最多奪三振、防御率0.00、5試合連続アーチ――「東京六大学」で偉大な記録を残した名手たち

最多奪三振、防御率0.00、5試合連続アーチ――「東京六大学」で偉大な記録を残した名手たち

東京六大学野球で偉大な記録を残した選手たち。左から岩見、和田、野村。写真:大友良行

95年の歴史を誇る「東京六大学野球」。選手たちは神宮球場で、どんな記録を打ち立てて、プロの世界へと向かって行ったのだろうか。

 新型コロナウイルス感染防止の『緊急事態宣言』が延長され、野球情報がどんどん少なくなる中、六大学出身の現役プロ野球選手が、神宮の杜で手にしたタイトル・記録の足跡を、連盟公式記録から振り返ってみた。

●完全試合
高梨雄平(投手/楽天)
1992年生まれ。埼玉県出身。左投左打。
川越東高-早稲田大-JX-ENEOS-楽天

 早大3年の2013年春季・対東京大2回戦で、史上3人目の完全試合を達成した。

 この日は、コーナーにカーブ、スライダー、チェンジアップを上手く決め、ワインドアップから重心を低くして、139㎞のそれほど速くないストレートで大記録を達成した。球数109、内野ゴロ9、内野飛7、外野飛5、奪三振6。上重聡投手(立教大→日本テレビ・アナウンサー)以来13年ぶり3人目の歴史的快挙となった。なお、完全試合一番手は1964年に渡辺泰輔投手(慶応大→南海)が達成している。

 早大では2年冬に左足首、4年では左肩痛にイップスも加わり、完全試合以外に思った結果が出なかった。通算成績41試合、11勝5敗、奪三振89、防御率2.81。2016年ドラフトで楽天9位指名でプロ入りした。早大同期には、有原航平(日本ハム)、中村奨吾(ロッテ)がいる。
 ●最多奪三振
和田毅(投手/ソフトバンク)
1981年生まれ。島根県出身。左投左打。
浜田高-早稲田大-ダイエー/ソフトバンク-カブス-ソフトバンク

 早大4年の2002年秋に、江川卓投手(法政大→巨人)の持つ433奪三振記録を更新、歴代1位となる476奪三振を奪った。

 早大では球速が130㎞から140㎞にアップし、1年秋に初登板。2年から先発を任されハイペースで三振を積み重ねて行った。MAX148㎞のストレートとスライダー、チェンジアップ、カーブ、ツーシームなどをコントロール良くコーナーに投げわけ、打者からは「球の出所がわかりにくい」と嫌がられた。

 大学通算62試合で27勝13敗、防御率1.35。”早大のドクターK”と呼ばれ、松坂世代を代表する即戦力左腕として高い評価を受け、2002年ドラフト自由獲得枠でダイエーから1位指名された。
 ●最優秀防御率
野村祐輔(投手/広島)
1989年生まれ。右投右打。岡山県出身。
広陵高-明治大-広島。

 2008年秋、1年生ながら史上5人目、44年ぶりのシーズン最高防御率0.00を達成。7試合34回2/3、打者130人を相手に奪三振41を奪った

 大学では、MAX149㎞のストレートにスライダー、チェンジアップ、落差のあるカーブ、カットボール、フォークを織り交ぜて打者を封じた。ノーワインドアップからのコントロールは天下一品。打者を打ちとる術を知っていた。通算65試合で30勝12敗、奪三振358、防御率1.92。アジア選手権、日米対抗、世界選手権でも活躍し、2011年ドラフトで広島から1位指名された。

●通算最多安打
高山俊(外野手/阪神)
1993年生まれ。千葉県出身。右投左打。
日大三高-明治大-阪神。

 明大4年秋に、1967年に高田繁(明大→巨人)が記録した127本の通算最多安打数を更新し、131本まで伸ばした。

 日大三高時代は高校通算32本塁打を放ち、10年ぶりの全国制覇の中心選手となったが、プロ志望届は出さずに明大に進学。大学では、1年春からレギュラーで実力発揮して打率.542で打撃成績2位。2年時は、春秋リーグ戦の連覇に貢献し、4年時にユニバシアード代表にも選出された。

 大学通算102試合131安打、本塁打8本、盗塁18。打ち損じが少なく通算打率.324とハイアベレージを残し、ベスト9も6回獲得した。守備範囲も広く、肩も悪くない。まさに走攻守3拍子揃っており、2015年ドラフトで阪神から1位指名を受けた。
 ●5試合連続本塁打/シーズン最多本塁打
岩見雅紀(内・外野手/楽天)
1994年生まれ。滋賀県出身。右投右打。
比叡山高(滋賀県)-慶応大―楽天。

 高校通算47本塁打を記録して注目されたが、甲子園出場はなし。大学では2年春からベンチに入り、秋に初出場して初安打、初本塁打を放つ。4年秋に史上初の5試合連続本塁打。ちなみにこの5試合連続本塁打は、2019年春に法大の安本竜二選手(EX-ENEOS)も達成している。

 年間最多本塁打の方は、2017年4年生の時。春5本、秋7本の計12本で連盟記録の単独第1位だ。また、リーグ通算では21本を打ち、高橋由伸(慶応大→巨人)の23本、田淵幸一(法政大→阪神)の22本に次ぐ歴代第3位につけた。

 大学通算61試合で178打数52安打、打点53、本塁打21本、打率.292、長打率.674。推定距離170mと言われ”慶大のバレンティン”の異名をとり、「減量よりも長打!」との声援をファンから送られていた。ガッシリした体型でのしのしと打席に向かう姿は山崎武司(元中日)そのもので、2017年ドラフトで楽天から2位指名された。
 ●サイクルヒット
中山翔太(内・外野手/ヤクルト)
1996年生まれ。大阪府出身。右投右打。
履正社-法政大-ヤクルト。

 4年春の東大1回戦で史上8人目のサイクルヒットを記録した。初回ライトへのポテンヒットが3塁打となったのが足がかりとなり、4安打すべてが打点6につながった。特に印象深かったのが7回の5打席目。残った本塁打を左翼席に決めて、土壇場での勝負強さを見せた。

 法大では、2年秋から左翼手でレギュラー。3年春には一塁手で4番を務め、サイクルを記録した4年春はベスト9も獲得した。4年秋に早大の小島和哉投手(ロッテ)から3本塁打を放ち、12季ぶりのリーグ優勝に貢献している。

 通算64試合、248打数76安打、11本塁打、47打点、打率.306、長打率.504。2018年ドラフトで、ヤクルトから2位指名された。
 取材・文●大友良行

【著者プロフィール】
おおとも・よしゆき/元大手新聞社の報道写真記者。事件事故取材の傍らメジャーリーグやサッカーW杯などの欧州サッカーを取材。現在は、全国の大学野球、春夏の甲子園をはじめとする高校野球、都市対抗を中心に社会人野球などを深く取材している。著書に「野球監督の仕事(共著・成美堂出版)」、「CMタイムの逆襲(東急エージェンシー)」などがある。
 

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