かれて)

「野球の研究者でいたい」
(2018年5月3日/マリナーズ会長特別補佐に就任し、シーズン中は試合に出場しないことを発表したが「自らが実験台となり、人間の限界に触れてみたい」)

「一日帰るときはクタクタというのは目標でしたから」
(2018年9月30日/マリナーズ会長特別補佐就任後は試合に出場しなかったが、これまでと同様の練習をこなし続けた)
 「昨年の5月からシーズン最後までの出来事はひょっとしたら誰もできないかもしれません」
(2019年3月21日/現役引退会見で、マリナーズ会長付特別補佐就任後も練習を続けた毎日を「ささやかな誇りを生んだ日々」と表現)

「団体競技なんですけど、個人競技なんですよ」
(2019年3月21日/現役引退会見で野球の面白さと厳しさを語る)

「同じ瞬間がない。必ずどの瞬間も違う」
(2019年3月21日/現役引退会見で「飽きがこない」野球の魅力を述べる)

「多分、明日もトレーニングはしています」
(2019年3月21日/現役引退会見で「ゆっくりしたい気持ちなんて全然ない」)

文●藤原彬
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『スラッガー』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。
 

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