首都大学リーグの“ドラフト候補生“!東海大を牽引するWエースを紹介

首都大学リーグの“ドラフト候補生“!東海大を牽引するWエースを紹介

山崎(左)はキレのあるスライダーとストレートで三振を獲れる右腕。小郷(右)は「即戦力のリリーフ投手」とプロのスカウトたちが評価する逸材だ。写真:大友良行

新型コロナ感染症の猛威は、首都大学リーグにも影響を及ぼしている。

 全国に「緊急事態宣言」が発令されたこともあり、同リーグは開幕を6月21日まで延ばした。1試合総当たりの勝率制で優勝を争うことになるが、今後の状況によっては、再延期、中止もあり得るという。

 そんな状況下で、ドラフト候補たちはプロへの想いを胸に、気持ちを切らさず、じっと耐え忍びながらマウンドに立つ日が来るのを待ち望んでいる。今回は東海大のWエースを紹介しよう。

●山崎伊織(東海大/投手)
181p・70s、右投左打、兵庫県出身、明石商高
 一見細身だが最速153qを投げる本格派右腕。スライダー、カットボール、スプリット、チェンジアップ、ツーシームなど変化球も多彩で、伝家の宝刀と言われるキレのあるスライダーとストレートで三振を獲れるのが大きな魅力だ。

 気になるのはケガが多いこと。中学1年で膝を手術し、中3で疲労骨折。高3春には、右肘を痛めてしまった。選抜甲子園では、ベスト8まで勝ち上がったが登板はなく、3試合とも投げたのは、同学年のドラフト候補・吉高壮(日体大4年)だった。最後の夏も、マウンドには上らず、外野で.429と打ちまくった。

 大学1年時は、まだ肘が治りきっていなかったため、大事を取って1球も投げなかった。リーグ戦初登板は2年春から。5試合で26回2/3、3勝0敗、防御率0.68で華々しくデビューすると、3年春は3勝1敗、奪三振24とMVPで優勝に貢献。6月には、全日本大学選手権で4試合中3試合15回を投げ、奪三振18でベスト4に導き、続く日米野球日本代表にも選ばれた。昨秋は5試合で4勝0敗、44回奪三振43、防御率0.20、最優秀投手賞とベスト9を手にした。
  安藤強監督は、山崎の投球を次のように分析する。

「コントロールはいいし、縦のスライダーと153qのストレートで言うことなし。経験を積み重ねて順調に伸びてきています。後はフォロースルー後の腕の逃げ場所を探しています。残った課題は、腕にすべての負担が掛かり過ぎるのを改善するぐらいでしょう」

 完成度の高さをそう称える。ケガが多いので対策も立てている。

「今冬に靭帯がおもわしくなかったので、PPP注射か、トミー・ジョン手術か迷っていましたが、手術だと完治まで1年半近くかかります。プロに行かせたいので注射を選択しました。体づくりを再スタートさせ、投げさせたい気持ちを我慢させ、夏までのメニューを作り上げました」

 また、「コロナの影響で今は実家に帰していますが、最低限のランニングとウエイトを命じています」という。

 今秋のドラフトNo.1投手は6月のリーグ戦に間に合わなくても、8月の大学選手権にはマウンドに立つ計算だ。
 ●小郷賢人(東海大/投手)
180p・80s、右投右打、岡山県出身、関西高
 セットアップで入り、上からMAX155qの快速球を投げ込む。縦スラ、フォーク、カーブなど緩急をつけた変化球もあり、キレのあるボールを低目に集め、詰まらせて打ちとるピッチングをする。「即戦力のリリーフ投手」とプロのスカウトたちが評価する逸材だ。

 父親が小学生野球の監督で、2歳年上の兄・小郷裕哉外野手(楽天)の影響もあり、小学入学の時から野球を始めた。当時は内野手だったが、中学からは投手兼外野手に。高校3年夏には県大会準々決勝で強敵・倉敷商に5対1で敗れてベスト8止まりだったが、その時150qを投げ、注目された。

 大学に進学すると、2年春に8試合に登板。2年生ながら抑えに回り、11回2/3を投げ奪三振22、自責点、防御率ともにゼロでリーグ優勝に貢献した。2018年の大学選手権では、九州産業大に決勝点を奪われ「自分の力を出しきれなかった」と今でも悔やんでいるが、続いて同年夏に行われたアメリカでの「第42回日米野球」と「第29回ハーレムベースボールウイーク(オランダ)」でも日本代表のメンバー入り、計4試合投げた。そこで同学年の伊藤大海投手(苫小牧駒大)と出会い「真っ直ぐ1本で押していくというピッチングの取り組み方に刺激を受けました。自分はどうしても変化球を混ぜてしまうので」としっかり土産を持ち帰ってきた。

 しかし、その後2、3年秋は肘を痛めて登板なし。3年の6月に日本代表の声がかかったが、右ヒジ痛で辞退するなど、リーグ通算試合数も16、3勝0敗と実力を買われている割には、寂しい気がする。
  それだけに今冬は、ケガ対策を念頭にトレーニングに励んだ。体の柔軟性と使い方を学び、プロテインなどを摂取しながら食トレにも励んだ。今や体重は90s。ケガに強い体を作りあげた。

 安藤監督は、どう見ているのだろうか。

「どんな場面でも動じない。困ったときに、投入することに決めています。期待に応えてくれるので信頼しています。ヒジの具合を見ながらやっていますが、ブルペンで調子も上がってきています。ボールそのものに力があります。速い低めのスライダーがいい。あとは、実戦の中で、プロがどう評価してくれるかですね。中継ぎ、抑えで行って、いい時はストッパーでも使えますよ」

 今は実家に簡単なブルペンと鳥カゴがあるので、そこでトレーニングを積んでいる。目標は「ケガをしない選手と大学日本一。森唯斗投手(ソフトバンク)に憧れています」。

文●大友良行

【著者プロフィール】
おおとも・よしゆき/元大手新聞社の報道写真記者。事件事故取材の傍らメジャーリーグやサッカーW杯などの欧州サッカーを取材。現在は、全国の大学野球、春夏の甲子園をはじめとする高校野球、都市対抗を中心に社会人野球などを深く取材している。著書に「野球監督の仕事(共著・成美堂出版)」、「CMタイムの逆襲(東急エージェンシー)」などがある。

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