【2020ドラフトの目玉は?|投手】山崎の故障で伊藤が大学生一番人気へ浮上? 社会人は栗林が1位指名有力

【2020ドラフトの目玉は?|投手】山崎の故障で伊藤が大学生一番人気へ浮上? 社会人は栗林が1位指名有力

大学日本代表の抑えに定着した伊藤は即戦力として人気を集めそうだ。(写真)大友良行

新型コロナウイルス感染拡大はプロ野球のペナントレースだけでなく、アマチュア選手のスカウティングにも大きな影響を与えている。カテゴリーで大会の中止、延期が相次いでおり、スカウト活動は実質休止となっている。ドラフト候補選手にも辛い時期が続いているが、そんな時だからこそ有望選手を積極的に紹介していきたい。今回は上位指名が予想される投手編だ。

 今年のドラフト戦線で最も上位候補が多いのが、大学生の投手になるだろう。しかしここへ来て、不安なニュースが入ってきた。総合力ナンバーワンと見られていた山崎伊織(東海大)が右ヒジの靭帯部分断裂と診断されたのだ。復帰まで1年半近くかかると言われるトミー・ジョン手術は回避し、田中将大(ヤンキース)も受けたPRP注射の治療で復帰を目指すことになったが、本来のボールがどこまで戻ってくるかは気がかりなところだ。万全であれば1位指名の可能性は高いだけに、鮮やかな復活に期待したい。
  山崎の状態が不透明となると、大学生で一番人気になりそうなのが伊藤大海(苫小牧駒沢大)だ。2年春の大学選手権で鮮烈な投球を見せると、その後は大学日本代表の抑えに定着。昨年秋の大学日本代表候補合宿でも打者6人から4つの三振を奪う圧倒的なピッチングを見せている。分かっていても振り遅れるストレートが最大の魅力。リリーフが手薄な球団にとっては、喉から手が出るほど欲しい投手だろう。

 伊藤に続いて人気になりそうなのが、東京六大学を代表する左右の本格派である早川隆久(早稲田大)と木沢尚文(慶応大)の2人だ。早川は高校時代から全国屈指のサウスポーで、高校日本代表にも選出。ちなみに当時、早川とともに選ばれた他の投手7人は全員が高卒でプロ入りしている。高校時代はコントロールが光る投手だったが、大学で順調にスピードアップし、好調時は150キロ超。サウスポーとしては筆頭候補になるだろう。
  一方の木沢は高校3年時にヒジを故障した影響もあって、リーグ戦通算3勝と実績は乏しいが、決して多くない登板で強烈なインパクトを残してきた。昨年春の早慶戦では154キロをマークして8回途中10奪三振、昨年秋の明治神宮大会準決勝でも5回7奪三振と圧巻の投球を見せている。この投球をどれだけコンスタントに続けられるかは課題だが、瞬間最大風速で言えば今年の候補でナンバーワンの迫力と言えるだろう。

 大学生でもう一人上位指名候補で推したいのが森博人(日本体育大)だ。毎年、好投手を輩出する日本体育大の中でも下級生の頃からリリーフとして頭角を現し、昨年秋には155キロもマークした。ゆったりとした下半身の使い方は先輩の松本航(西武)と共通する特長で、前で大きく柔らかく腕が振れるのも長所。リリーフであれば即戦力としての期待もかかるだろう。
  一方の高校生は中森俊介(明石商高)が筆頭候補になるだろう。1年夏から甲子園のマウンドを経験し、昨年夏には早くも150キロに到達。ただ速いだけでなく高い制球力や多彩な変化球も魅力で高校生離れした完成度を誇る。夏にヒジを痛めた影響で秋は本調子ではなかったが、順調にいけば1位候補に入ってくる可能性が高い。

 中森に続く存在になるのが高橋宏斗(中京大中京高)、小林樹斗(智弁和歌山高)、高田琢登(静岡商高)の三人だ。この中で昨年秋に評価を上げたのが神宮大会優勝投手となった高橋だ。下級生の頃は不安定だった制球力が格段にアップし、試合をしっかり作れるようになった。全国の舞台でも高いパフォーマンスを見せられたこともプラス要素だ。

 小林、高田はまだ調子に波があり、投げてみないと分からないという高校生らしさはあるものの、ともにフォームに悪い癖がなく潜在能力の高さは申し分ないだけに、夏までの成長次第では上位指名も考えられるだろう。
  最後に社会人だが、1位の可能性が高いのは栗林良吏(トヨタ自動車)だ。名城大時代はいわゆる順位縛りもあって指名が見送られたが、社会人でも1年目から公式戦11試合に先発してイニング数を上回る三振を奪い、防御率1.02という圧巻の成績を残している。躍動感のあるフォームから140キロ台後半のストレート、縦に鋭く変化するスライダー、打者の手元で沈むツーシームなど多彩な変化球を操り、制球力も高レベル。即戦力という意味では今年の候補の中ではナンバーワンと言えるだろう。

 ただ、社会人は栗林に続く上位候補の投手がやや手薄な印象。佐々木健(NTT東日本)、藤井聖(JX-ENEOS)のサウスポー2人、高校卒3年目で若さが魅力の本格派右腕、森井絃斗(セガサミー)、小野大夏(Honda)などの名前が挙がるが、上位指名候補と言うには実績が物足りないのが現状である。
  大学生8人、高校生4人、社会人5人を紹介したが、例年以上に1位の絞り込みが難しい状況だ。冒頭で中心となると書いた大学生にしても、いわゆる中央球界である東京六大学の早川、木沢、佐藤はリーグ戦での成績が芳しくなく、地方リーグで大舞台での実績があるのは伊藤だけ。高校生の有力候補でも高橋は進学希望とも言われており、明石商から直接プロ入りした選手は過去にいないことから中森が進学となる可能性も考えられる。

 安全策なら大学、社会人での実績抜群の栗林ということになりそうだが、例年より圧倒的に視察数が減る中で各球団がどのような判断を下すかにも注目したい。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材し、全国の現場に足を運んでいる。ドラフト、アマチュア野球情報サイト「PABBlab」を今年8月にリリースして多くの選手やデータを発信している。

【PHOTO】今ドラフトの目玉佐々木はロッテ、奥川はヤクルトへ!!会場ブースもお見せします!
 

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