不振に苦しむ山崎康晃。実は成績悪化の“予兆”は昨年からあった?

不振に苦しむ山崎康晃。実は成績悪化の“予兆”は昨年からあった?

侍ジャパンの守護神を務めるなど実績十分の山崎だが、今季は開幕から防御率6点台と苦しい投球が続く。写真:徳原隆元

山崎康晃(DeNA)が不振に苦しんでいる。ここまでリーグ最多の6セーブを挙げてはいるものの、9登板で安打を打たれなかった試合は一度もなく、複数の走者を背負った試合が実に6度。19日の巨人戦を含めてすでに2敗、防御率は6.48に達し、アレックス・ラミレス監督は配置転換も示唆している。

 2年連続セーブ王に輝き、侍ジャパンでも守護神を務める山崎がこれほど苦しんでいることに、多くのファンが驚きを隠せずにいる。だが実は、昨年の投球内容から“不振の前兆”は現れていた。

●ツーシームの空振り率低下
 山崎の代名詞と言えば、もちろんツーシーム。この伝家の宝刀が、今年はキレを失っているとよく指摘されている。だが、すでに昨季の時点で危ない傾向は出ていた。プロ1年目から毎年20%前後と非常に高い数値を叩き出していたツーシームの空振り率(全スウィングにおける空振りの割合)が、昨季は15%未満へと急激に低下していたのだ。被打率は1割台と優秀だったものの、「それまで空振りを奪えていたのが奪えなくなっていた」のは明らかに危険信号だった。
 ●奪三振率の低下
 得意球の空振り率が下がれば当然、三振も奪いにくくなる。山崎の昨季の奪三振率(9イニング当たり)は8.10で、実はプロ5年目でワースト。奪三振数がイニング数を下回ったのも初めてだった。さらに言えば、17年から18年も11.51→10.07とダウンしていて、2年続けての大幅低下だった。本人に「打たせて取る」という意識があったのかどうかはさておき、相手をねじ伏せる支配力がこの2年で薄れていたのは間違いない。

●そもそも昨季は“ラッキー”だった?
 ここからは少しややこしい話になる。セイバーメトリクスにFIPという指標がある。コンセプトを分かりやすく言えば「守備から独立した防御率」だ。具体的には、守備側の野手が介在しない3要素、すなわち奪三振・与四球・被本塁打から投手の力量を評価する。味方野手の守備力や運不運に左右されやすく投手の力量が正確に反映されない防御率の弱点をある程度解消している点がFIPの最大の特徴で、将来の成績を予見する上でも有用とされる。
  実は昨季の山崎は、防御率1.95に対してFIPは3.39と、実に1.5点近くもの開きがあった。ざっくり言えば「防御率1点台は幸運のおかげだった」ということだ。このように防御率とFIPの落差が激しい場合、次の年は逆方向に大きく振れることが多い。山崎の場合、昨年は防御率がFIPよりずっと下だったので今年は逆のベクトル、すなわち防御率が大幅に悪化する可能性が最初から高かった、ということだ。

 昨季の山崎はそれまでと比べて三振を奪えなくなり、インプレーの打球が増えた。本来ならそれに伴い被安打の数も増えるはずが、昨年に限っては運のおかげもあり大怪我につながらなかった。今年はその揺り戻しに加えて、奪三振率など基礎的な指標がさらに悪化していることで不振が増幅されている。昨年からの流れをまとめるとこんな感じだろう。
  もちろん、不振の理由は一つではない。入団から5年連続57試合以上に登板とフル回転を続けてきた影響が今年になって一気に出たとも考えられる。それでも、昨季の投球にすでに成績悪化を示唆する“フラグ”があったことは間違いない。

構成●SLUGGER編集部

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