【2020ドラフトの目玉は?|野手】牧、佐藤、五十幡の“大学ビッグ3”が高評価。高校生は甲子園でも活躍の来田、小深田らに注目

【2020ドラフトの目玉は?|野手】牧、佐藤、五十幡の“大学ビッグ3”が高評価。高校生は甲子園でも活躍の来田、小深田らに注目

佐藤はとにかく豪快なフルスウィングが持ち味。50m6秒を切る俊足も魅力だ(写真)大友良行

新型コロナウイルス感染拡大はプロ野球のペナントレースだけでなく、アマチュア選手のスカウティングにも大きな影響を与えている。カテゴリーで大会の中止、延期が相次いでおり、スカウト活動は実質休止となっている。ドラフト候補選手にも辛い時期が続いているが、そんな時だからこそ有望選手を積極的に紹介していきたい。今回は上位指名が予想される打者を見ていこう。

 ここ数年、ドラフトのトレンドは高校生野手だ。2017年は清宮幸太郎(日本ハム)、中村奨成(広島)、村上宗隆(ヤクルト)、安田尚憲(ロッテ)、2018年は根尾昂(中日)、藤原恭大(ロッテ)、小園海斗(広島)、太田椋(オリックス)といずれも4人が1位指名されている。

 佐々木朗希(ロッテ)、奥川恭伸(ヤクルト)の高校生投手に人気が集中すると見られていた昨年も、蓋を開けてみれば石川昂弥(中日)に3球団の入札が集中し、森敬斗(DeNA)も単独1位で指名される結果となった。どの球団も長くレギュラーを任せられる中心打者を求めている傾向が強まっていることはまちがいないだろう。
  しかし、今年は大学生が中心になりそうだ。中でも、強打者タイプでは牧秀悟(中央大)と佐藤輝明(近畿大)、リードオフマンタイプでは五十幡亮汰(中央大)が筆頭候補となる。

 牧は松本第一高時代から長野県内では評判のショートだったが、東都大学でもナンバーワンの打者に成長した。特に素晴らしかったのはセカンドに回った昨年の活躍だ。春は打率4割で首位打者に輝くと、秋も厳しいマークの中で結果を残してMVPを受賞。大学日本代表でも4番を任され、高校日本代表の壮行試合では西純矢(創志学園高→阪神1位)から一発を放って存在感を発揮した。この春のオープン戦ではショートとしても出場しているが、プロでも貴重な打てるセカンドとして楽しみな選手だ。
  牧が穴のない中距離打者であるのに対して、佐藤は完全なスラッガータイプ。昨年までの6シーズンでリーグ戦通算11本塁打を放っており、二岡智宏(元巨人・日本ハム)の持つ13本塁打のリーグ記録更新にも期待がかかる。日本人離れした体格で常にフルスウィングできる打撃が持ち味。芯でとらえた時の打球はプロでも上位に入るだろう。昨年秋は打率1割台と不振に陥ったが、それまでの3シーズンは打率3割をクリアしている。大型だが50メートル6秒を切る脚力も魅力だ。

 スピードではプロに入ってもナンバーワンになる可能性が高いのが五十幡だ。昨年秋に行われた日本代表候補合宿での紅白戦で放ったスリーベースでは、筆者の計測で三塁到達10.58秒をマーク。オコエ瑠偉(楽天)や昨年ブレイクした周東佑京(ソフトバンク)もアマチュア時代にスリーベースで11.00秒を切るタイムをマークしているが、この五十幡のタイムは間違いなく規格外だ。
  昨年の明治神宮大会でも当時大学ナンバーワンの強肩を誇っていた東海大の海野隆司(ソフトバンク2位)からも楽々盗塁を決めてみせた。下級生の頃はひ弱なバッティングが気になったが、この一年で着実にパワーアップも果たしている。センターから見せる強肩も迫力十分で、外野のリードオフマンが欲しい球団にはうってつけの人材だ。

 この3人以外にも、大学球界は有力候補がまだいる。捕手で最も評価を集めているのが古川裕大(上武大)だ。強肩はもちろん、大型で打力と脚力も備えた三拍子揃った万能キャッチャーで、ショートをこなす器用さもある。若手の正捕手候補が不在の球団は上位の枠を使っても狙いたい選手だろう。

 内野の要となるショートも候補は多いが、中でもスケールの大きさが光るのが元山飛優(東北福祉大)だ。180cmの上背がありながら軽やかなフットワークでプレーのスピード感は抜群で、糸を引くような低くて速いスローイングも素晴らしい。打撃には少し調子の波があるものの、長打力も備えている。プロでも長くショートを任せられる素材と見る。
  高校生は、昨年秋の時点では1位指名間違いなしと言える選手は不在だが、巡り合わせによって上位に入ってきそうな選手となると来田涼斗(明石商高)、小深田大地(履正社高)、細川凌平(智弁和歌山高)、西川僚祐(東海大相模高)、井上朋也(花咲徳栄高)の5人が挙げられる。

 この中で、甲子園での活躍と全国的な知名度でリードしているのが来田だ。昨年の選抜での智弁和歌山戦では史上初となる先頭打者ホームランとサヨナラホームランを放つ離れ業をやってのけ、その強打を全国に印象付けた。秋は少し打撃を崩していたものの、三拍子揃った外野手として注目度は高い。
  甲子園での実績では小深田も負けていない。昨年春は初戦で敗れたものの奥川から強烈なライト前ヒットを放ち、夏も全試合3番に座り全国制覇に貢献した。上背はそれほどでもないが、下半身の強さを生かした強烈なスイングで長打力と確実性を兼ね備えている。あまり報道されないが、サードの守備も高レベルだ。体格を除くサードとしての総合力では先輩である安田と比べてもそれほど遜色はないだろう。

 打撃技術の高さなら細川がイチオシだ。右肩が開かずに鋭く振り出すスイングで広角に打ち分けるバッティングは高校生離れしたものがあり、昨年夏の明徳義塾戦では勝ち越しスリーランも放っている。センターの守備範囲の広さと強肩も超高校級だ。この春からは中学時代に守っていたショートに再転向すると言われているが、内野手としてもどのようなプレーを見せるかにも注目したい。
  西川と井上はプロでも希少な右の長距離砲。西川は1年夏の北神奈川大会でいきなり場外弾を放つと、その後もホームランを量産。昨年は右ヒジの故障もあって少しペースは落ちたものの、すでに50本を超える高校通算本塁打を放っている。昨年夏の甲子園では2試合連続ノーヒットに終わり、変化球への対応などには課題が残るがそのパワーは大きな魅力だ。

 井上も入学直後からレギュラーとなり、2年連続で出場した夏の甲子園でも3試合連続安打をマークしている。下級生の頃はスイングの硬さが目立ったが、徐々に柔らかさが出て広角に強く打てるのが持ち味になった。パワーは西川にも引けをとらない。ともに守備、走塁にそれほど目立つものはないが、井上の先輩である野村佑希(日本ハム)や昨年の井上広大(阪神)など似たタイプの打者が2位で指名されていることを考えると、夏での活躍次第では上位指名の可能性は十分にあるだろう。
  社会人は昨年ルーキーながら都市対抗の優勝に大きく貢献したJFE東日本の平山快、今川優馬、峯本匠らが有力候補になるが、上位候補となると現時点では微妙なところだ。ただ昨年も、小深田大翔(大阪ガス→楽天)、佐藤直樹(JR西日本→ソフトバンク)が前評判はそこまで高くなかったものの、最終的に外れ1位で指名されている。彼らの活躍次第では、社会人野手の注目度が高まる可能性もありそうだ。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材し、全国の現場に足を運んでいる。ドラフト、アマチュア野球情報サイト「PABBlab」を今年8月にリリースして多くの選手やデータを発信している。

【PHOTO】ドラフトの目玉・佐々木はロッテ、奥川はヤクルトへ!!会場ブースもお見せします!

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