MLBドラフト全体1位指名の強打者トーケルソンは「ボンズを越え、ホーナーに迫った男」

MLBドラフト全体1位指名の強打者トーケルソンは「ボンズを越え、ホーナーに迫った男」

今年のドラフト1位指名となったトーケルソン(左)。大学1年次に記録を打ち破ったボンズ(右)とは、実は深い縁がある。徳原隆元/(C)Getty Images

現地11日に行われたMLBの新人ドラフト会議で、アリゾナ州大のスペンサー・トーケルソンが全体1位でデトロイト・タイガースから指名された。大学生一塁手の全体1位指名は史上初。だが、トーケルソンの実績を振り返ればそれも納得できるはずだ。

2018年 55試合 打率.320 25本塁打 出塁率.440 OPS1.182
2019年 57試合 打率.351 23本塁打 出塁率.446 OPS1.153
2020年 17試合 打率.340 6本塁打 出塁率.598 OPS1.378
通算  112試合 打率.337 48本塁打 出塁率.443 OPS1.166 

 高校卒業時にはどのチームからもドラフト指名されなかったトーケルソンだが、計31人ものオールスター選手を輩出してきた全米有数の強豪校アリゾナ州大入学と同時に頭角を現し、あのバリー・ボンズが持っていた1年生の大学の最多本塁打記録をいきなり14本も更新する25ホーマー。2年次にも23本塁打を量産し、大学通算記録の58本まで10本と迫った。

 その通算記録を保持しているのがボブ・ホーナーだ。1987年にヤクルトに入団し、“ホーナー旋風”を巻き起こした「あの」男である。78年にドラフト全体1位指名でアトランタ・ブレーブスに入団したホーナーは、マイナーを1試合も経験することなく78年にメジャーデビューしていきなり新人王を獲得。その後も長くスラッガーとして活躍し、85年には1試合4本塁打も記録したこともある。
  間近に迫ったトーケルソンの新記録達成に備え、アリゾナ州大はホーナーと、同じく大学OBで殿堂入りも果たしているレジー・ジャクソンのお祝いコメントを収録して備えていたという。しかし、新型コロナウイルス感染拡大によってリーグ戦が中止となり、記録更新まであと6本というところで、トーケルソンの“挑戦”は幕を閉じることとなった。

 実は、トーケルソンは南カリフォルニア出身で、サンフランシスコ・ジャイアンツの、ボンズの大ファンとして幼少期を過ごしてきた。そして、自身の打撃がうまくいかない時は“原点”に立ち返り、ボンズのバッティング動画を見る。あまり足を上げない、シンプルな動作なスウィングを確立したのも、ボンズのフォームを参考にした結果だった。

 球史に名を刻むスラッガーと同じ「DNA」が流れているトーケルソン。打者としては昨年、MLB新人記録の53本塁打を放ったピート・アロンゾ(ニューヨーク・メッツ)と似たタイプと言われる彼が、今後どのような選手になっていくのか、今から楽しみでならない。

文●新井裕貴(SLUGGER編集部)
 

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