【2010年代30球団通信簿:ア・リーグ中地区】唯一勝ち越したインディアンスは納得の最高評価。だが、同じ評価を得たのは現在低迷中の…

【2010年代30球団通信簿:ア・リーグ中地区】唯一勝ち越したインディアンスは納得の最高評価。だが、同じ評価を得たのは現在低迷中の…

インディアンスは巧みなトレードで着実に戦力を増強。リンドーア(写真右)など生え抜きの活躍も光った。(C)Getty Images

チームの「成功の基準」は予算規模や戦力状況、それまでの歴史などによってそれぞれ違う。そうだとしても、究極の目標がワールドチャンピオン獲得にあることだけは共通している。2010年代におけるア・リーグ中地区5球団の歩みを振り返りつつ、5段階評価の通信簿形式でディケイドを総括してみよう。

※A=よくできました、B=まずまずです、C=可もなく不可もなく、D=がんばりましょう、E=ガッカリです

▼シカゴ・ホワイトソックス
【評価】がんばりましょう(D)

 2010年、12年に地区2位とディケイド前半はプレーオフを目指して戦っていたが、13年に24年ぶりの地区最下位に沈むと、14年以降も負け越しシーズンが続いた。

 再建に長い時間がかかっているのは、途中で中途半端な色気を出して補強に動くなど方針が一貫しなかった時期があったため。16年オフにエースのクリス・セールをレッドソックスへ放出したのを機に改めて本格再建モードに突入。19年になってティム・アンダーソンやヨアン・モンカダ、ルーカス・ジオリトらが台頭し、ようやく出口が見えてきた。マイナーにも複数のトップ・プロスペクトがひしめいており、「20年代のシカゴ最高のチームはカブスではなくホワイトソックス」との声も出ている。昔からキューバとの結びつきが濃いチームで、このディケイドもホゼ・アブレイユらが活躍した。
 ▼クリーブランド・インディアンス
【評価】よくできました(A)

 ディケイド最初の3年間は負け越したが、13年から7年連続で勝ち越し。16年からは3年連続地区優勝を果たし、タイガースに代わってア・リーグ中地区の「盟主」に台頭した。特に16年は1954年以来の世界一まであと1勝に迫り、クリーブランドの街を大いに沸かせた。

 フランシスコ・リンドーア、ホゼ・ラミレスら生え抜きの活躍もあったが、躍進の最大の要因はトレードの成功。特に投手陣はサイ・ヤング賞を2度獲得したコリー・クルーバーを筆頭にカルロス・カラスコ、マイク・クレビンジャーも若手時代に他球団から獲得した。もっとも、スモールマーケット球団で資金に余裕はなく、主力選手を長期間囲い込むのは不可能。19年オフはクルーバーを放出し、リンドーアにもトレードの噂が絶えない。20年代は戦力の再構築に挑むことになる。
 ▼デトロイト・タイガース
【評価】まずまずです(B)

 2011年から4年連続地区優勝。ミゲル・カブレラやジャスティン・バーランダー、マックス・シャーザー、プリンス・フィルダーといった大物を擁して12年にはリーグ優勝も果たすなど、ディケイド前半はMLB屈指の強豪球団として君臨した。

 一連の大型補強路線は1984年以来のワールドチャンピオンを熱望するオーナーのマイク・イリッチの強い意向を反映したものだったが、その代償としてマイナーが弱体化。イリッチが望みをかなえられないまま17年2月に87歳で世を去ると、同年8月にバーランダーをトレードで放出して本格的な再建路線へ舵を切った。何とも皮肉なことに、バーランダーやシャーザー、リック・ポーセロ、デビット・プライス、アニバル・サンチェスらは、移籍後にタイガースで実現できなかった世界一を経験している。デトロイトのファンには気の毒としか言いようがない。
 ▼カンザスシティ・ロイヤルズ
【評価】よくできました(A)

 10年間で勝ち越しはわずかに3回、逆に90敗以上のシーズンが5回。にもかかわらず「よくできました」とした理由は、言うまでもなく15年のワールドチャンピオン戴冠。同じスモールマーケット球団のレイズもアスレティックスも成し得なかった偉業を達成したこの一点だけでも十分、評価に値する。守備と機動力を重視する1980年代的なスタイルも新鮮だった。

 エリック・ホズマー、マイク・ムスタカスら生え抜きを中心に若手選手を育て上げたのに加え、15年7月にベン・ゾブリストやジョニー・クエイトを獲得するなど、積極的な途中補強に動いた点も世界一奪取への強い意志の反映だった。これらの補強は長期的には代償も大きく、ディケイド最後の2年は100敗以上と低迷したが、カンザスシティのファンも納得しているのではないだろうか。
 ▼ミネソタ・ツインズ
【評価】がんばりましょう(D)

 新球場ターゲット・フィールドが完成した2010年に2年連続地区優勝を果たしたが、続く4年間で3度最下位に低迷した。主たる原因は、11年から始まったジョー・マウアーとの8年1億8400万ドルの大型契約が機能しなかったこと。00年代に球界最高の捕手として活躍したマウアーは、脳震とうもあって14年から一塁へ転向。その頃から故障が増え、パフォーマンスも落ちていった。

 低迷を受け、フロント体制も一新。かつては典型的なオールドスクール派のチームだったが、16年オフにデレク・ファルビーが編成トップに就任したのを機にセイバーメトリクス重視へ転換。昨年は長打力重視のアプローチが結実し、史上初の年間300本塁打の大台を突破して9年ぶりの地区優勝に輝いた。ただ、プレーオフではまるで勝てず、00年代からの連敗は16に達している。

文●久保田市郎(スラッガー編集長)

※『スラッガー』2020年3月号より転載

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