【2020MLB注目のスターたち】大谷翔平――アメリカ人記者も魅了される唯一無二のGREATEST “SHO” MAN

【2020MLB注目のスターたち】大谷翔平――アメリカ人記者も魅了される唯一無二のGREATEST “SHO” MAN

今シーズン、2年ぶりに“二刀流”の大谷が帰ってくる。これを待ち望んでいたのは、何も日本のファンばかりではない。写真:Getty Images

私は大谷翔平(エンジェルス)が質問に答える際の振る舞いを称賛したい。

「メジャーリーグではこの100年で初の、本格的な二刀流選手としてプレーするのは、どんな気持ちですか?」という質問にあまりバリエーションはない。彼はこの質問をすでにさまざまな形で耳にしている。投手としてマウンドに復帰する今季、さらにその数は増えることだろう。

 この問いを投げかけられた大谷は、あきれた表情をすることもなければ、前もって準備していたように回答することもない。礼儀正しく記者の目をしっかり見つめ、律儀に答えを返してから、次の質問に移る。まるでその質問をする記者の好奇心が、次の記者と同じくらい妥当なものであるかのように。

 これは大谷が北海道からアナハイムに持ち込んだ神秘性の一つと言っていいだろう。彼は自分がベーブ・ルースと比較される稀有な存在であることに、居心地の悪さを感じていないように見受けられる。25歳の大谷は現在、地球上で最高の投手の一人であると同時に、最高の打者の一人でもある。傲慢になってもおかしくないほどの才能を持っているにもかかわらず、彼は礼儀正しさを失っていない。
  私は、大谷が自らの技術を高めようと練習に励む姿を称賛したい。

 一昨年、大谷はトロントのロジャース・センターでの打撃練習で、5階席に飛び込む超特大アーチを放った。デンバーのクアーズ・フィールドでは飛距離517フィート(約157.6m)の当たりを、5月18日の本拠地アナハイムの試合前には、ライトのスコアボードを直撃する513フィート(約156.3m)の一撃を放った。一瞬ボールが視界から消え、黒いスコアボードを背景に再び現れる様子を間近で見ていた私にとっては、513フィートという数字は控えめすぎる気がした。

 エンジェルスの球団職員は私に、ホームプレートからスコアボードまでの正確な距離はすぐには分からないと言った。なぜなら、それまで誰もそこに打ち込んだことはなかったからだ。スコアボードが設置されたのは1998年。もう20年以上も前のことだ。その日、私は打撃練習での特大アーチについて大谷に尋ねた。「自分にとって一番飛んだ当たりだったかどうかは分かりません」。通訳を介して彼は言った。

「でも、ああいう打球が打てるということは、自分の打撃があらゆる点で進化していることなのかなと思います」。

 NBAの元スーパースター、アレン・アイバーソンは、2002年の記者会見で2分間にわたって練習の無意味さをまくしたてたことで知られる。彼は記者の質問に答える前に、何と22回も「練習」という言葉を繰り返した。もし大谷が打撃練習を軽視したとしても、アメリカではそれを責める者はいないだろう。しかし、大谷はアイバーソンとは違い、自分をスーパースターだとは思っていない。彼は自らの技術を高めようと努力を重ねる求道者なのだ。
  私は、大谷のピッチングが打撃の妨げになっていない事実を称賛したい。

 彼は1年目に打率.285、22本塁打、61打点という打撃成績を残した。翌年は.286、18本塁打、62打点だった。このささやか?な偉業は、アナハイムでは無視されているとまでは言わないものの、当然のこととして受け止められている。

 大谷自身は、どのようにしてあれほどのレベルで打撃と投球を両立させているのか説明するのに飽き飽きしているかもしれないが、それはエンジェルスの監督やGMも同様だ。ここ100年間で初めての本格的な二刀流選手を最高の方法は一体何なのか? 大谷の才能を最大限に引き出すためにはどうすればいいのか? この問いは18年に頻繁に聞かれたものだ。

 大谷の19年の成績はアウォードに値するようなレベルではなかったものの、エンジェルスが当初描いていたプランの妥当性を証明した。大谷の打撃だけを見ていたら、彼が前年に世界最高の打者たちを相手に10試合とは言え好投を繰り広げた事実を信じられないだろう。18年と比べ、19年の打撃成績はややダウンしたものの、改善されたところもある。対左腕投手の打率は60ポイントも上昇しているのだ。
  私は、大谷が「歩く歴史の教訓」であることを称賛したい。

 2年前まで、私はブレット・ジョー・ブッシュやクラレンス・ミッチェルのことを知らなかった。1920年、彼らはレッドソックスとドジャースでそれぞれプレーし、シーズン最初の10試合で投手、野手としてそれぞれ出場した。それ以来、同じことを成し遂げた選手は18年の大谷まで出てこなかった。私はまた、88年にヤンキースが投手のリック・ローデンをDHで先発起用した事実を知らなかった。もちろんこれも、大谷まで誰も成し遂げることはなかった。もちろん私はベーブ・ルースのことは知っていた。だが、彼が15本塁打&50投球回を1シーズンに達成した最後の選手であったことは知らなかった。もちろんこれも、大谷が達成したことで再び脚光を浴びた。

 いつの日か、彼はローデン(メジャー通算151勝)やブッシュ(同196勝)以上の選手になるかもしれない。そして、もしかしたらルースのような大きな足跡を残す可能性もある。

 その夢はまだ生きている。シーズンが開幕し、大谷が再び投手としてマウンドに立つことを私は称賛する。まるで大谷の右ヒジが完治するまで、球界全体がシーズン開幕を待っていたかのようだ。確かに、それだけの価値は十分にある。

文●JP・フーンストラ(『オレンジカウンティ・レジスター』紙)

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