【世代別で見るプロ野球】「松坂世代」と「田中・斎藤世代」の間に埋もれながら、タイトルホルダーを多く輩出した密かな豊作世代

【世代別で見るプロ野球】「松坂世代」と「田中・斎藤世代」の間に埋もれながら、タイトルホルダーを多く輩出した密かな豊作世代

「松坂世代」と「田中世代」に挟まれた「谷間世代」も多士済々。岸(中央)など、タイトルホルダーが揃っている。(C)Getty Images、THE DIGEST

プロ野球は世代別で見ると面白い。

 17年間も甲子園やアマチュア野球を取材していると、なにかにつけ「この選手は〇〇世代だな」などと頭に浮かんでくる。読者の皆さんも同じような感覚をお持ちではないだろうか。

「〇〇世代」という言葉が使われるようになったのは、1980年度生まれの「松坂世代」からだ。

 1998年、松坂大輔(現西武)擁する横浜高が甲子園春夏連覇を達成し、高校野球界は大いに盛り上がった。さらにその後、松坂はもちろんのこと、大卒や社会人経由からのプロ入りも含め松坂と同じ年の選手が数多く活躍したことで、「松坂世代」は球界の一大勢力となった。代表的な松坂世代の選手たちは、下記のとおりだ。

<主な松坂世代の選手>
●現役
松坂大輔(西武)    
藤川球児(阪神)
久保裕也(楽天)
和田毅(ソフトバンク)
渡辺直人(楽天)
久保康友(元阪神など。昨季はメキシカンリーグに所属)

●引退
東出輝裕(広島コーチ)
村田修一(巨人コーチ)
平石洋介(ソフトバンクコーチ)
赤田将吾(西武コーチ)
杉内俊哉(巨人コーチ)
実松一成(巨人コーチ)
上本達之(西武コーチ)
館山昌平(楽天コーチ)
小谷野栄一(オリックスコーチ)
矢野謙次(日本ハムコーチ)
永川勝浩(広島コーチ)
工藤隆人(中日コーチ)
後藤武敏(楽天コーチ)
  今年、40歳を迎える彼らの多くはすでにユニフォームを脱ぎ、数少ない現役選手もキャリアの晩年を迎えている。にもかかわらず、今もなお多くの野球ファンの記憶に残り続けている。

 松坂世代以降の大豊作世代は、1988年度生まれの「田中・斎藤世代」だと言われている。

 2006年夏の甲子園決勝戦が再試合にもつれ込む大激戦になったことで、この世代は話題となった。決勝で投げ合った早稲田実業の斎藤佑樹(現日本ハム)と駒大苫小牧の田中将大(現ヤンキース)以外にも、のちにプロ野球界の中心を担う有力選手が続々と現れた。

 この夏の甲子園には出られなかったものの、中学時代からの田中のライバルだった前田健太(現ツインズ)、同じく小学校時代のチームメイト坂本勇人(現巨人)は高卒でプロ入りして球界を代表するスター選手となった。大卒組では柳田悠岐(現ソフトバンク)、秋山翔吾(現レッズ)、社会人経由組では宮崎敏郎(DeNA)、石川歩(ロッテ)などがいる。
  実は当初、彼らは豊作世代とは位置付けられていなかった。平田良介(中日)、炭谷銀仁朗(巨人)ら実力者が多かった1学年上の世代と比べると小粒と見られる向きが多かったのだ。しかし、06年夏の甲子園が盛り上がりを見せると一気に注目を浴びるようになった。

「松坂世代」と「田中・斎藤世代」の間に挟まれながらも勢力を伸ばした「谷間世代」もある。84年度生まれ、今年で36歳になる世代だ。

 実は、この世代はタイトルホルダーを9人も輩出するなど隠れた豊作世代である。また、13年のWBCでは「田中・斎藤」世代と並んで最多となる4人の代表メンバー(長野久義、牧田和久、本多雄一、大隣憲司)を輩出している。

 彼らが「谷間」と呼ばれるのは、高校3年時のドラフトが松坂世代の大卒組と、大卒組が「田中・斎藤」世代の高卒組と重なったことで、スポットライトが当たらなかったためだ。しかし、ファンに強烈な印象を残した2つの世代の板挟みに合いながら、彼らは存在感を示してきたのである。
  そのメンバーは多士済々だ。

 西岡剛はロッテ時代の05年にパ・リーグ史上最年少で盗塁王に輝いた。吉見一起と浅尾拓也は中日で一時代を築き、吉見は最多勝2回に最優秀防御率1回、浅尾は11年に中継ぎ投手ながらMVPを受賞した。

 坂口智隆(現ヤクルト)はオリックス時代の11年に最多安打のタイトルを獲得、長谷川勇也(ソフトバンク)は13年に首位打者と最多安打を記録するなど、ともにヒットメーカーとしてパ・リーグに君臨した。西武のエースとして日本一も経験した岸孝之は楽天移籍後に防御率のタイトルを獲得し、増井浩俊(現オリックス)は日本ハム時代に最優秀中継ぎ投手に選ばれている。

 タイトルホルダー以外でも、前述の13年WBC代表4人や、育成枠からの新人王に輝いた松本哲也(元巨人)や投手から野手に転向して成功した雄平(ヤクルト)、3球団を渡り歩いた大引啓次(元ヤクルト)、ゴールデン・グラブ賞2度受賞の岡田幸文(元ロッテ)、楽天で正捕手として日本一に貢献した嶋基宏(現ヤクルト)などがいる。

取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園という病』(新潮社)、『メジャーをかなえた雄星ノート』(文藝春秋社)では監修を務めた。

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