【12球団“縁の下の力持ち”:オリックス】山本由伸が認める“人間力”。伏見寅威は選手にもファンにも愛される男

【12球団“縁の下の力持ち”:オリックス】山本由伸が認める“人間力”。伏見寅威は選手にもファンにも愛される男

伏見は、エースの山本が認めるそのキャラクターでチームを盛り上げる。写真:滝川敏之

チームを支えるのは何もスター選手だけではない。絶対的なレギュラーでなくとも、率先してベンチを盛り上げたり、どんな役割もこなす選手もまた、必要不可欠な存在である。19日から開幕するプロ野球。異例のシーズンだからこそ、各チームの幹となる「縁の下の力持ち」にスポットライトを当てていきたい!

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 以前、「チームの精神的な支柱は?」という話題になった時、山本由伸は伏見寅威の名を挙げていた。

 伏見は2012年ドラフト3位指名で、東海大からオリックスに入団。大学時代は一学年上の菅野智之(現・巨人)とバッテリーを組んでおり、ファンからも大型捕手として将来を期待されていた。ルーキーイヤーには豪快なホームランを放つなど、「打ち続ければレギュラーを獲れる」とバッティングに関しては首脳陣からの評価も高かった。

 伏見が開花したのは2018年シーズンだった。正捕手の座こそ若月健矢に譲ったが、2年連続で開幕一軍の切符を手にすると、捕手だけではなく一塁や三塁、代打の切り札としてユーティリティの道を拓く。そして6月2日の巨人戦、延長12回に代打で登場すると、サヨナラヒットを放ってヒーローになった。

 ヒーローインタビューでは開口一番、「やりましたー!」と絶叫。「使ってくれた監督のためにも何とか打ちたいと思ってました。皆さんのおかげです!」と、最後まで球場に残ったファンに対して、人生初のサヨナラ打について感謝の気持ちを口にしている。

 インタビュー終了後のコメントがまた良かった。「バッターボックスでスタンドを見たり、ベンチを見たらみんな自分を応援してくれている。みんなのためにも頑張りたいと思った」と語ると、ファン人気が高いことについて、「ファームにいる時も励ましてくれたり、今日もタオルを掲げてくれるファンを見ると、ヒーローになれて嬉しい」と笑みをこぼしていた。
  山本が語っていた伏見の「人間性」は、普段の振る舞いを見ているとよく分かる。ベンチスタートが多いものの、守備から帰ってくる選手たちを手を叩きながら真っ先に出迎え、ベンチでは大きな声を張り上げ、士気を高めている。練習中も先輩、後輩関係なく声をかけてコミュニケーションを取っており、取材対応も素晴らしい。

 18年は8月22日の楽天戦で5年ぶり2本目となるホームランを放つなど、76試合に出場。打率.274、17打点と及第点の成績を残し、シーズン通して一軍に帯同した。昨シーズンは、6月18日の巨人戦で空振り三振した際、左足アキレス腱断裂の大怪我を負って無念の全休。今年の春季キャンプではまだ完全復活と言えない状態だったが、先日行われた紅白戦ではファームのメンバーながら、いつも通りに元気なプレーを見せ、直後に一軍への合流が決まった。

 伏見が打席に立つと、スタンドだけではなくベンチも空気が変わる。それだけに、彼は一軍に必要不可欠な存在なのは間違いない。小谷野栄一(現・二軍打撃コーチ)、宮崎祐樹(昨年退団)とともに、チームを鼓舞する存在であり続ける。

 まだまだ30歳。オリックスの元気印がプレーでも復活する時、チームの盛り上がりは最高潮になるはずだ。

取材・文??どら増田

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